今日も簡素な朝食を終え、ニュース、ツイスター、LIZEのチェック。
どんなときでも安眠できるのが私の長所のようで、緊張で眠れないかと思いきや、あっさり快眠できてしまいました。
ニュース、ツイスターは相変わらず。参ったな。
LIZEはというと、朝の挨拶のほか、私が昨日書き込んだ記者会見の話で持ち切り。まあ、皆さんとしても気になるよね。まりあさんなんか、私が安眠できたというのに代わりに緊張で眠れなかったそうで。なんだか申し訳ないデス。
朝の挨拶をすると、皆さんからもご挨拶とご心配の言葉ををいただく。
「神奈サン、今日もウチら行っていいかな? 心細いっしょ?」
ありがたい申し出だけど、なんとも恐縮だなあ。
「アメリー。久美さんと……多分ミケちゃんもかな? が今日も来ていいですかって」
おなじみの指定席で漢字の書き取りをしていた愛娘に話しかける。
「おお? 今日も来るの? 嬉しい!」
アメリちゃん乗り気ですね。
「ありがとうございます。では、今日もお願いしていいでしょうか」
「オーライ! じゃあ、また今日も九時に。あ、弁当持ってくから昼は気にしないでな」
再度お礼を述べ、後は皆さんと明日の件について話す。皆さん、私の緊張をほぐそうとしてくれていてありがたい。
白部さんからは、プレスセンターの住所と十時までに到着していてほしい旨、さらに明日の大まかなプログラムが個人宛に送られてきました。
皆さんにお断りし、さしあたってそちらを拝見させていただく。ええと、車で雑に一時間弱ってとこか。混雑の可能性も考慮すると、少し早めに出たほうがいいね。割とギリギリだな。
予定は、私の出番は白部さんの次らしい。まず主張の機会が設けられて、続いて記者陣と質疑応答する模様。うひゃー、見ただけで緊張しますねえ……。
ただ、先に白部さんをお手本にできるのはありがたいかな。もっとも彼女の場合、理路整然としすぎていて私にはとても真似できないだろうけど。
とにもかくにも、明日のスピーチのために原稿を作らねば。
しばらく打ち込んでいると、インタホンの呼び鈴が鳴りました。
さっそくお出迎えし、中に招く。
今日もお弁当を冷蔵庫に入れ、またもや飲み物をいただいてしまったのでお礼を述べる。
「あとこれ、由香里が昨日クッキー焼いてさ」
差し出されたタッパーに、きれいな形のクッキーが多数入っている。
「あら~、重ね重ねすみません。なんだか、お世話になりっぱなし、いただきっぱなしで恐縮です」
「いいってことよ。あいつ、菓子作りが趣味っていうか、いい気晴らしになってるからさ。遠慮なく食べてくれたほうが喜ぶぜ。焼いたのが夜だったから、ノラ子とクロ子には振る舞えなかったのが残念だな」
「では、さっそく紅茶とご一緒に用意しますね」
先に寝室にお通しし、紅茶を淹れる。
「お待たせしました」
紅茶とクッキーを配膳し、私は再びお茶菓子を手にデスクへ。
「すみません。私、明日の原稿を準備しなければいけないので、そちらに集中させていただきますね」
「神奈サンも大変だな。まー、ちびっこの面倒は任せてちょーだい」
「はい、よろしくお願いします」
というわけで、原稿作成。
……とはいうものの、どういうことを盛り込めばいいんだろう?
少し、白部さんに相談してみよう。
「まず、結論から述べるといいですよ」
とのアドバイスを受ける。で続いて発端、経緯。感情的な要素は最後に回したほうがいいとのこと。ためになるなあ。
アドバイスを参考に、まずは漫画を描くときの要領でプロットを練ってみる。
ふむ、ふむ。こんな感じかな?
ちょっとチェエックしてもらおう。
「よろしいのではないかと思います」
白部さんからマルをいただきました! では引き続き、本文を書いていきましょー!
◆ ◆ ◆
「神奈サーン」
「はい、何でしょう?」
突如、久美さんから呼びかけられたので返事する。
「ちびっこたちがダンスゲームしたいっていうんだけど、音出していい?」
「あ、はい。どうぞどうぞ。私、前の道路で工事してても原稿描けるので」
「ふえー、そりゃすごいね。じゃ、遠慮なく」
いそいそとセットアップを始める彼女。
私も手が空いたら参加しようかな。
原稿もだいぶ完成したけど、スピーチ原稿ってこんな感じでいいのかしらね?
「神奈サン。弁当外に出してくるわ。お茶もついでに淹れさせてもらっていいかな?」
おっと、もうそんな時間?
「はい、構いませんよ。むしろ、お構いできなくてすみません。お茶っ葉は、ポットの横にありますので。右側のポットが、お茶用に六十度にしてあるやつです」
「どーも」
キッチンへ向かう彼女。さて、私ももう一踏ん張りだー!
◆ ◆ ◆
再度原稿に打ち込んでいると、アラームがお昼をお知らせしてくれました!
「お昼ですね。じゃ、行きましょう」
「はーい」と応える一同。ぞろぞろとキッチンへ。
今日のお昼はシンプルにざるうどん。薬味は、アメリにはわさびの代わりに生姜を試してもらう予定。あれならツーンとしないし、アメリも煮魚で食べ慣れてるからね。
乾麺が茹で上がったら、ささっとザルに揚げて流水にさらし、丼に入れてぶっかけにしてしまう。あとは刻み海苔をまぶして完成~。たまにはこういう雑なのもいいよね。
「じゃ、アメリちゃん。生姜試してみてね」
チューブを手渡すと、「はーい」と元気な返事。
「久美さんたちは、今日もサンドイッチですね。あと、エビフライですか」
「手軽だしね。エビはミケ子のリクエスト」
ふふ、久美さんほんとに子供に付き合いいいね。
いただききますの合唱をし、いーてぃんぐ・なう。
今日はうどんなので、さすがにおかず交換は不可能。ちょっと寂しい。
「おおー! 生姜入れると美味しい!」
うちのお姫様、生姜はお気に召したようですね。良き哉良き哉。
「ところでアメリ。映画解説者のオジさんが監督と主演をやった、ビッミョーな映画を優輝が見せてくれてね……」
ミケちゃんが、またぞろB級映画の話を始める。なんだか久しぶりに聞いた気がするな。
こうして美味しくお昼も食べ終わり、原稿再開。
しばしして、なんとか完成しました! 白部さんにチェックしてもらおう。
「問題ないと思います」
と、マルを再度いただきました!
「いよいよ明日ですが、今日はなるべくリラックスして、コンディションを整えておいてください」
「はい。では、また明日」
リラックスかあ。よし、私もダンス大会に飛び入り参加だー! 今日こそ勝てるといいなあ。
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