神奈さんとアメリちゃん

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第百七十話 ほのぼのお勉強会

公開日時: 2021年4月25日(日) 18:01
更新日時: 2022年5月18日(水) 13:37
文字数:2,802

まりあさんとの楽しい会話から二日後の午後一時。もうすぐクロちゃんが遊びに来る運びになっています。


 ネームのほうはありがたいことに一発で通り、現在執筆中なう。


 こつこつ下書きを進めていると、インタホンがピンポンと鳴りました。応対すると、果たしてクロちゃん。門までお迎えに行きましょ。


「はーい……あら? 白部さん、こんにちは」


 クロちゃんと一緒に、白部さんとノーラちゃんが立っているじゃないですか。クロちゃん、ノーラちゃんとも挨拶を交わす。


「こんにちは。お散歩しようとしたら、ちょうど猫崎さんのお宅の前でクロちゃんを見かけまして。話を聞いてみたらアメリちゃんと一緒に遊ぶとのことで、よろしければ私たちもお邪魔しようかと思いました。ご迷惑でしたら、当初の予定通り散歩にでかけますが……いかがでしょう?」


「そうですね。仕事中なので、私自身はそちらに集中していて構わないのでしたら、一向に構いませんよ。ちょうど、おせんべいもあるのでおもてなしできますし」


「ですって、ノーラちゃん」


「おー! じゃあ、図鑑とゴッドレンジャー持ってくる!」


 ぴゅうと、自宅に舞い戻ろうとするノーラちゃん。


「あ、こら。鍵かかってるわよー。一旦、失礼します」


 慌てて後を追いかける白部さん。いやはや、相変わらずエネルギッシュだね、ノーラちゃんは。


「ボクは、先に上がっていていいですか?」


「いいよー。アメリ、寝室にいるから」


 クロちゃんと連れ立って、屋内へ。


「お先にどうぞ。お茶菓子持っていくからねー」


「ありがとうございます」


 ぺこりと一礼して、寝室に向かう彼女。


 お茶とおせんべいを用意して寝室に行こうとすると、インタホンの呼び鈴が。一旦リビングの机にお茶菓子を置き応対すると、白部さんでした。


 二人を招き入れ、寝室へ移動。


「どうぞ、召し上がってください」


 白部さん含めた四人に配膳する。


「ありがとうございます。ほら、ノーラちゃんも」


「おー! ありがとな、カン姉!」


 元気に拳を突き上げるノーラちゃん。


 クロちゃんも、「ありがとうございます」とぺこりと頭を下げる。


 さて、私はお仕事の続きだよ~。子供たちと戯れたいけど、生活も大事なのよ。しくしく。


「アメリ、漢字のお勉強したいんだってね」


 クロちゃんがアメリに問いかける。ガサガサと紙を取り出す音と、鉛筆を置く音が聞こえた。


「おお~。そだよー」


「あら、お勉強会? 感心感心。ノーラちゃんも、せっかくだからお勉強しましょ?」


「ええ~。恐竜の話したいぞー」


 これは、白部さんとノーラちゃん。


「クロちゃんが先約なんだから、だーめ。それに、お勉強なら私が教えてあげられるし。どう、クロちゃん?」


「そうしてもらえると、助かります」


 クロちゃんが、ちょっと恐縮気味に言う。


「ね、二人ともお勉強したいって。ノーラちゃんも、早く絵本や図鑑を一人で読めるようになりたいでしょ?」


「う~……。わかった、勉強する!」


「よし! その意気だよ、ノーラちゃん!」


 すると、「えへへ~」というとろけた声が聞こえる。そちらをちらりと見ると、ノーラちゃんが白部さんに頭を撫でられていた。


 その後は、それぞれの学力に合わせた三面指導を白部さんが務める。さすがお医者様というか、教え方にそつがなくて上手い。


 勉強内容がもともと漢字だったので、先行組には漢字、ノーラちゃんにはひらがなの授業をしているご様子。


