「おー、久々のお陽様だー」
算数教室から数日経ち、カレンダーも十月に突入! 台所のフロストガラスを少し開けて外を覗くと、続いていた雨もカレンダーの更新に併せるかのように上がっていた。
私がこんなにしゃっきりしてるということは、時計はすでに九時を回っている。ちなみに今日の朝食は、はちみつバタートースト。
「アメリー。晴れだよ晴れ!」
テーブルで足をぶらぶらさせていたアメリに、笑顔を投げかける。やっぱり、晴れって気持ちいいね!
「おお~! 公園行きたい!」
「あー、まだブランコとか砂場とか濡れてると思うよ。……そうだ、今日は十五夜っていってね。きれいなお月様を、お団子食べながら眺める日なの。天気いいし、今日はお月見しようか」
「きれいなお月様見たい!」
「じゃあ、まずお団子作ろう」
というわけで、珍しく朝からいつものスーパーに向かうのでした。
◆ ◆ ◆
やって来ました、いつものスーパー!
いつもの店内BGMと暖房がお出迎え。もう、暖房に切り替わったんだねえ。
お団子の材料はいたってシンプル。団子粉を買うだけ! お砂糖はうちにあるし。ただ、白く丸めたお団子を作るだけというのも寂しいので、ココアパウダーといちごジャムもお買い上げ。どう使うかは作ってみてのお楽しみ~。
あとは、いくら十五夜だからってお昼からお団子尽くしというのもどうかと思うので、お昼ごはん用に揚げ物セールを利用して、アジフライとうずら卵フライ、千切りキャベツを買いましょ~。
◆ ◆ ◆
というわけで、お買い物を手早く終わらせ帰って参りました!
お昼ごはん用にお米を水に浸しておき、それとは別にお団子を作りまーす。例の三分でクッキングするBGMが脳内で鳴り響く中、テーブルを挟んでアメリと向かい合わせに。手元にスマホを置いて、動画を参考に作りまーす。
「さあさあ、アメリちゃん。私の真似をしながら作ってね」
互いの目の前にあるボウルには、お団子粉三百グラム、お砂糖三十グラムをそれぞれ入れてある。そして、その横には二百ミリリットルのお水が入ったコップ。
「まずこうやって、ヘラで粉とお砂糖をよく混ぜてね。で、あとはお水をちょっとずつ加えながら混ぜていきまーす。お水は全部使い切らなくていいよ」
まーぜまーぜ。
「で、次はこれをこないだのうどん生地みたいに練りまーす。耳たぶぐらいの柔らかさになったらこうやってちぎって丸めてね。まず、これを十五個作ろう」
ピンポン玉より一回り小さいぐらいの球体を、ぽんとラップの上に置く。
「おお~! アメリも頑張って作る!」
こねこね、こねこね。まるめ、まるめ。
「おねーちゃん、お団子の塊まだ残ってるよ?」
双方十五個のお団子を作ると、半分ほど生地が残った。
「うん。次はちょっと変わったお団子作るよ。同じぐらいの大きさで、今度は卵型にしてみよう。これは七個ぐらいね」
二人で卵型のお団子十四個を丸める。
「さあ、最後はちょっと手が込んでるよー。まず、丸いお団子を作ってー」
まるまると丸めていく。
「楕円形……こんな感じね。ちっちゃいこれを平たく潰して、さっきの丸いお団子に二つくっつけるの」
ちょいちょいっとな。うさぎさんのお耳が付いたお団子ができましたよ。
「そうそう、そんな感じ。じゃあ、後は私のお仕事だからアメリはそこで待っててねー」
ポットから中鍋に注いだ熱湯を沸騰させ、その中でお団子を三分茹でる。茹で終わったら、冷水で冷やすっと。
「これをしばらく乾かしまーす。それまでやることないから、動画でも見てようか」
横に並んで座り、猫やアクアリウム、スキューバダイビングといった動画を見て時間を潰す。
「ん。そろそろ乾いたかな?」
手を洗ってから、触って確かめる。よし!
「さーて、アメリちゃん。お絵かきの時間ですよ~。さっきの卵型のお団子あるでしょう。爪楊枝のお尻にジャムを付けて、こうやって……ほら、目が描けたよー」
卵型のお団子に、赤いお目々が描かれると、「おお~!」と声が上がる。
「で、こっちのココアパウダーを少し水で溶かして同じように爪楊枝のお尻で線を引くと……ほーら、うさぎさん!」
卵のお団子がうさぎさんになると、さらに「おお~!」と言いながら拍手してくる。
「じゃあ、アメリもやってみよう」
二人して、お団子をうさぎさんに変えていく。計十四羽のうさぎさんが完成!
「じゃあ、今度は別のうさぎさんを作ってみようね」
さきほど「耳」をつけたお団子に、漫画チックなうさぎさんの顔を描く。
「じゃーん! 別タイプのうさぎさんだー」
「おお~!」と瞳を輝かせるアメリ。
「じゃあ、こっちも一緒に描いていこうね」
描き描き。十四羽の漫画チックうさぎさんも完成!
「ふう、完成! それじゃ、これは一旦冷蔵庫で冷やしとくね。さて、皆さんの都合はいかがかなっと」
LIZEで、かくてるの皆さんとまりあさんのご都合を確認すべくメッセージを送る。どうせならみんなで楽しみたいもんね!
「お月見ですか! ぜひ、みんなでうちに集まってやりましょう!」
「今日、お月見をしようと思うんですが」と書いただけで、お願いするまでもなく光の速さで角照さんからお誘いのメッセージが返ってくる。さすが、イベント大好きガール。
「いいですね。お団子作って持っていきます」
こちらはまりあさんのメッセージ。
「では、角照さんたちのおうちに現地集合で。時刻は何時頃にします?」
とメッセージを送ると、両サイドから七時頃でいいのでは? というメッセージが届き、決行は七時と相成りました。
ただ、比較的治安のいい街とはいえ、まりあさんとクロちゃんに夜道を歩かせるのは怖いので、私が車で迎えに行くことに。
では、時間までお仕事してましょう。こちらも脱稿まで、もうひと踏ん張り!
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