「海だー!!」
やっぱり、海に来たらやりたいこのシャウト。設営を終え、海に向かって思いっきり叫びます。アラサー女が青春したっていいじゃない! 自由ってきっと、そういうこと!
「海だー!」
「うみだー!」
アメリとともちゃんも真似っこ。せっかくなので、もう一度三人揃ってシャウト。
「お二人もいかがですか?」
ご夫妻にも提案。
「そうですねえ。ちょっと恥ずかしいけどやろうか」
「ええ」
というわけで、五人でシャウト!
「やー、楽しそうっすねえ」
さつきさんと、宇多野姉妹、白部姉妹も合流!
「自分らもやりましょっすか?」
「すいません、私はちょっと……」
照れる白部さん。
「じゃあ、わたしが代わりに。海だー!!」
おお、まりあさんノリがいい。
それにしても……。親子さんも、まりあさんも、三十代なのにきれいなボディラインだなあ。
「どうしたんですか? わたし、何かおかしいです?」
自分の体を見回すまりあさん。
「あ、すみません。ジロジロ見て。まりあさんも、親子さんも、素敵なプロポーションだなあと」
「あら、ありがとうございます。神奈さんも、素敵ですよ」
「ありがとうございます」
口元に手を当て、うふふと微笑む彼女。親子さんからも、お礼の言葉ををいただきました。
「とりあえず、シート敷きましょうか」
白部さんは、マイペースに設営を進めています。
「白部さんも、ナイスプロポーションですー!」
「もう……恥ずかしいですってば~」
照れる彼女。
こうして後発組も、無事セット完成!
「はーい、ちびっこたち。久美ねーさんの安全講座だ。まず、準備運動を抜かりなく!」
ミケちゃんと一緒にこちらに来て、体操を始める彼女。アメリたちのみならず、私たち一同も準備体操に加わる。
「次! 行動するときは、絶対大人と一緒に!」
「はーい」と返事する、子供五人。
「沖……向こう側な。あっちには絶対行かないこと! 遊泳禁止区域に行くのも、絶対ダメだ。誰か溺れたら、あそこの監視員さんにソッコー知らせろ。救出と応急手当なら、ライフセーバーって人ができるし、ありがたいことに白部サンもいる。あと、水分こまめに取れ。OK?」
「はい!」の五重奏。
「よーし。じゃあ、各自遊ぼうか。ノラ子、ボール遊びしようぜ。それとも、泳ぐのにチャレンジするか?」
「あ、ミケもボール遊びしたいわ」
「オッケー。じゃあ、三人でトスしようぜ。ほかに混ざりたい人はー?」
一同を見回す久美さん。
「あー、あたしらは甲羅干ししてます。由香里、日焼け止め塗ってー」
「お前、見た目の割に、本当に運動嫌いだよな」
マイペースな優輝さんに、久美さんため息。
「まーいーや。さつきはどうするよ?」
「自分も、だらけ組に参加っす~。やっぱ、全身で太陽を思いっきり感じたいじゃないっすか」
「無駄に言い回しが詩的だな……。よーし、ボールで遊ぶぞー」
とてとてと、ボールを手に砂浜中央に向かう三人。
「アメリ。海、入ってみる?」
「おお! 入ってみたい! ともちゃんも入ろ!」
「うん!」
二人とも仲いいわね。ほほえま。
「じゃあ、私が泳ぎ教えるね」
「うん。じゃあ、ここで荷物見てるから」
良夫さんが、荷物番を引き受けてくださいました。というわけで、ポンプを踏み踏みして、浮き輪を膨らませます。
「おお! これ、どうすればいいの!?」
「中央に足入れて、腰辺りで手に持って」
「おお~!」
アメリちゃん、アクアモード!
「じゃ、ゆっくり入ろう……足がつかなくなったら言ってね」
ざぶざぶと、手をつないで横向きに海に入っていく。親子さんと、ともちゃんも同様。
「足、つかなくなった!」
「じゃあ、ちょっと戻ろう。……おけ。じゃあね、体を伸ばして、浮いてごらん」
「おお? ……おおおお!」
新感覚に、びっくりするアメリ。
「よし、足をばたばたしよう」
ゆっくりと、愛娘を引いていく。
「おおお! 面白い!」
「でしょー。少しでも疲れたら言ってね。足がつるといけないから」
しばし、二組でばちゃばちゃと遊泳指導。うーん、泳ぐアメリちゃんを撮れないのが残念だわ。
「うにゅう。疲れてきた……」
おっと。じゃあ、一旦上がりましょ。腕時計がないと、時間がわからなくなるね。もっと体力のないともちゃんは、先に上がっていたようです。
売店で買ったスポドリを、美味しそうに飲む娘。私もいただこう。白部さんが、ゆっくり飲むのがオススメだって仰ってたっけ。ちびちび。
体を休め、近井さんご一家と談笑。繁忙期の中の、ひとときの憩い。良き哉良き哉。
ボール遊び組に目をやると、さすがフィジカルトリオ。いい感じにトスが続いてるようです。ただ、さすがに疲れたのか、向こうもそれぞれのシートに引き上げました。
みんなで、のんびりすることしばし。
「みなさーん、そろそろお昼にしましょう~! バーベキュー場はあっちなので、貴重品は持ってきてくださーい。じゃ、手続きしとくから、材料と炭よろしく」
お、イベント大好き系イケメンガールからお声がかかりましたよ。もうそんな時間か。由香里さんとさつきさんと久美さんが、駐車場へと向かいます。
それじゃあ、いそいそと参りましょうか。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!