神奈さんとアメリちゃん

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第四百四十三話 星に願いを

公開日時: 2021年12月24日(金) 21:01
更新日時: 2022年2月27日(日) 11:25
文字数:2,609

 昨日のこと。みんなが帰った後の夜にLIZEを見ると、優輝さんから素敵な呼びかけがありました!


「明日、うちで七夕パーティーしませんか? 夕食会込みで、夜六時を予定しています。ご予定の合う方はぜひ!」


 そっか、もう七日か。早いなー。


 返事はもちろんOK。仕事は忙しいけれど、年に一度のイベントをアメリに楽しませてあげたい。


 すると、優輝さん大喜び!


「ありがとうございます! いやー、昨日に引き続き恐縮です!」


 と、お辞儀猫スタンプ。ほかの皆さんもご参加予定。


 近井さんたちは比較的家が近いとはいえ、夜道を歩かせるのは怖いので、私が車でお迎えすることになりました。


「アメリちゃん、明日はお隣で七夕会ですよ~」


 「スポンジ・トム」の録画を視聴していた愛娘に話しかける。


「おお? 何それ?」


 一時停止し、こちらを向く。


「七夕っていうのは、お空の天の川のせいで会えない、彦星と織姫っていう二人が、カササギっていう鳥のおかげで年に一度だけ出会える日だよ」


「おお~! なんだか壮大だね!」


「そうねー」


 もしかしたら世界一スケールの大きいカップルかも?


「そんなわけで、二人の再会を祝して、明日は楽しみましょー!」


「おおー!」


 良きかな良きかな



 ◆ ◆ ◆



「こんばんは~」


 当日六時、アメリと一緒にお邪魔。Oh! ササターケ! さっそく、短冊が七枚下がってますねえ。


「こんばんは」


 その場にいた優輝さん、ミケちゃん、白部姉妹からご挨拶をいただく。ほかの方々は、それぞれ料理と迎えに行ってるところか。


「ささ、どうぞ書いてくださいな」


 短冊とサインペンを、二つずつ手渡してくる優輝さん。


「ありがとうございます。書かせていただきますね」


 リビングテーブルに短冊を置き、サインペンのキャップを、きゅぽっと抜く。


「おねーちゃん、これどうすればいいの?」


「叶えたい願いを書くんだよ」


「おお~!」


 合点が行き、すらすら書き始めるアメリちゃん。


 私はどうしようかな。


 「あめりにっき」アニメ化! とかも頭をよぎるけど、やっぱり「一家健康に暮らせますように」ってのが一番本音かな。特に、私は一度アメリを喪ってるからね。


 ……これでヨシ!


 飾り付けに行くと、「サッカーせん手になる!」「目指せ第二の千多ちゃん!」「猫耳人間と人類がより良い関係になれますように」「みんなと仲良く楽しく暮らせますように」などなど、願い事の書かれた短冊が目に入る。


 それぞれ、誰が書いたのか、なんとなくわかるのが興味深い。


「できたー!」


 お。アメリちゃんもできましたか。


「もし良かったら、私が飾り付けるよー」


「おおー、お願い!」


 短冊を受け取ると、そこには「おねーちゃんと、ずっといっしょにいられますように!」との願いが。


 胸の底がじーんと熱くなって、短冊を抱きしめてしまう。


「ありがとうね、アメリ」


 そう言いながら、枝に結ぶのでした。


 そうしていると、宇多野姉妹、近井さん親子、さつきさん、久美さんが入ってきました。互いに挨拶を交わします。


「やあやあ、役者が揃いましたね!」


 厨房は由香里さんに任せて、ホストとしてトークを繰り広げる優輝さん。例によってアレな映画の話をしかけて、久美さんと由香里さんに阻止されたり。


 とはいえ、やはり全体に喋りが上手く、場が盛り上がる。その間に、後から来た四人も願い事を飾り付けました。帰り際に見てみよう。


 つくづく、曇天なのが惜しいなー。晴れてたら、みんなで夜空を見たかった!


「お待たせしましたー」


 そこへ、ついに由香里さん登場! ディナーの出来上がりです!


「ごはんができたので、みなさんどうぞ」


 というわけで、一同ダイニングへ。


 テーブルには、きれいなちらし寿司とお椀が!


「どうぞ、お掛けください。今日は、伝統的なイベントの日ということで、おめでたい感じに、ちらし寿司とお吸い物にしてみました」


 由香里さんが、飲み物をサーブしながら、今日の趣旨を説明してくださる。上戸組は日本酒、下戸組と子供は緑茶。ただし、久美さんも緑茶。


「音頭取りは、わたしでいいかな?」


「頼む」


 彼女に、一任する優輝さん。


「いただきます!」


 一同、いただきます宣言して箸をつける。


 おなじみのエビに加えて、コハダが美味しい。旬だものねー。


「嬉しいことにハモも手に入ったので、お吸い物にしてみたんですよ。楽しんでください」


 おお、食べたことない一品! たしか、魚だっけ。この、白いのがそうかな?


 ごく……あら、いいお味! 淡白なのに味が濃い! 身も、細かく入った包丁のおかげで、ほろほろ美味しい。


「わたし、東京から出たことないのに、ハモ好きなんですよ。京都ではよく食べるんだそうですけど」


 へー。福井は東京よりは京都に近いけど、さすがに食べたことないなあ。私も、まだまだだな。などと、謎の敗北感。


 ここで日本酒を。うーん、辛口で美味しい! 久美さんの秘蔵っ子か。


「っかー! 美味いねえ!」


 さっそく、ハイペースの手酌でお猪口でぱかぱかおかわりする、当の本人。


「すごいペースですね」


 彼女の鯨飲ぶりに、目を白黒させる近井さん。


 そういえば、近井さんは久美さんの飲兵衛ぶりを初めて見るんだなー。


「姉さん、すごいうわばみ・・・・なんすよ。ほんと、休肝日以外はたいてい何か呑んでるんで」


「お強いんですねえ」


 さらにピッチを上げる久美さんに、感心する近井さん。


 私もだいぶ見慣れたつもりだけど、改めて見ると、ほんとすごいね。


 子供たちも、美味しい美味しいと大満足。まだ箸が上手く使えないともちゃんは、フォークとスプーンで食べています。


「美味しいねー、アメリ」


「うん!」


 お陽様笑顔を向けると、お陽様笑顔が返ってくる。


「今日は、こんな美味しいお寿司をありがとうございます、由香里さん」


「いえいえ。料理は半ば趣味ですから」


 そういえば、ストレス発散法の一つだったっけ。良きかな良きかな


 こうして楽しい会食は終わり、お開き。名残り惜しいな。


 最後に、短冊をもう一度閲覧。


「おとーさんとおかーさんとげんきでいられますように」


 ともちゃんだね、これは。


「一家元気で暮らせますように」


 一瞬私のかと思ったけど、近井さんかな?


「プロになれますように」


 クロちゃんだね、多分。


「あらゆる子供たちが、幸せでいられますように」


 まりあさんだな、これは。やはり、優しい方だ。


 笹と短冊は、しばらくそのまま飾っておくとのことです。


 別れを告げ、帰途に。今日も素晴らしい一日だった!


 お酒も美味しかったけど、せっかく一杯にとどめたからね。お仕事、頑張りましょー!

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