「あー、惜しいなノーラちゃん。そこは『え』じゃなくて『へ』って書かなきゃダメなんだよー」


「うー、ムズカシー!」


 ふむ。ノーラちゃんも、やっぱりそのあたりで一度詰まるかー。


「おおー、ノーラ頑張れー! そこアメリも難しかったけど、乗り越えたら楽だよ!」


「うん。あと一息だよ、ノーラ……!」


「うおー! 頑張って絵本と図鑑読めるようになるぞー!」


 先輩ズに励まされ、気合を入れ直すノーラちゃん。ふふ、ほほえま!


 そしてしばらく経つと、「はい、ここでちょっと休憩しよう」と、白部さんの声。


「ちょっと能率が落ちてきたように感じるから、休憩しましょ」


 ふー、と息を吐く三人娘。


「あ、お茶れてきましょうか?」


「すみません、お願いできますか?」


 私もちょうど休憩したかったところなので、白部さんから湯呑とお皿の載ったお盆をいただく。


 ……さて、台所に来たはいいけれど、お菓子を切らしちゃってるのよね。よし、あれを作っていきましょう!


 ◆ ◆ ◆


「お待たせしましたー」


「おー、カン姉遅かったなー」


「こら。せっかくお茶出していただいてるんだから、そういうこと言わないの。ありがとうございます」


 白部さんがノーラちゃんをたしなめる。


「ごめん……。ありがとー、カン姉!」


「うん、お礼が言えて偉いね!」


 アメリとクロちゃんもお礼を述べてくれ、ほっこり笑顔でお茶菓子を配膳する。


「あ、これ……!」


 クロちゃんが、お菓子を見て反応する。


「おお~! カップケーキだー!」


 そう。お菓子としてさっと作れる、いつぞやのカップケーキを用意してきました~。ちなみに、お茶は紅茶に変えてます。


「おー? 何だこれー?」


「カップケーキ! すごく美味しい!」


 アメリ語彙で、ノーラちゃんに魅力を伝える。


「私も、デスクでいただきますね」


 デスクに腰掛け、カップケーキをスプーンですくう。


 やーん、美味しい~。お手軽かつ美味しいなんてサイコーね!


 ちなみに、今回ははちみつをジャム代わりに混ぜています。


「うめーッ!!」


 ノーラちゃんも好感触。


「美味しいです。この時間で作れるということは、結構お手軽なおやつなんですか?」


「はい。簡単に作れますよ。レシピはネットにありますので」


「そうなんですかー。私も今度、ノーラちゃんに作ってあげよう……」


 うんうんうなずきながら食む白部さん。ノーラちゃんが、キラキラした期待の眼差しを向ける。


 美味しくおやつを食べ終わり休憩し終わったところで、空のカップを下げる。戻ってくると、みんなでお勉強を再開していました。


 私もお仕事を再開。すると、「あっ!」と白部さんが素っ頓狂な声を上げる。


「どうされました?」


 驚いて、彼女の方を向く。


「いえ、私この間、誕生日が近いことを伝えてましたっけ?」


 こないだ……。お土産交換会のときかな?


「いえ、初耳ですね」


「これは、うっかりしていました。私、今月十五日が誕生日なんです」


「あら、おめでとうございます!」


 ぱちぱちと拍手する。子供たちも、それに続く。


「じゃあ、優輝さんに伝えないとですね! 彼女、お祝いごと大好きですから」


「はい。なんか催促してるみたいで気が引けちゃいますけど、角照さんそういうの大好きですものね」


 スマホを操作する白部さん。多分、LIZEに入力しているのでしょう。


 すると、LIZE着信音が鳴り、白部さんが視線を動かす。


「当日お昼、お祝いしましょうとのことです」


「良かったですね!」


 良きかな良きかな。それにしても、誕生日ラッシュだねー。まあ、いつものメンバーだけで十一人いるものね。


 当日が楽しみだなあ!

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