神奈さんとアメリちゃん

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最終話 ハッピーバースデー! 愛しのアメリ! ―後編―

公開日時: 2022年3月6日(日) 21:01
文字数:2,277

「こんにちはー」


「こんにちは」


 宇多野姉妹のご到着~!


 リビングにいる私たち四人と、互いにご挨拶。


「いつもすみません、車出していただいて」


 恐縮するまりあさん。


「いえいえ。この暑い中、徒歩十五分とか大変っすから。お安いご用っすよ」


 階段から、誰か降りてくる音が聞こえますね。同時に、インタホンがピンポンと。目まぐるしい~。


 どうやら、白部姉妹と近井さんご一家も、いらしたようです。今日は、良夫さんもご出席です。


 応対したさつきさんがそのまま迎えに行き、優輝さん、由香里さんが一階に戻ってきて、皆さんと挨拶を交わしています。にぎやかですねえ。


 さつきさんとともに、白部さんたちもリビングに到着。ご挨拶の後、しばし談話します。


 そうこうしていると、アラームが。


「お。もうすぐ焼き上がりです。では、始めましょう」


 優輝さんがスマホで確認し、一同を伴ってダイニングへ。


「じゃあ、ケーキ出しますね」


 冷蔵庫から先ほどのケーキを二つ取り出し、それぞれに、ろうそく四本と五本を立てる由香里さん。


 優輝さんは、アルコールかソフトドリンクかを尋ねながら、上戸組に白ワインをサーブしていきます。多分、これも久美さんコレクションの逸品なんだろうなあ。


 私も、ワインをお願いしました。結局、上戸組は全員ワインをいただく模様。


 続いて、下戸組と子供に、それぞれの好みのソフトドリンクを、サーブしていく優輝さん。ともちゃんは、アメリと同じく、コーラにしてもらったようです。


「じゃあ、アメリちゃん。吹き消してもらえるかな?」


 由香里さんがろうそくに点火すると、起立状態のアメリが、ふうっと吹き消す。


「ハッピーバースデー! アメリちゃん!」


 一同から、祝福の合唱! この一年の、様々な思い出が去来する。やだ、涙出そう。


 当のアメリは、なんだか照れくさそうね。


 由香里さんと優輝さんで、ケーキを切り分け、配膳していく。


「じゃあ、アメリちゃん。音頭取りお願い」


 お二人も着席なさり、アメリの「いただきます!」の声とともに、皆も続く。


 自分で焼いたケーキ……。しかも、こんな本格的なの!


 ぱくっ……! 美味しい! 甘夏の甘味と酸味が、実に良きかな。ちょっと、クリームの塗りにムラがあるけれど、そこはご愛嬌。


 ワインも、程よい甘みと酸味に、スッキリしたライトボディ。食前酒には、これって感じ!


「おおー! 美味しい!」


 お陽様笑顔のアメリちゃん。


「それ、私が作ったほうかな? ありがとうね」


 ふふ、と微笑む。


 皆さんにも、甘夏ケーキはご好評! ありがたいですねえ。


 ああ、美味しかった。そこに、レンジのチーン! という音が。


「ナイスタイミング! じゃあ、切り分けますね」


 優輝さんが立ち上がり、ピザを取り出して、ピザカッターで切っていきます。


 今度は、由香里さんが飲み物のおかわりをサーブ。


「エビマヨに、照焼チキン!」


 ミケちゃんが、実に嬉しそうに声を上げます。


「せっかくだからね。アメリちゃんはブロッコリーとトマトが好きらしいから、それにしたよ」


「おお~! ありがとー!」


 ふふ。アメリも嬉しそう。


 改めて、アメリちゃんのいただきますの音頭取りのもと、ピザをぱくっ!


 うーん、美味しい! 私も、お野菜大好きだからねえ。アメリも、私に似たのかしら。なんか、そういうとこ、親子よね。うふふ。


 もう一個、今度はエビマヨもいただく。エビがプリプリ! これまた美味しい!


 さすがに、三ピースは食べ過ぎかな。照焼チキンも興味あるけど、またの機会に。


 白ワインに次いで注がれた赤ワインをいただく。こちらは、ずっしりと来るフルボディ! 効くぅ!


「ピザもお酒も、美味しいです~」


「ありがとうございます」


「秘蔵っ子を出したかいがあるよ」


 優輝さんも久美さんも、嬉しそう。


「アメリ、おナスが載ってるほう、私もちょっと手伝ったのよ」


「おおー! 美味しいよ!」


 またもやお陽様笑顔。嬉しいなあ。


 こうして楽しい食事会も終わり、プレゼントお渡し会へ。


 リビングで、アメリがちょっとそわそわしながら、プレゼントを待ちます。


「じゃあ、あたしから。アメショの置物なんだけど、こういうの嬉しいかな?」


「うん! アメショ可愛いよね!」


 ふふ。なんかナルシストっぽい発言。


 こうして、大人組の皆さんから、ケイティちゃんグッズや子供向け学習本、図鑑などなど、さまざまなプレゼントが贈られます。


 そのたびに、アメリは暖かい祝福の言葉もいただくのでした。


 続いて、子供組。


「アメリ。ミケたちからは、合同でこれを」


 ミケちゃんが手渡したのは、本と思しき物。


「『宇宙のひみつ』っていう本で、みんなでこれにしようってお小遣い出し合って買ったの。こういうの、好きでしょう?」


「うん! ありがとう!!」


 心の底から嬉しそうに、抱きしめるアメリちゃん。


「ともは、アメリちゃん描いたよ!」


 画用紙を手渡すともちゃん。拙いけれど、クレヨンに心を込めて描かれたアメリが、そこにはいました。


「ありがとう!」


 これも、大喜びで受け取る。


「最後は私だね」


「おお? おねーちゃんのなら、もうもらってるよ?」


「追加で、もう一個あるんだ」


 紙を手渡す。


 そこには、今のアメリが、猫アメリを抱っこしている絵が描かれている。密かに、仕事の合間にこつこつ描いていたものだ。


「二人のアメリへ。私の子供でいてくれて、ありがとう。改めて、お誕生日おめでとう!」


「ありがとう、おねーちゃん!」


 プレゼントを潰さないように、ふわっと抱く。


 じんわり、心の底が暖かくなる。愛しのアメリ。好きで、好きで、どうしようもないぐらい大切なアメリ。


 これからも、ずっと一緒に暮らそうね!


 思わず出てしまった、頬を伝う涙をそっと拭うのでした。

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