神奈さんとアメリちゃん

退会したユーザー ?
退会したユーザー

第百六十二話 お楽しみ! お土産交換会!

公開日時: 2021年4月25日(日) 14:01
文字数:2,226

朝食はコンビニのサンドイッチで適当に済ませ、お昼にかくてるハウスへ。


「あけましておめでとうございます~!」


 門前でご挨拶すると、優輝さんに「あけましておめでとうございます! どうぞ~」とお返事いただき、中に入れてくださいました。


 おや、バンがないな。まりあさんを迎えに行ってるのかな?


 屋内に入ると、優輝さんが「どーもどーも」とお出迎え。まりあさんとクロちゃん、由香里さん以外が揃っているので、互いに「あけましておめでとうございます」とご挨拶。


「神奈さん、福井でしたっすよね。どうでしたっす、久々の北陸は?」


「いやー、のんびりできたというか、忙しかったというか……」


 さつきさんに尋ねられたのをきっかけに、意外とみっちりスケジュールなお正月だったことを皆に話す。


 すると、「あけましておめでとうございます」と、まりあさんたちが入ってきました。再びご挨拶する一同。


「お年賀状、ありがとうございました。後ほどお返事書かせていただきますね」


「いえいえ。こうして直にご挨拶できましたし、気を使っていただかなくて大丈夫ですよ」


 恐縮するまりあさん。


「まあ、そこは気分ですから。アメリにも年賀状初体験させてあげたいですし」


「そうおっしゃるのでしたら」


 というわけで、話がまとまりました。


「まりあさん、神奈さんのお正月すごくジュージツしてたみたいっすよ~」


 彼女に私の年末年始をかいつまんで話すさつきさん。


「水族館に博物館ですか。素敵ですねー」


「はい。アメリも大変喜んでくれました」


 互いに、ふふと微笑む。


「さて、積もる話はせっかくだから、お土産交換の後にしませんか?」


 天性のリーダー、優輝さんが場を仕切る。


「そうですね。じゃあ、私から」


 一番槍を志望し、皐月ヶ浦さつきがうらせんべいを皆さんに配っていく。


「へー、『さつきがうら』っすか……。なんか親近感を覚える名前っすねー」


 さつきさんが、ちょっと愛おしそうに箱を眺める。


「次は右回りってことで、あたしですかね。こちらなんですけど」


 おしゃれな黄色い箱を、袋から取り出す優輝さん。


「あら、きれいですねー」


「でしょう? こちら、『MANABIYA』っていうフレンチレストランで売ってるものなんですけど、オリーブとクリームをビスキュイで挟んだ、ちょっと珍しい一品なんです」


「オリーブですか。面白いですね」


 白部さんが、興味深げに外箱を眺める。


「んじゃ、次はウチらかな。なにぶん、こいつさつきと家が近いもんで、二人合わせてみたいになって悪りーんだけどさ」


 そう言って、久美さんが瓶詰めを取り出す。


「果物のシロップ漬け……みたいですね?」


「そそ。傷まないし、途中下車で買えるし、ちょうどいいかなって」


 まりあさんの疑問に答える久美さん。


「わ~。これでお菓子作ってみたい~」


 由香里さんがキラキラと瞳を輝かせる。


「二人でお金出しあって、買ってきたっす。好きなのを取ってくださいっす」


 各人、興味惹かれたフルーツのものを取っていく。私は、ラ・フランス洋梨をいただくことにしました。


「それにしても、瓶詰めとか重かったでしょう」


「んー。まあ、こいつさつきと一緒だったし、伊達に鍛えてねーしな。ラクショーよ」


 おお、頼もしいお言葉。


「次はわたしですね。こちらをどうぞ」


 箱を手渡してくる由香里さん。


「こちら、『WABISABI』さんの、『香りほろろん』というお菓子です。文字通り、ほろろんととろけるような口当たりが評判なんですよ」


 一同から、感心の声が上がる。


「次は私ですね。ちょっとF市だと定番過ぎて、どうにも恐縮してしまうのですけど……」


 そう言って白部さんが取り出したのは、青い箱。


「『あおばや』さんの、『武蔵野日記』というお菓子です」


「あおばやさん、有名ですよね~」


「わたし、あそこのお菓子好きですよ~」


 F市住まいが長い私とまりあさんが反応する。


「そんなわけで、ちょっとお二人には新鮮味がないかな、なんて考えてしまうのですが」


「いえいえ、お土産とか突飛さで選ぶものではないですし。ねえ、まりあさん?」


「はい。すごく嬉しいですよ」


 二人で、うんうんとうなずき合う。


「そうおっしゃっていただけて、良かったです」


 ほっと胸を撫で下ろす白部さん。


「では、最後はわたしですね。こちらなのですが」


「あら、可愛い!」


 まりあさんが取り出したのは、リボンが結ばれた可愛らしいバス型の箱。


「わたしの実家がある、S町のお菓子屋さんの名物なんです。可愛いですよね」


 ふふ、と微笑むまりあさん。ちなみにまりあさんのいうS町は松戸医院があるほうではなくて、F市の北にある別の町。


「中には、ドーナツが入ってるんです」


「うわあ~、ほんと可愛いですね~」


 あまりの可愛さに、とろけそうになる由香里さん。


「おお~。アメリ、初めてバス乗ったよ!」


 しゅびっと挙手する彼女。


「そっかー。じゃあ、親近感が湧くね」


 優輝さんがアメリの頭を撫でると、「うにゅう」という気抜け声を上げる。


「さて! お土産交換も終わったところで、会食といきましょうか!」


 やはりというか、優輝さんがお昼にみんなを呼ぶといったらこれよね。


「はい、ではありがたくいただきますね」


 優輝さんのご厚意は素直に受けることに決めたので、無論快諾。


「……ピザじゃねーだろうな?」


「え? ピザですよ?」


 優輝さんのいい笑顔に、がっくり項垂うなだれる久美さん。


「ま、いーや。ハレの場だ、好きにやってくれ」


「らじゃー!」


 しゅびっと敬礼し、キッチンへ消える優輝さん。


 残された私たちは、お土産交換の後は土産話に花を咲かせるのでした。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート