今日は、白部さんとノーラちゃんがオフ。なので、近井さんご一家ともども、公園に行きましょうというお話になりました。
相変わらず暑いけど、少し曇ってるおかげで日差しがやや弱いのが救いかな。白部さんは念の為に、塩分補給のタブレットを持ってきているそうです。さすが、お医者様。
「「「とーちゃーく!」」」
公園に着くと、嬉しそうに声を出す子供三人。暑いのに元気ですねえ。
「あら、模部さん! こんにちはー!」
突如、親子さんが声を上げます。彼女の視線を追うと、ベビーカーとともにベンチで休んでいる、私たちぐらいの年の女性がいました。その人に気づくと、良夫さんもご挨拶します。向こうも、ご挨拶返し。
「お知り合いですか?」
「はい。お隣にお住まいの、模部さんです」
「私たちも、ご挨拶しなきゃですね」
というわけで、私たちも模部さんにご挨拶。
「はじめまして。近井さんの友人の、猫崎と申します。こちらは、娘のアメリです」
「同じく、白部と申します。娘のノーラです」
子供たちも、ご挨拶。
「はじめまして、模部です。親子さんから、お話はかねがね伺っていました。本当に、猫の耳なんですねえ」
もはや、猫耳人間はご近所で人の口に上りすぎたのか、さして驚かれていないご様子。
ベビーカーを見ると、まだ一歳にもなっていないであろう赤ちゃんが、すやすやと眠っていました。
「可愛いですね。服の色からして、娘さんですか?」
「はい、女の子です。名前は栄子っていうんです」
「おおー? ちっちゃい人間だー」
興味深げに、栄子ちゃんを見る愛娘。
「そっか、アメリは赤ちゃん見るの初めてか。生まれて間もない、人間の子供だよ」
「「おおー」」
感心する、猫耳幼女の二人。
「撫でようとして、頭触っちゃダメよ。まだ、頭の骨がくっついてないはずだから」
「おお!?」
「えー! そーなのかー!?」
白部さんが説明する、人体の神秘に子供二人びっくり。
「あ、起こしちゃったかな」
栄子ちゃんが、うっすらと目を開ける。見知らぬ人……私たちに、きょとんとしているね。
「手、握っていいですか?」
「はい」
手を握る。ほんと、ちっちゃいなあ。
「アメリも、握ってみていい?」
「ええ。優しくお願いね」
模部さんの許可を得て、アメリもそっと握る。
「おお~、あったかい! お手々、ちっちゃーい!」
きゃっきゃと喜ぶ、栄子ちゃん。
「栄子、アメリちゃんのこと、気に入ったみたいよ」
「おおー! 気に入られた!」
嬉しそうな愛娘。
「アタシもいいかー?」
「どうぞ」
ノーラちゃんも、手を握る。
「おー! これが赤ちゃんの手かー! ほんと、ちっちぇーなあ!」
少しだけ、ゆらゆら。すると、突如栄子ちゃんが、泣き出してしまいました!
「え!? アタシ、なんか悪いことしたか!?」
「いえ、多分おむつかも……一度、帰宅させていただきますね」
そう言い、ベビーカーを押して、公園から出ていく模部さん。
「ルリ姉、おむつって何だ?」
「赤ちゃん用の下着だね。うんちとか、おしっこを受け止めるために履かせるの」
「うえー、ばっちー!」
不快感を、隠そうともしないノーラちゃん。
「そうこと言わないの。ノーラちゃんだって、最初は床に垂れ流してたんだからね」
「猫だった頃の話、言うなよー……」
ばつが悪そうに、耳としっぽを垂れて、しょんぼりする。
「おねーちゃん、赤ちゃんって可愛いね!」
キラキラ瞳のアメリちゃん。
「そうね。私も白部さんも、生まれて間もない頃は、ああだったのよ」
「へー!」と感心する、子供たち。
「写真、残ってるかな。今度帰省したら、見せてあげるね」
「おおー!」
愛娘の瞳が、さらに瞳をキラキラを増す。
「模部さん、またこちらに戻ってこられるのでしょうか?」
「どうでしょう? 暑いですからねえ……」
白部さんの質問に、ハンカチで額の汗を拭いながら、答える親子さん。
「友美、お砂場で遊ぶかい?」
「うん! アメリちゃんも、ノーラちゃんも遊ぼ!」
「「おおー!」」
良夫さんのご提案で、いつもの砂遊びに。元気、元気!
今回は、みんなでオブジェ作り対抗戦。やはり、例によって、よくわからない物体を作っていく我が娘。
いや、ノーラちゃんのも割と謎だな……。なんだろう、これ?
「ノーラちゃん、それなーに?」
「早井選手だぜ!」
ええと、ノーラちゃん憧れのサッカー選手だっけ。あまり、人に見えないわね……。
ともちゃんは、堅実にピラミッドを作っています。お上手~。
「できたー!」
アメリの完成宣言。
「それは、なーに?」
「あのね、えっとね……みろろん! ラーメン屋さん!」
お砂オブジェで、うどん屋と蕎麦屋とラーメン屋さんが揃ったね。次は、スパゲッティー屋さんかしら?
「あ、模部さん戻ってこられましたよ」
親子さんが戻ってきた彼女に気づき、一同に声をかける。
「おおー! また、赤ちゃん見よー!」
「ええー! アタシ、まだ完成してねーぞー」
「あとで、また作ろうよ! 二人とも、行こー!」
アメリが汚れた手のまま駆け寄ろうとするので、「手を洗ってからね」と注意する。「おお」と言い、水道に向かうのでした。
こうして、アメリたちは赤ちゃんとのふれあいを、「べろべろばあ」をしたり、思う存分堪能。とても素晴らしい体験となったようです。
猫耳人間って、子供産めるかどうかわからないのよね。まだ、大人になった子がいないから。
もし、アメリに子供が生まれたら、どんな子になるんだろう? 同じ猫耳人間同士としか、産めないのかな? ちょっと、謎だね。
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