神奈さんとアメリちゃん

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第三百二十七話 今度はあそこに行きましょう!

公開日時: 2021年8月21日(土) 21:01
文字数:2,480

「ただいまー!」


「おお~ただいま~」


 帰宅早々、アメリちゃん大あくび。車の中で寝かせたままにするわけにもいかなかったからね。


「夜まで頑張ってね。起きるの変な時間になっちゃうよ」


「頑張る……」


 あ、船漕いでる。ダメそうね。


「じゃあ、一時間だけ仮眠ね。おかーさーん、いるー?」


 リビングに入っていく。


「おかえりー。どう? 楽しかった?」


「ただいまー。楽しかった!」


 しゅびっ……とはいかず、のっそり挙手するアメリちゃん。


「ね! 久々に遊園地なんてのもいいもんだね。で、アメリと私、一時間だけ仮眠するから後で起こして。あ、それとお土産~。お蕎麦と『甚右餅』、後で食べましょ。それ以外のお土産はアメリのだから置いといて」


「りょーかい。休んでらっしゃい」


「助かりまーす。それじゃー」


 お父さんは、ご近所さんに顔出ししてるとのこと。二人連れ立って二階の自室で着替えた後、客間で休む。おやすみなさーい……。



 ◆ ◆ ◆



「神奈ー。一時間経ったわよー」


 ゆさゆさ。


「あー、おはよー……。って、もう夜か」


 むくりと起床


「いいお目覚めだこと。ほんと不思議ねえ。なんで、朝だけあんななのかしら」


 その謎については、私が一番知りたいデス。


「アメリちゃーん、起きてくださーい。ちゃんと眠れなくなりますよー」


 心苦しいけど、隣の愛娘を揺すり起こす。


「おお……おはよー……」


「少しスッキリした?」


「うん」


 寝ぼけ眼をこする眠り姫。いつもと逆だねえ。


「お父さんもうすぐ帰って来るから、帰ってきたらお夕飯作るわね。お餅は食後にいただきましょう」


「はーい。じゃ、下に行こうか」


 というわけで、アメリちゃんを連れてリビングへ。ん、スマホの充電終わってる。記念写真は自宅のPCにメールで送って……と。


 LIZE起動!


「こんばんは。子供たち起きてますか?」


 呼びかけると、一斉に挨拶が返ってくる。


「こんばんは。クロちゃんぐっすり寝ちゃってますけど、起こしたほうがいいですか?」


「そうですねー。休んでるところ、申し訳ないですけど、明日・明後日の予定を立てなければいけないので、お願いできますか?」


「わかりました」


 ほかの子たちも仮眠中だったようで、起こしてもらう。


「えーと、全員揃いましたかね?」


 皆さんから、YESのお返事。


「明日と明後日なんですけど、『福井松島アクアリウム』と『ディノ・ミュージアム』に子供たちを連れて行ってあげるのはどうでしょう?」


「名前からするに、水族館と恐竜の博物館ですね? ちょっとミケに訊いてみます」


 しばらく皆さん、子供たちと相談している模様。私も、うちの子に尋ねてみますか。


「アメリちゃん。お正月に行った水族館と博物館、もう一回行っても構わない?」


「行きたい!」


 しっぽをピンと立てる。おお、すごく気に入ってくれたみたいね。


 あと一日余裕があれば、クロちゃんを毛谷黄龍けやきたつ神社に連れて行ってあげたいところなんだけどな。お祭りやってるわけでもない神社に、ほかの子を連れて行って楽しんでくれるかというと疑問符がつくので、優先度は低い。


 画面を見ると、ほぼ全員賛成の方向でまとまったようです。ほぼ・・なのは、どうもミケちゃんがディノ・ミュージアムに難色を示してるようで。


 しばし間があって。


「ミケ、『お姉ちゃんなんだから、妹たちを楽しませてあげないと』って言ったら、割とあっさり引き下がってくれました」


 我の強いミケちゃんを御する魔法のワード、「お姉ちゃん」。強い。


「どっちを先にします? また子供たちに相談させましょうか?」


「そうですね。今、グループ通話にしてノーラちゃんと代わります」


 全員、子供たちとバトンタッチした模様。うちもそうしましょっと。


「あのね、水族館はペンギンとか色々可愛い! 博物館は、恐竜とかすごい!」


 アメリちゃん語彙力で、それぞれの施設の魅力を三人に説明する。


「あ、そうだ。この時期なら、ディノ・ミュージアムで化石掘り体験できるよー」


「おお!? 今ね、おねーちゃんが……」


 追加情報を話す。見守りならぬ、聞き守ってましょうかね。


「あのね、『ミケはおねーさんだから恐竜を先にしてあげるわ』だって!」


 ほいほい。決定しましたね。


「アメリちゃん、交代~」


「はーい」


 スマホを受け取る。


「みんな、決まったみたいね。優輝さん、まりあさん、白部さんとそれぞれ代わってくれる?」


 めんどくさいので、このままグループ通話で話しちゃおう。


「やー、どうもどうも。恐竜が先になったみたいですね」


 優輝さんの声だ


「はい。というわけで、明日のスケジュールなんですけど……」


 主に焦点になったのは、シーズン中のシーズンなので、大変混み合うこと請け合いなため、お昼をどうするかということ。


 相談の末、出発前に何か軽く詰め込み、お昼は混雑時を外して現地できっちり食べましょうという話になりました。ちょうど今日、色々買ったしね。電車での移動を考えると、あまりお土産まみれにならないほうがいい。


 そうそう、お土産といえば、浦野さんたちご近所さんに配るぶんの皐月ヶ浦さつきがうらせんべいは、初日にすでに配送手配してあります。「またこれか」とか思われたら悲しいけど、五ヶ月経ってるしOKでしょう。


 今回ご同行されている皆さんは、ご自身で手配されたようです。皆さんも、ご近所さんに配らなきゃですものね。……よく考えたら、ご近所さん皐月ヶ浦せんべいまみれになっちゃうな。まあ、深く考えないようにしましょう。


「ただいまー」


 あ、お父さんが帰ってきた。


「父が帰宅したので、これから夕飯です。では、ご相談ごとがあれば後ほど。失礼します」


 皆さんからご挨拶され、通話終了。


 お母さんを手伝おうとしたけど、一人で大丈夫だから休んでなさいと言われちゃったので、お父さんと談笑する。この連休を利用して、机を作ってるそうな。凝り性ですねえ。


「できたわよー」


 と、お母さんの声。お土産のお蕎麦を、越前そばにしてくれました!


 辛味大根が苦手なアメリには、代わりに薄揚げできつね蕎麦。油揚げは福井のソウルフード! 私たち大人組にも、副菜として厚揚げが出されています。


「いただきまーす!」


 うーん、美味しい!


 明日・明後日が楽しみだなー。

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