「今日はありがとうございました」
玄関で、ぺこりとお辞儀するクロちゃん。
「パズル面白かった! また遊びたい!」
拳を突き上げ、期待に目を輝かせるうちのお嬢様。あの後、なんとか全問正解しました。
「アメリが小三向け漢字覚えたら、また作ってみるね。小二までだと作るの難しくて……」
「アメリと遊んでくれてありがとうね。じゃあ、門まで送っていくから」
「ばいばーい!」
ブンブン手を振るアメリ。
「ばいばい。じゃあ、またね」
対象的に、小さく手を振るクロちゃん。両者の性格の違いがよく出ている。
そんな彼女を門まで送り、一礼して自転車で去っていくのを見届けるのでした。
◆ ◆ ◆
「さて、アメリちゃんも着替えてお買い物行きましょーか」
「おお? 自転車!?」
「そうねえ。どうしようかな」
一緒に寝室に戻り、PCの時計を見ると四時半。行って帰る頃には暗くなってるかなー。
「今日は車にしよう。自転車はまた明日にでもね」
「うにゅう~」
残念そうなアメリちゃん。せっかく補助輪なしで乗れるようになったのに、なかなか機会を作れなくてごめんね。
「ま、とりあえずお着替えしちゃいましょ」
ぽんと手を叩くと、「はーい」と着替え始める。今日は何を作ろっかなー。
◆ ◆ ◆
とうちゃーく! いつものBGMに包まれ、チラシチェーック!
今日は何にしよーか……とと、呼び出し音が! 慌てて外に出る。
コール主は白部さんだ。
「こんにちは。どうされました?」
「こんにちは。唐突で申し訳ないのですけど、明日一日、ノーラちゃんを預かっていただくわけにはいかないでしょうか?」
「それは構いませんが……珍しいですね?」
実際、ノーラちゃんを預かって欲しいなんて申し出、転生直後ぶりだ。
「明後日、ノーラちゃんを学会に連れていって、本人から色々話してもらうことになったのですけど、そのために明日『T総』に出向いて色々詰めておかなくてはならなくなりまして……。急な申し出で恐縮なのですが」
「はー……なんだか、色々大変そうですね。わかりました、お任せください」
しかし、なんでうちなんだろう? とふと思ったけど、そういえばノーラちゃんがアメリ大好きなんだった。
「ありがとうございます。ごはん代は、きちんとお支払いしますので」
「いえいえ、それぐらい気にしないでください」
「いえ、そういうわけにも……」
おなじみ善意の押し問答がしばし続き、白部さんがお土産を買ってきてくださることで話が落ち着きました。
「では、明日朝早くお邪魔することになってしまいますが……」
「あー……はい。頑張って、しゃっきりしますので」
つい苦笑してしまう。以前、だらしない状態を見られてるものねえ。
「ありがとうございます。では、また明日」
通話終了。ふう、でも買い物終える前で良かったな。ノーラちゃんのぶんもごはん用意しないとだね!
では改めて店内に戻り、チラシチェーック!
今日は春野菜と鶏ももがお安い! そういえば、ノーラちゃんは鶏肉が好きだと以前白部さんが仰ってたっけ。明日のお昼は鶏料理で決まりね!
明日のお昼はチキンでいいとして、今晩はどうしようかな? カートを押しながら青果コーナーを通りかかると、ニラが目についた。ニラか。ニラレバとか美味しいよねえ。
ただ、アメリはレバーどうなのかな。苦手な人は、とことんレバーダメだけど。
「アメリ。レバーって挑戦してみる気ある?」
「おお? 引くやつ?」
「あー、そのレバーじゃなくて、動物の肝臓っていう部分だね。私は好きなんだけど、苦手な人も多いからどうかなって思って」
「んー……食べてみないとわかんない」
そりゃまそうよね。じゃあ、試しに買っていきましょうか。
青果コーナーではニラ、根切もやし、玉ねぎ、トマトをかごにイン。
続いて精肉コーナーに移動して鶏ももと豚レバーをゲット。
あとは、スパイスコーナーでイタリアンハーブミックスとハーブソルトを。
お菓子コーナーでは……。
「アメリ、ノーラちゃんお菓子は何が一番好きかしらね?」
「わかんなーい」
ふーむ。ノーラちゃんリンゴジュースと一緒に食べるから、あんまり甘くないもののほうがいいかな。よし。
「アメリちゃん、『うめえ棒』たくさん買っちゃおう!」
「おお! やったー!」
うめえ棒はアメリも大好物。奮発して二十本ぐらい買っちゃいましょうね。これで二百円ってんだから、ほんと安いわあ。
あとはおなじみ朝食用のパン。日配品コーナーでは牛乳とリンゴジュース、とろけるチーズをかごに。
ラストに、アメリちゃん用にコラ・コーラ五百ミリリットルボトル、レバニラのお供に烏龍茶をっと。私もマスペ一本買おうかな。よーし、完璧!
「念のために訊いとくけど、買っておきたいものある?」
「うめえ棒もコーラもあるからないー!」
ほいほい。それじゃあ、お会計~。
◆ ◆ ◆
ただいまっと。お買い物を冷蔵庫に入れたらごはんを炊いて、豚レバーを洗って切った後、牛乳に漬け込んで臭み抜きも忘れずに!
それじゃあ、寝室に帰還しましょー!
ごはんが炊けるまで、原稿頑張るぞい!
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