「こんにちはー」
「こんにちは」
宇多野姉妹のご到着~!
リビングにいる私たち四人と、互いにご挨拶。
「いつもすみません、車出していただいて」
恐縮するまりあさん。
「いえいえ。この暑い中、徒歩十五分とか大変っすから。お安いご用っすよ」
階段から、誰か降りてくる音が聞こえますね。同時に、インタホンがピンポンと。目まぐるしい~。
どうやら、白部姉妹と近井さんご一家も、いらしたようです。今日は、良夫さんもご出席です。
応対したさつきさんがそのまま迎えに行き、優輝さん、由香里さんが一階に戻ってきて、皆さんと挨拶を交わしています。にぎやかですねえ。
さつきさんとともに、白部さんたちもリビングに到着。ご挨拶の後、しばし談話します。
そうこうしていると、アラームが。
「お。もうすぐ焼き上がりです。では、始めましょう」
優輝さんがスマホで確認し、一同を伴ってダイニングへ。
「じゃあ、ケーキ出しますね」
冷蔵庫から先ほどのケーキを二つ取り出し、それぞれに、ろうそく四本と五本を立てる由香里さん。
優輝さんは、アルコールかソフトドリンクかを尋ねながら、上戸組に白ワインをサーブしていきます。多分、これも久美さんコレクションの逸品なんだろうなあ。
私も、ワインをお願いしました。結局、上戸組は全員ワインをいただく模様。
続いて、下戸組と子供に、それぞれの好みのソフトドリンクを、サーブしていく優輝さん。ともちゃんは、アメリと同じく、コーラにしてもらったようです。
「じゃあ、アメリちゃん。吹き消してもらえるかな?」
由香里さんがろうそくに点火すると、起立状態のアメリが、ふうっと吹き消す。
「ハッピーバースデー! アメリちゃん!」
一同から、祝福の合唱! この一年の、様々な思い出が去来する。やだ、涙出そう。
当のアメリは、なんだか照れくさそうね。
由香里さんと優輝さんで、ケーキを切り分け、配膳していく。
「じゃあ、アメリちゃん。音頭取りお願い」
お二人も着席なさり、アメリの「いただきます!」の声とともに、皆も続く。
自分で焼いたケーキ……。しかも、こんな本格的なの!
ぱくっ……! 美味しい! 甘夏の甘味と酸味が、実に良き哉。ちょっと、クリームの塗りにムラがあるけれど、そこはご愛嬌。
ワインも、程よい甘みと酸味に、スッキリしたライトボディ。食前酒には、これって感じ!
「おおー! 美味しい!」
お陽様笑顔のアメリちゃん。
「それ、私が作ったほうかな? ありがとうね」
ふふ、と微笑む。
皆さんにも、甘夏ケーキはご好評! ありがたいですねえ。
ああ、美味しかった。そこに、レンジのチーン! という音が。
「ナイスタイミング! じゃあ、切り分けますね」
優輝さんが立ち上がり、ピザを取り出して、ピザカッターで切っていきます。
今度は、由香里さんが飲み物のおかわりをサーブ。
「エビマヨに、照焼チキン!」
ミケちゃんが、実に嬉しそうに声を上げます。
「せっかくだからね。アメリちゃんはブロッコリーとトマトが好きらしいから、それにしたよ」
「おお~! ありがとー!」
ふふ。アメリも嬉しそう。
改めて、アメリちゃんのいただきますの音頭取りの下、ピザをぱくっ!
うーん、美味しい! 私も、お野菜大好きだからねえ。アメリも、私に似たのかしら。なんか、そういうとこ、親子よね。うふふ。
もう一個、今度はエビマヨもいただく。エビがプリプリ! これまた美味しい!
さすがに、三ピースは食べ過ぎかな。照焼チキンも興味あるけど、またの機会に。
白ワインに次いで注がれた赤ワインをいただく。こちらは、ずっしりと来るフルボディ! 効くぅ!
「ピザもお酒も、美味しいです~」
「ありがとうございます」
「秘蔵っ子を出したかいがあるよ」
優輝さんも久美さんも、嬉しそう。
「アメリ、おナスが載ってるほう、私もちょっと手伝ったのよ」
「おおー! 美味しいよ!」
またもやお陽様笑顔。嬉しいなあ。
こうして楽しい食事会も終わり、プレゼントお渡し会へ。
リビングで、アメリがちょっとそわそわしながら、プレゼントを待ちます。
「じゃあ、あたしから。アメショの置物なんだけど、こういうの嬉しいかな?」
「うん! アメショ可愛いよね!」
ふふ。なんかナルシストっぽい発言。
こうして、大人組の皆さんから、ケイティちゃんグッズや子供向け学習本、図鑑などなど、さまざまなプレゼントが贈られます。
そのたびに、アメリは暖かい祝福の言葉もいただくのでした。
続いて、子供組。
「アメリ。ミケたちからは、合同でこれを」
ミケちゃんが手渡したのは、本と思しき物。
「『宇宙のひみつ』っていう本で、みんなでこれにしようってお小遣い出し合って買ったの。こういうの、好きでしょう?」
「うん! ありがとう!!」
心の底から嬉しそうに、抱きしめるアメリちゃん。
「ともは、アメリちゃん描いたよ!」
画用紙を手渡すともちゃん。拙いけれど、クレヨンに心を込めて描かれたアメリが、そこにはいました。
「ありがとう!」
これも、大喜びで受け取る。
「最後は私だね」
「おお? おねーちゃんのなら、もうもらってるよ?」
「追加で、もう一個あるんだ」
紙を手渡す。
そこには、今のアメリが、猫アメリを抱っこしている絵が描かれている。密かに、仕事の合間にこつこつ描いていたものだ。
「二人のアメリへ。私の子供でいてくれて、ありがとう。改めて、お誕生日おめでとう!」
「ありがとう、おねーちゃん!」
プレゼントを潰さないように、ふわっと抱く。
じんわり、心の底が暖かくなる。愛しのアメリ。好きで、好きで、どうしようもないぐらい大切なアメリ。
これからも、ずっと一緒に暮らそうね!
思わず出てしまった、頬を伝う涙をそっと拭うのでした。
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