神奈さんとアメリちゃん

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第三百五話 サンドイッチ分け合いっこ

公開日時: 2021年7月29日(木) 21:01
更新日時: 2021年8月17日(火) 02:03
文字数:2,646

「さつきさんたちのお弁当は常温に戻さなくていいんですか?」


 キッチンへの道すがら、ふと尋ねてみる。


「バインミーっすからね。特に必要ないっす」


 あー! いつぞやのベトナムのサンドイッチね!


 というわけで到着~。


「私たちはサーモンサンドを作りますけど、すぐできますので少し待っていていただけますか? テレビとか自由にご覧になっていて構いませんので」


「りょーかいっすー。二人は、なんか見たいのあるっすか?」


「おねーちゃん、アメリも手伝うよー?」


「あー、手伝ってもらうほどの作業はないかなー。ミケちゃんと遊んでてあげてね」


 というわけで、調理開始。


 パン用ナイフでバゲットに切れ目を入れてー。リーフレタス、クリームチーズ、スモークサーモンを挟んで、ちょいとレモンエキスを垂らして食べやすい大きさにカットすれば出来上がり! わお、お手軽ぅ!


「できましたー」


 テーブルに配置。


「早いっすねー」


「サンドイッチですからね。紅茶、お茶、コーヒーどれ飲まれます? コーヒーはデカフェですけど」


「自分はブラックコーヒーでお願いするっす。二人は?」


 子供たちに問うさつきさん。


「ミケは紅茶がいいわね」


「アメリもー!」


「はいはーい」


 というわけで、自分用にも紅茶を用意。


「では、いただきますしましょうか」


「あ、神奈さん。少しだけ取替えっこしないっすか? そっちも美味しそうで」


「いいですよー。私もさつきさんのバインミー好きですし。ただ、今日どうしてもサーモンサンドが食べたくて用意したので、三分の一ぐらいでいいですか?」


「超オッケーっす。ありがとうございますっす!」


 ほっこりする彼女。


「アメリ~。ミケとも半分ずつ交換しない?」


「おお~、いいよー!」


 子供たちもトレード成立したようです。今度は包丁にご活躍願い、カット。


「では、改めていただきますしましょうか」


 いただきますの四重奏!


 まずは、待望のサーモンサンドから! うーん、こってりしていて美味しい! レモンエキスがそれを少し中和していて、しつこすぎないものグー!


「美味しい!」


 アメリもお目々キラキラ。良きかな良きかな


 はー、あっという間に食べ終わっちゃった。また今度作ろ。


 続いて、バインミー! こちらも、エスニック情緒漂うお味がグー!


「さつきさんのバインミー、相変わらず美味しいです~」


「ありがとございますっすー。神奈さんのサーモンサンドも美味しいっすよー!」


 ミケちゃんも、二つのサンドイッチを食べるのに夢中。ほほえま~。


 こうして、みんなごちそうさま。


「そういえばさつきさん、ここ最近久美さんがいらっしゃることが多かったですけど、さつきさんがというのは珍しいですね?」


 食後のティータイムに、ふと先ほど抱いた素朴な疑問をぶつけてみる。


「あー、姉さんはもう、優輝ちゃんから作曲発注されて、普通に仕事に入ってるっす。逆に自分はオーバーワーク気味だったんで、お休みをもらったんすよ」


「なるほど。でも良かったんですか? せっかくのオフを子供たちのために使って」


「子供たちと遊ぶの楽しいっすし、お二人と『大航海世代』やってみたかったっすからね。モーマンタイっす」


 微笑む彼女。


「この後はどうされますか?」


 一応、一ゲーム終えてお昼も食べ終わったわけだけど。


「ミケちゃん次第っすかね。どーするっすか?」


 質問のパスを投げる。


「もちろん、テッテー的にアメリと遊ぶわよ!」


「だそうっす。なんで、自分も引き続きお邪魔させていただくっすね。でもミケちゃん、夕飯前にはきちんと帰るっすよ?」


「わかってるわよ」


 おすまし顔で紅茶を飲むミケちゃん。優雅に小指とか立てちゃって。ほんと、こういう大人ぶりたいムーブがいちいち可愛いわよね。


 お茶も飲み終わったので三人には先に寝室に戻っていてもらい、お片付け。いただいたジュースと外出自粛時代に買っておいたクッキーを手に寝室へ。


「お茶菓子をどうぞ~。あら、お絵かきですか。いいですね」


「あ、神奈さん。待ってたっす。大航海世代、もう一戦どっすか?」


「あー、すみません。さすがに仕事さぼりすぎなので」


「残念っす。じゃあ、これ描き終わったら三人プレイするっすか?」


 「さんせーい」と、子供たち。かくてるハウスの方々は、皆さん面倒見がいいなあ。


 ややあって、アメリの「できたー」という声。「おー、上手っすねーアメリちゃん」とさつきさん大お褒めの言葉。プロイラストレーターが褒めた絵やいかに?


「おねーちゃんも見ていーい?」


「うん!」


 とてとてやって来て、じゃん! と見せる。あら、アメショ。お上手! お腹の独特な模様はちょっと適当だけど、あれ難しいからね。私も「あめりにっき」描くとき、苦労してるのデス。


「すっごーい、上手だよーアメリちゃーん」


 頭を撫でると、「えへへ」と照れる。可愛い。お○ちゃの缶詰が五百個ぐらいもらえるエンジェルぶりだわ!


「むむ! 妹には負けてられないわね! ……どう?」


「おー、ミケちゃんも上手っすー!」


 さつきさんの褒め言葉に、「まーね、ミケならこのぐらいヨユーよ!」と返す。


「私も見ていい、ミケちゃん?」


「いいわよ」


 彼女もやって来て、絵を見せる。アイドルと思しき女性だ。そういえば、ミケちゃんが描くのっていつもこの子だな。きっと、ミケちゃん激推しの千多せんたなんだろうな。


「上手ねー。愛が溢れているわ」


 頭を撫でると、照れくさそうにうつむいてしまう。可愛い~。


「自分もできたっすー。神奈さん、どーっすか?」


 さつきさんも絵を見せてくる。いわゆる美少女キャラがそこには描かれていました。ちょっと知らないキャラだけど……。


「さすが、お上手ですね!」


「お褒めに預かり、光栄っす~」


 と後頭部を撫でて照れるさつきさん。あらやだ、可愛い。


 そんなこんなで、三人は大航海世代に遊びを移行。


 何ゲームかして、結局アメリは連続最下位だったけど、とても楽しそうだ。アメリにとって、勝ち負けって重要じゃないんだろうな。


 こうして、お夕飯どきが近づいてきたので、二人を門まで見送る。もちろん、アメリも一緒。


「今日は楽しかったっすー。また遊びに来させていただくっすねー」


「じゃあね、アメリ、神奈おねーさん。ミケも楽しかったわ。あと、サーモンサンド美味しかった」


「ばいばーい! また遊ぼーねー!」


「今日はアメリと遊んでいただき、ありがとうございました」


 深々とお辞儀。二人もお辞儀し、帰宅しました。


 さーて、晩ごはんは大量に買っちゃった冷食を消費しますかー。あんまり放置すると冷凍焼けしちゃうものね。


 アメリと一緒に屋内に戻り、夕食の準備を進めるのでした。

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