食後は、「るるる」にとんぼ返り。まずは、子供たちのぶんを先に済ませちゃいましょうってことで、いつもの児童服売り場へ!
私と近井さんはすでに子供用の水着を買っている身なので、さつきさんたちとウィンドゥショッピング。
「ミケ子見てるとさ、ウチも子供欲しくなっちゃうよなあ」
嬰児服売り場を眺めながら、そんなことを仰る久美さん。
「姉さん、そんないい相手いたっけっすか?」
「オメー、わかってて言ってるだろ」
最初にお会いしたとき以来の、じゃれ合い空振りローキック。
「もうー。すーぐ、そうやってどつき漫才始めるんですから~」
由香里さんが、ため息を吐く。
「モテたかったら、酒量を今の半分にはしたほうがいいっすよ~」
「よけーなお世話だ。生きがいを減らせるかってーの。人生冗談しかない、オメーに言われたかねえ」
軽く、肩口にチョップ。ほっとくと、いつまでもやってそうね。
「その、お二人はいつもそんなご感じで?」
面食らった近井さんが、お二人に尋ねる。
「あー、どうもすんません。こいつとは、子供の頃からずっとこんな感じで。ほんとに、口を開けば九割冗談しか言わないんですよ」
「あっはっはー。メンボクないっすー」
これまた、なんだか懐かしいやり取り。メンボクないっすーは、バーベキューのときだったかな。あれで彼女のキャラを、完全把握したもんです。
「お店にご迷惑だから、そろそろやめてくださいね。まあ、うちの親とか結婚しろアタックしてこなくて、気楽ですけど」
由香里さんが制止しつつも、そんなことを仰る。
「うちもですねえ。奇しくも、アメリという孫ができて、その顔を見せることができましたけど」
傍らで、ともちゃんとおしゃべりしていたアメリの頭を、優しくぽんぽん叩く。
「私が言うのもなんですけど、今は結婚して家庭持つのが、すべてではないですからね。ライフスタイルが多様化を迎えてるんだと思います」
そう仰る近井さんも、ともちゃんの頭を優しく撫でる。
近井さんのご家庭は円満だろうから、そういう方を見ると、ちょっと結婚願望が刺激されちゃうかな。
「自分は、ケッコンするならぜひ、姉さんとがいいっすねえ……」
頬に手を当て、身をくねらせるさつきさん。
「子供産ませろよ。人の話聞けよ」
また、漫才してる……。ほんとに、仲がおよろしいことで。
「やあやあ、にぎやかですねえ。子供たちの水着がだいたい決まったんですけど、皆さんの意見もいただきたくて。ちょっと、試着室のほうに来ていただけますか?」
優輝さんが試着室のあるほうから歩いて来ながら、私たちに助言を求めてきました。では、さっそく行ってみましょう~。
◆ ◆ ◆
現場に到着すると、お三方の勧めで、順番にミケちゃん、クロちゃん、ノーラちゃんが入ったボックスに首を突っ込んで覗いていく。
服の上から試着してるから、イメージがそのまま伝わるわけではないけど、漫画家として鍛えた審美眼を発揮してみせましょうとも!
まず、ミケちゃん。赤で、肩口と腰にフリルの付いたタイプ。これはとても似合ってる。いかにもミケちゃん、って感じだわ。
次、クロちゃん。なんというか、ぱっと見、黒い旧スクール水着。逆に、よくこんな地味なのを児童服売り場に置いてたなって感じ。クロちゃんらしいといえばらしいけど、私的にはノーかなあ。
最後、ノーラちゃん。薄緑のワンピース。フリルなんかの装飾はないけど、機能的だし鮮やかで、ノーラちゃんによく似合っている。これまたグー!
というわけで、所感を優輝さん、まりあさん、白部さんにそれぞれ伝える。
「うーん、クロちゃん。やっぱりもうちょっと可愛いのにしましょう?」
「そういうの、ボクに似合うかなあ……?」
一度試着したものを脱ぎ、着替えてボックスから出てくるクロちゃん。
「私的には、黒基調なら、中央に縦に白が太く走ってるのを選びますねえ。サイドの黒と合わさると、すごく締まった感じが出ますけど」
「わたしは、ピンクが黒髪に映えると思うんですよ。互いに引き立て合う配色ですから」
「自分的には、黒髪を目立たせるなら、フリル付きの純白をオススメしたいっすね」
絵心トリオでワチャワチャ。どうにも、それぞれに一理あって、これ! という意見が出ない。
「近井さんは、どう思われます?」
私たちでは堂々巡りになるので、彼女にパスを投げてみる。
「私ですか!? そうですねえ……クロちゃんは、それがいいって思ったのよね? だったら、好きなのがいいんじゃないかしら。いかがでしょう?」
クロちゃんとまりあさんを、それぞれ見る彼女。
「ボクは……うん。やっぱり、これがいいなって」
「クロちゃんがそう言うなら、わたしとしても、意思を尊重したいですね」
こうなると、私たちの出る幕ではないね。結局、好きなのを着るのがイチバン!
というわけで、三人の水着が無事決まり、続いてスポーツ用品店で浮き輪とポンプをお買い上げ。かくてるの皆さんは、複数人乗りのビニールボートも買っていきました。
これらを一度トランクに収めた後は、いよいよ大人組のお買い物ですよ! 楽しみですねえ!
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