神奈さんとアメリちゃん

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第二百九十話 ナイスレディ?

公開日時: 2021年7月14日(水) 21:01
文字数:2,465

「それでは、ノーラちゃんをお願いします」


「はい……こちらこそアメリの件、よろしくお願いします……あふぁ……」


 四月一日早朝。相変わらずこんな状況なのに緊張感のない大あくびしながら、ノーラちゃんをお預かりする。


 互いに深々とお辞儀し、白部さんは駐車場に向かいました。


「それじゃ、行きましょーか。ふわぁ……」


「カン姉、ほんとに朝ダメダメだなー」


 面目ないデス。



 ◆ ◆ ◆



 食べかけの朝食を一人でもそもそと終え、おなじみ八時頃に意識がしゃっきりすると、お茶菓子を手に寝室へ。


「何をして遊んでるのかなー?」


「「お絵かき!」」


 ハモる二人。可愛い。


「へー。見ていい?」


「いいよー」


 アメリは猫や海産物、ノーラちゃんは……ゴッドレンジャーかな? を描いている。


「上手ねー」


 パチパチと拍手! 子供は褒めて伸ばす!


「そっかー? 嬉しいぞー。エレメントレンジャー愛は誰にも負けねーからな!」


 照れるノーラちゃんがほほえま!


 ここで私が混ざるのも一興だけど、さしあたってニュースとツイスター、LIZEをチェックしたい。


 ニュースとツイスターのほうは、相変わらず猫耳幼女の話題で持ち切り。ほかに大事件があったわけでもなし、そう簡単に収まってくれないか……。


 ツイスターのほうでは加工写真説なんていうのも出てるけど……。猫耳人間の存在を公にしようと私も白部さんも動き出した以上、これはすでにありがたくない話になってしまっている。私は、浦野さんの誠意に応えたい。


 LIZEでは、皆さんが朝の挨拶を交わしていた。もちろん、白部さんは早朝に挨拶をしたきりだ。


 「おはようございます」とご挨拶すると、皆さんからも挨拶が返ってくる。


「神奈サン、今日何時頃そっち行っていい? ミケ子も連れて行くけど」


 と、久美さん。そうだなあ……何時にしてもらおう? 正直、昨日買うべきものはだいたい買ってしまったから、外出予定は特にないけれど、子どもたちの面倒を一緒に見てくれるというのはありがたいことこの上ない。


 よし。


「では、三十分後でいかがでしょう?」


「あー、一時間後でいい? 今日はさすがに弁当二人ぶん持っていくんで」


「はい、わかりました。では、お待ちしています」


 後はさしあたって打ち合わせることもないのでチャットから退出。お昼といえば、ノーラちゃんのごはんをどうするかだな。昨日買った生物なまものの片割れを、さすがに使い切ってしまいたい。


 ……まあ、そのときになって考えればいいか。食材が逃げるわけでなし。


「お待たせ、お姫様たち。私と何かして遊びましょうか?」


「おー、そのお姫様っての、ムズムズするぞー」


「ごめん、嫌だった?」


「嫌っていうより、照れる……」


 もじもじするノーラちゃん。こういう、いつもと違うムーブもほほえまね!


「りょうかーい。ほんとに嫌だったらちゃんと言ってね? 久美さんとミケちゃんが来るまで一時間あるけど、何して遊ぼっか」


「電話貸してー」


 アメリが謎の提案


「動画でも見るの?」


「ううん、クロも誘う~」


 なるほど。まりあさんにコールする。


 さっそく出てくださったので、イヤホン差してアメリと交代。


「あのね、今ノーラが遊びに来ててミケも来るんだけど、クロも来ない? うん、うん。じゃあ、待ってる! ……クロ、お昼頃にお弁当持ってこっち来るって!」


「良かったねー」


 頭を撫でると、「うにゅう」といつもの気抜け声を出す。あれね。アメリ地蔵とかあって、頭撫でたらご利益ありそう。


「カン姉、JANGOしたい」


「いいよー。アメリは?」


「やるー!」


「よーし、そいじゃやりますか!」


 こうして、久美さんたちが来るまで、JANGOを楽しむことにしたのでした。



 ◆ ◆ ◆



 おっと、JANGOに熱中していたらインタホンの呼び鈴が。久美さんたちかな?


「どちら様ですかー?」


「ウチら。門、開けてもらっていい?」


「はーい、今行きまーす」


 というわけで門へ。すると、相変わらずポップなスタイルの久美さんと、昨日とはまた違ったキュートフェミニンスタイルのミケちゃんが待っていました。


「ちっす」


「こんにちは」


「こんにちはー。ミケちゃん、今日の服も可愛いねー」


 二人にご挨拶されたので、ご挨拶返し。


「ふふーん。でしょ? 昨日も言ったけど、ミケなら何着ても似合うのよ」


 くるりとターン。そして胸反らしドヤ顔。相変わらずほほえまねー。


「立ち話もなんですから、中へどうぞ」


 というわけで、二人を中へお招き。


「神奈サン、冷蔵庫借りていい?」


「ああ、お弁当ですね。どうぞどうぞ」


 お弁当を巾着袋から取り出し、中に入れる二人。


「あ、あとこれ差し入れね。片っぽどーぞ」


 エコバッグからマスペを二本取り出し、同じく冷蔵庫に入れる久美さん。


「あら、ありがとうございます~」


「なーに、マスペ友の会のためならお安いご用よ。買い物行けないの不便だもんな」


 ほんとに、気の良い方だなあ。


「で、これはちびっこたちのぶん」


 さらにバッグから、アルピス・ソーダ、コラ・コーラ、リンゴジュースが入れられる。


「つーわけで、ウチらの飲み物気を使わんでいいからね」


「お気遣い、ありがとうございます」


「いいってことよ。困ったときはお互い様!」


 サムズアップでにかっと笑う彼女。ナイスガイの女性版ってなんて呼んだらいいのかしら? ナイスレディ?


「じゃ、奥にお邪魔するぜー」


「はい、どうぞー」


 とりあえず、アメリたちのお茶もなくなってるし、お茶を五人ぶん持っていきましょ。



 ◆ ◆ ◆



「お茶をお持ちしましたー」


 お茶を手に寝室に戻ると、四人からお礼を述べられる。


「あ、JANGOの続きですね。座布団お出しします」


「どーも。とりあえず目についたからね」


 そう言うと、神経を集中して器用に抜き取る久美さん。


 ふむ。


「私はちょっと失礼して、『あめりにっき』のルビ振りをしていてもいいでしょうか?」


「あー、アメ子が漫画によみがな振ってもらってるとか話してたっけ。どーぞどーぞ」


「では」


 私までJANGOに加わると、手狭になりすぎるからね。


 さっそく、「フリアト画像執筆用ソフト」を立ち上げ、ルビ振りを始める。


 お昼にはクロちゃんが来る。三人の今日のお弁当は、どんな感じかしらね?

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