神奈さんとアメリちゃん

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第三百六十七話 クロへの贈り物 ―後編―

公開日時: 2021年9月30日(木) 21:01
文字数:2,482

 とうちゃーく! まずは、五階から見ていくことに。


「何贈ったら、喜んでくれるかなー?」


 ミケちゃんと相談するアメリ。


「ミケはもう決めたわよ」


「おお? 何、何?」


「ズバリ、センス・・・よ!」


 意味がわからず、首を傾げる我が娘。


「ん。下り側のエスカレーターのほうにあったはずだな。行こうぜ」


 久美さんの先導で、ぞろぞろとそちら側へ。すると、ありましたよ扇子が。もうすぐ時期なんだなあ。


「おお~? 何これ?」


 興味津々アメリちゃん。


「和の心バッチリなアイテムだぜ~。こいつとうちわは、夏のマストアイテムよな」


 久美さんも、どちらかというと和の人ですものね。


 開いて、柄を見ていくミケちゃん。


「あ、朝顔。これとか、喜ぶんじゃないかしら」


「おお? これ、どういう物なの?」


「こうやって扇ぐのよ」


 ミケちゃんがぱたぱたとアメリを扇ぐと、髪の毛がふわりと揺れ、「おお~、涼しい!」と声を上げる。


「うん、これに決めたわ」


 閉じて、かごに入れるミケちゃん。


「アメリもそれにしようかな……?」


「うーん、扇子っていくつもあっても、あんまりね。でも、私たち用に買っていくのはアリだね。アメリ、好きな柄選んで」


 次々に開いていく娘。


「これにする!」


 金魚柄のものをチョイス。あら、おしゃれ。


「私も、同じのにしようかな」


 というわけで、うちも二本かごに入れる。


 さて、マイ扇子を手に入れたはいいけれど、肝心のプレゼントがまだ決まってないね。


「アメリちゃん、雑貨コーナー見てみる?」


「うん」


「じゃあ、あとはあたしら、適当に六階とか回ってますんで」


 というわけで、かくてるハウスの皆さんともここで別行動。


 雑貨コーナを回ったものの、いまいちピンとくるものがなかったようで。うろうろとほかのコーナーも回ってみると、ひょんな物が目に付きました。


「あら、かんざし」


 手にとってみる。


「おお? 何これ」


「長い髪をまとめるためのものでね。和風中の和風アイテムだから、きっとクロちゃん喜ぶよ」


「おお~、そうなの? じゃあ、これにするー!」


 ほんとはアメリにすべておまかせするべきだったんだろうけど、だいぶ悩んで歩き回ってたからねー。ちょっと口出ししちゃいました。


 ともかく、これで買うべきものは決まったので、扇子ともどもお会計。


 とと、スマホに着信が。LIZE……白部さんだ。「こちら、終わりました。皆さんはいかがですか?」とのこと。


「私たちも今、ちょうど終わったところです」


「あたしらは、もうちょっとかかります。お待たせしても悪いので、良ければお先に上がっていてください」


 みんな車だし、集団行動しなきゃいけない理由もないものね。


「アメリ、おもちゃとか買いたい?」


「んー……こないだはちろうメンダコ買ったから特にいーかなー」


 ふむ。引き上げどきですかね。


「では、私たちはこのあたりでお先に失礼しますね」


 お辞儀猫スタンプとともに送信し、市営駐車場に向かうのでした。


 さーて、あとはいつものスーパーで食料買って帰りましょー!



 ◆ ◆ ◆



 さあ、今晩は和な朝食をアメリちゃんに教えるべく、旬に入っているアジの開き、薄揚げ、ネギ、納豆何てあたりを買っていきましょう~。


 三種の神器はどうしようかな? 一応買っておくか。卵焼きも教えてあげたいし。


 あ、忘れちゃいけない、肝心のレンジ米。これで、我が家も朝イチでお米が楽しめるってもんですよ。今まで割高だからってあまり買わなかったけど、ま、多少はね?


「アメリちゃん。コーラ買ってあげようか」


「おお!? いいの!?」


「うんうん。私のマスペと一緒に乾杯しましょ」


 お友達のために、貴重なお小遣い使っちゃたからね。これぐらいは、サービスしちゃいますよ。


 お菓子はまだあるしなー。でも、私もちょっと、「うめえ棒」食べたくなっちゃったわ。


「うめえ棒も買おうか。何味がいい?」


「おお! うめえ棒も買ってくれるの!? コンポター!」


「ほいほい。じゃあ、私も同じのにしましょうかね」


 では、お会計しましょうか~。



 ◆ ◆ ◆



 たっだいまー!


 ふう、今日は結構遊んじゃいましたね。お仕事、リカバリーしないと。


 手洗いうがいと荷物をしまった後は、さっそくお着替えしてメイクも落とし、リラックスモード。まあ、すぐにお仕事に突入するんですけどね。


 その前にLIZEを見ると、皆さんご帰宅されたようです。


 まりあさんに「クロちゃんのお誕生日プレゼント、買ってきましたよー」とご報告すると、「ありがとうございます」とお辞儀猫スタンプとともにお返事いただきました。


 では、お仕事しましょ~!


 すらすら、すらすら……。


 リフレッシュすると、筆もはかどりますね~。


 今月中に、佐武さんに下書き渡せるといいんだけど。連載執筆の合間に、コツコツ進めよう。



 そして、夕食タイム。今日のアメリシェフへのレクチャーは、基本的にもう覚えてるものばかりなので、卵焼きの作り方だけ教えて修了。


 食後は食休みにお仕事を挟んだ後、例のボクササイズゲームでフィットネス!


 その後は、汗と疲れをお風呂で流し、またもやお仕事タイム。


「ねえ、おねーちゃん」


「なーに?」


 漢字のお勉強をしていたアメリちゃんに、呼びかけられた。


「あのね、『うどんのめがみさま』の新しいの読んで欲しいの」


 PCの時計を見ると、もうすぐアメリちゃんの就寝時間。頑張ってるものね。甘えたくなったかー、嬉しいなあ。


「じゃあ、お休み前に読み聞かせてあげるね」


「うん!」


 パジャマに着替え、わくわくを隠そうともせずベッドに潜り込む。ふふ、そんな興奮してたら眠れないよ?


 ベッドに腰掛け、サイドテーブル上のランプで光を取り、ほかは消灯。淡い黄色の光がそっと私たちを照らす。


 うどんの女神様と、星のお姫様のもとにやって来た愛の天使が、うどんの女神様と一緒に、お腹を空かせた子供たちにおうどんとお蕎麦を作ってあげるという内容。相変わらず、まりあさんの人柄が良く出た、心温まる内容だ。


 しばらくすると、すうすうと静かな寝息が聞こえてきました。そっと頭を撫でて、ランプの明かりからデスクの明かりに切り替える。


 さあ、二十日はバッチリ遊ぶからね! 今のうちに、お仕事がんがんこなしておかないと!


 よーし、頑張りまっしょい!

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