神奈さんとアメリちゃん

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第四百三十六話 スマホを使ってみよう!

公開日時: 2021年12月16日(木) 21:01
文字数:2,467

「おねーちゃーん。まーだー?」


「もーちょっと待ってね。えーと、ここを禁止して……」


 現在チマチマと、見せていいサイトや使っていいアプリの設定中。LIZEと、セーフ機能付きで検索エンジンはOKとして……動画サイトも、健全オンリーで許可しときますか。


 ためしに、自分でアレな検索ワードを入れてサーチ。……よし、ヒットしない。いくつか試してみるけど、大丈夫みたいね。検索ワードをクリアして、と。


「はーい、お待たせー。使い方教えるねー」


「やったー!」


 一緒にベッドに腰掛け、フリックやスワイプなどの操作を手取り足取り教えていく。最初は専門用語に混乱していたアメリちゃんでしたが、そこは地頭の良さ。すぐに飲み込んで、ものにしていきます。


「じゃあ、ためしに自分で操作してみようか」


「はーい」


 「カタツムリ」と入れて検索すると、有名百科辞典サイトの項目が映し出される。


「おお~!」


 食い入るように眺めるアメリちゃん。


「難しい漢字がある……」


「そういうのは……」


 コピーして、検索。すると、漢和辞典サイトに繋がる。


「おお~! こう読むんだ!」


「とまあ、そんな感じで使っていけばOKよん。あとは、私とLIZEでお友達登録しようか」


 QRコードを表示し、読み取らせる。


「おっけー。これでいつでも私と連絡取れるようになりましたよ」


「おおお~!」


 だだだと、イヤホンを手に、どこかへ裸足で駆けてくアメリさん。


 ややあって、LIZEにの通話に着信が。


「はいはーい」


「おねーちゃん聞こえる!?」


 声がエコーしてるな?


「聞こえますよー。ひょっとしてお風呂場?」


「おおー! すごい! よくわかったね!」


「まあね。あ、それ水に濡らしたら壊れちゃうから、気をつけてね」


「おお……気をつける!」


 だだだ、とまた慌ただしく戻ってきました。


「ミケやクロともお話したい!」


「優輝さんたちを経由するほうがいいかな。ちょっとまってね」


 アメリをグループチャットに誘う。


「何か書いてごらん」


「おお……」


 ぽちぽちと何やら書くお嬢様。


 「こんにちは!」と元気なメッセージが表示されました。私も、「こんにちは」とお返事。ほかの皆さんも、アメリの名前と画像を見て、次々にご反応。


「アメリちゃん、スマホ買ったんすか?」


「さっき、おねーちゃんに買ってもらった!」


「おー、ウチらの仲間入りだな!」


 凸凹コンビとそんな会話を交わす。


「あら、すごい。ノーラちゃんだけなしってのも可哀想ね。買ってあげようかしら」


 これは白部さん。


「白部さんは今、体育館ですよね?」


「はい。ノーラちゃん、ちょうどスポドリ休憩中でした」


「さすがに、友美には早いですよねー」


「さすがに未就学児には、早いと思いますよ」


 近井さんと優輝さんの会話。


「私はちょこちょこ横目で見ながら、お仕事再開しますね」


 デスクに戻って充電器にスマホを立て、ながら見できる位置に調整。PC版LIZEを立ち上げる。


「ああ、あたしらもサボってる場合じゃないですね。同じく」


 こうして、おそらく優輝さんらも、スマホで見て何か書かれたらPC版で返答するという体制を整えたのでしょう。


 アメリちゃんが色々書いてくるので、都度みんなでわちゃわちゃと書き込み。現在の話題は、さっき食べたカタツムリエスカルゴが美味しかったという話。


 その後しばらく、濃ゆいのからライトな話題まで、様々なアメリちゃんトークが繰り広げられるのでした。



 ◆ ◆ ◆



 ときどきちらちら画面を見ながらお仕事していたけど、アメリの書き込みがぱたっと止みました。皆さんがどうしたんだろうとご心配。


 気になって、当の本人を見ると……ベッドの上で、足だけでろんと外に投げ出した、変な体勢で寝息を立ててました。


「寝ちゃったみたいです。どうしましょうか。変な体勢で」


「どんな状態っすか?」


 写真を貼り付ける。


「うっは。器用な寝方するなあ、アメ子」


「風邪引いちゃいますね」


「いえ。体を冷やすと風邪を引くというのは、俗説なんですよ」


 由香里さんの言葉に反応する白部さん。


「どうも、また休憩中です。運動と休憩のリズムが大事ですからね。それはさておき、体温と風邪を引くことの因果関係は、立証されてないんですよ」


 一同、思わず感心。


「じゃあ、このままにしといたほうがいいんでしょうか?」


「いえ、毛布一枚ぐらいは、かけてあげたほうがよろしいかと。体を冷やして、いいことがあるかといえば、ないですし」


「わかりました」


 起こさないように、そっと毛布をかける。アメリのスマホはもう一台の充電器に。


「しかし、新しいおもちゃで遊び疲れて爆睡なんて、可愛いもんだなー」


 久美さんが、にっこり猫スタンプを貼る。


「ええ、本当に。我が娘ながら、可愛いですねえ」


 私も、にっこり猫スタンプを返す。


 いや、ほんとに子供のこういうムーブ可愛いなあ。フリーダム&プリティー!


「昼寝させすぎると良くないので、一時間ぐらいしたら起こさないとですね」


「ノーラちゃんも、帰ったら仮眠取るでしょうから、寝かせ過ぎないようにしないとですね」


 思案顔猫スタンプを貼る白部さん。


「後どのぐらいで上がりですか?」


「オーバーワークさせても良くないので、次のワンセットが終わったら上がらせるつもりです」


「なるほど」


 PCの時計を見れば、もう三時だ。白部さんたちはずいぶん長くやってたのか、始めたのが遅かったのか。後者かな?


「ノーラちゃん、体力が回復したみたいなので、ラストワンセットやらせますね」


「お疲れ様です」


 バイバイ猫スタンプを貼り、音信が途絶える彼女。


「しかし、アメ子もついにスマホデビューたあ、感慨深いねえ」


「こういうのってくるときは一気にくるもんですね。白部さんも買う的なことおっしゃってましたし」


 久美さん、まりあさんという微妙に珍しいコンビで会話。


「おっと、私もサボってる場合じゃなかった。お仕事しないと」


 ふと我に返り、スマホを充電器に立ててお仕事再開。


 「お疲れ様です」「わたしも、お仕事再開しないと」などと皆さん書き込み、再びチャット欄が静かになりました。


 アメリちゃんの装備もパワーアップ! これから維持費もかかるし、お仕事頑張りましょー!

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