朝食はコンビニのサンドイッチで適当に済ませ、お昼にかくてるハウスへ。
「あけましておめでとうございます~!」
門前でご挨拶すると、優輝さんに「あけましておめでとうございます! どうぞ~」とお返事いただき、中に入れてくださいました。
おや、バンがないな。まりあさんを迎えに行ってるのかな?
屋内に入ると、優輝さんが「どーもどーも」とお出迎え。まりあさんとクロちゃん、由香里さん以外が揃っているので、互いに「あけましておめでとうございます」とご挨拶。
「神奈さん、福井でしたっすよね。どうでしたっす、久々の北陸は?」
「いやー、のんびりできたというか、忙しかったというか……」
さつきさんに尋ねられたのをきっかけに、意外とみっちりスケジュールなお正月だったことを皆に話す。
すると、「あけましておめでとうございます」と、まりあさんたちが入ってきました。再びご挨拶する一同。
「お年賀状、ありがとうございました。後ほどお返事書かせていただきますね」
「いえいえ。こうして直にご挨拶できましたし、気を使っていただかなくて大丈夫ですよ」
恐縮するまりあさん。
「まあ、そこは気分ですから。アメリにも年賀状初体験させてあげたいですし」
「そう仰るのでしたら」
というわけで、話がまとまりました。
「まりあさん、神奈さんのお正月すごくジュージツしてたみたいっすよ~」
彼女に私の年末年始をかいつまんで話すさつきさん。
「水族館に博物館ですか。素敵ですねー」
「はい。アメリも大変喜んでくれました」
互いに、ふふと微笑む。
「さて、積もる話はせっかくだから、お土産交換の後にしませんか?」
天性のリーダー、優輝さんが場を仕切る。
「そうですね。じゃあ、私から」
一番槍を志望し、皐月ヶ浦せんべいを皆さんに配っていく。
「へー、『さつきがうら』っすか……。なんか親近感を覚える名前っすねー」
さつきさんが、ちょっと愛おしそうに箱を眺める。
「次は右回りってことで、あたしですかね。こちらなんですけど」
おしゃれな黄色い箱を、袋から取り出す優輝さん。
「あら、きれいですねー」
「でしょう? こちら、『MANABIYA』っていうフレンチレストランで売ってるものなんですけど、オリーブとクリームをビスキュイで挟んだ、ちょっと珍しい一品なんです」
「オリーブですか。面白いですね」
白部さんが、興味深げに外箱を眺める。
「んじゃ、次はウチらかな。なにぶん、こいつと家が近いもんで、二人合わせてみたいになって悪りーんだけどさ」
そう言って、久美さんが瓶詰めを取り出す。
「果物のシロップ漬け……みたいですね?」
「そそ。傷まないし、途中下車で買えるし、ちょうどいいかなって」
まりあさんの疑問に答える久美さん。
「わ~。これでお菓子作ってみたい~」
由香里さんがキラキラと瞳を輝かせる。
「二人でお金出しあって、買ってきたっす。好きなのを取ってくださいっす」
各人、興味惹かれたフルーツのものを取っていく。私は、ラ・フランスをいただくことにしました。
「それにしても、瓶詰めとか重かったでしょう」
「んー。まあ、こいつと一緒だったし、伊達に鍛えてねーしな。ラクショーよ」
おお、頼もしいお言葉。
「次はわたしですね。こちらをどうぞ」
箱を手渡してくる由香里さん。
「こちら、『WABISABI』さんの、『香りほろろん』というお菓子です。文字通り、ほろろんととろけるような口当たりが評判なんですよ」
一同から、感心の声が上がる。
「次は私ですね。ちょっとF市だと定番過ぎて、どうにも恐縮してしまうのですけど……」
そう言って白部さんが取り出したのは、青い箱。
「『あおばや』さんの、『武蔵野日記』というお菓子です」
「あおばやさん、有名ですよね~」
「わたし、あそこのお菓子好きですよ~」
F市住まいが長い私とまりあさんが反応する。
「そんなわけで、ちょっとお二人には新鮮味がないかな、なんて考えてしまうのですが」
「いえいえ、お土産とか突飛さで選ぶものではないですし。ねえ、まりあさん?」
「はい。すごく嬉しいですよ」
二人で、うんうんと頷き合う。
「そう仰っていただけて、良かったです」
ほっと胸を撫で下ろす白部さん。
「では、最後はわたしですね。こちらなのですが」
「あら、可愛い!」
まりあさんが取り出したのは、リボンが結ばれた可愛らしいバス型の箱。
「わたしの実家がある、S町のお菓子屋さんの名物なんです。可愛いですよね」
ふふ、と微笑むまりあさん。ちなみにまりあさんのいうS町は松戸医院があるほうではなくて、F市の北にある別の町。
「中には、ドーナツが入ってるんです」
「うわあ~、ほんと可愛いですね~」
あまりの可愛さに、とろけそうになる由香里さん。
「おお~。アメリ、初めてバス乗ったよ!」
しゅびっと挙手する彼女。
「そっかー。じゃあ、親近感が湧くね」
優輝さんがアメリの頭を撫でると、「うにゅう」という気抜け声を上げる。
「さて! お土産交換も終わったところで、会食といきましょうか!」
やはりというか、優輝さんがお昼にみんなを呼ぶといったらこれよね。
「はい、ではありがたくいただきますね」
優輝さんのご厚意は素直に受けることに決めたので、無論快諾。
「……ピザじゃねーだろうな?」
「え? ピザですよ?」
優輝さんのいい笑顔に、がっくり項垂れる久美さん。
「ま、いーや。ハレの場だ、好きにやってくれ」
「らじゃー!」
しゅびっと敬礼し、キッチンへ消える優輝さん。
残された私たちは、お土産交換の後は土産話に花を咲かせるのでした。
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