神奈さんとアメリちゃん

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第百五話 ふたりタコパ!

公開日時: 2021年4月22日(木) 22:01
文字数:2,088

ただいまーっと帰宅。


 手を洗った後は、荷物を一旦冷蔵庫へ。


 さて、どっちをお昼にしようかな。時計を見るともう十一時半。お米を水に浸してから炊く時間を考えると、たこ焼きかなー。


「よっし、アメリちゃん。たこ焼きを作りましょー」


「おお~! よくわかんないけど頑張る!」


 二人で拳を突き上げる。さあ、脳内MP3プレーヤーをスイッチオン! おなじみの三分でクッキングするいつものBGMを流してGO!


 久々に作るから、レシピ動画見ながらやろう。まず、昆布と鰹節でだしを取ります。明日、とろろごはんにも使いたいから二リットルぐらい作っちゃおうかな。


「おねーちゃん、お手伝いしたい!」


「おお、感心ですねえアメリちゃん。じゃあ、ピーラーでお芋さんの皮を剥いてくれるかな? えっとね、長さはこのへんまでね」


 お手本として、山芋の先端五センチを一か所ピーラーで剥く。


「おお~! やってみる!」


 アメリが皮を剥き始めたので、その間にタコをぶつ切りに、紅しょうがをみじん切りにする。ん、だしのほうはもう十分出ただろうから、こして別の鍋に移し替えてっと。


「できた! 次何すればいい?」


「おお~。お見事です、アメリちゃん! じゃあ、剥いたところまでこれ大根おろし器でこすってくれるかな?」


「りょーかーい!」


 うんうん。元気で健気で可愛いこと! こんな可愛いアメリにも、そのうち反抗期が訪れたりするのかしら。そうなったら、お姉さん悲しい! まあ、今から心配してもしょうがないか。


 私のほうは、たこ焼き器とたこ焼き返しを洗って使えるようにしておきましょうかねー。年単位で使ってなかったからね、これ。……よし、洗い終わった! 水気をよく拭いて、油をハケで塗って……と。


「おねーちゃん、できたよー!」


「ほいほーい。じゃあ、ここから先は見ててねー」


 ボウルに卵を六個割り入れ、ハンドミキサーで溶き卵に。続いて、おろし山芋を注ぎ、だし千八百ミリリットルと、薄力粉五百グラムを少しずつ加えながら、ハンドミキサーでダマにならないように混ぜていく。そして、醤油とみりんを大さじ一杯ずつ入れ、これも混ぜる!


 続いてたこ焼き器を熱し、十分じゅうぶん熱くなったら、生地を注ぎ入れまーす。急いでその上に、タコ、天かす、紅しょうがを投入!


 外側が固まるまで待つことしばし。くるりくるりと九十度ずつたこ焼きをひっくり返していく。うん、まだまだ腕は鈍ってないみたいだね!


 こうしてさらに九十度ひっくり返し、たこ焼き完成! これを、もう一セット焼く。……ふう、できた。


 あとはお皿に盛ってソースをかけ回し、青のりをまぶして完成~!


「ふー……! できたよー!」


「おお~! これがタコパ?」


「うんにゃ、これはたこ焼き。で、たこ焼きをみんなで一緒に食べるのがたこ焼きパーティー、通称タコパなの。まあ、今回はアメリと二人だけどね」


 汗を拭いながら説明すると、「おお~!」と感心する。


「今、お茶れるね」


 というわけで、マヨネーズともども配膳してエプロンを外し、対面に座る。


「それじゃあ、いただきます!」


「いただきます!」


 二人で合掌しながら合唱。


「熱いから気をつけてねー。好みでマヨネーズをかけても美味しいよ~」


 私もまずはひと口。はふはふ、はふはふ。熱~い。でも、外はカリッ、中はトロッでとっても美味ししい!


「熱っ!」


 アメリが悲鳴を上げる。


「大丈夫!?」


「うん、へーき。熱くてびっくりしちゃった」


 ふう、こっちもびっくりした。


「気をつけて食べようね。熱かったら、ふーふーしよう」


 二個目をふーふーしながら食べるアメリ。


「美味しい!」


 瞳をキラキラ輝かせる。良きかな良きかな


 こうして、たこ焼き完食! お茶をすすりながら、食後のくつろぎを愉しむ。


「今晩も、アメリにとって初めての料理だよ~。お楽しみに!」


「おお~!」


 またも瞳をキラキラ輝かせる。ふふ、世界がどんどん広がっていくね。



 ◆ ◆ ◆



 いつもの生活を再体験すると、調子が戻ってきたようでプロット作業に集中できました。アメリのほうも、九九と漢字の練習に余念がない。


 そして、晩ごはんターイム!


 といっても、うなぎ一尾を半分こして、添付のタレをかけた後レンチンするだけなんだけどね。で、あったかごはんに載せたら完成~!


 中国産の養殖だけど、さすがに国産天然はねー。二重の意味で手が届かない。まあ、これで十分じゅうぶん美味しいからよし!


 アメリはこれも、美味しい美味しいと食べてくれ、とってもほほえまでした!



 ◆ ◆ ◆



「ねーねー、おねーちゃん」


「なーに?」


 時刻は九時手前、アメリはもうすぐおねむの時間。


「ご本読んで~」


「あら、一人で読めるようになったのに?」


「……読んでほしいんだもん」


 人差し指をつんつん突き合わせ、もじもじするアメリ。


「そっか、そうだね。じゃあ、好きな本取って」


 ふふ、甘えたくなっちゃったんだね。可愛いなあ。


 喜んで「くろねこクロのたび」第七巻を持ってきた彼女をベッドに横にならせ、テーブルランプの明かりで読み聞かせました。


 読み聞かせているとすやすやと寝息を立て始めたので、頭を一度だけ撫で、仕事机のライトを点けてテーブルランプを消灯する。おやすみ、私の可愛いお姫様。


 さーて、お仕事の続き頑張ろうっと!

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