神奈さんとアメリちゃん

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第二百九十二話 緊張しつつも、マイペースな前日を

公開日時: 2021年7月16日(金) 21:01
更新日時: 2021年7月19日(月) 20:20
文字数:2,592

 今日も簡素な朝食を終え、ニュース、ツイスター、LIZEのチェック。


 どんなときでも安眠できるのが私の長所のようで、緊張で眠れないかと思いきや、あっさり快眠できてしまいました。


 ニュース、ツイスターは相変わらず。参ったな。


 LIZEはというと、朝の挨拶のほか、私が昨日書き込んだ記者会見の話で持ち切り。まあ、皆さんとしても気になるよね。まりあさんなんか、私が安眠できたというのに代わりに緊張で眠れなかったそうで。なんだか申し訳ないデス。


 朝の挨拶をすると、皆さんからもご挨拶とご心配の言葉ををいただく。


「神奈サン、今日もウチら行っていいかな? 心細いっしょ?」


 ありがたい申し出だけど、なんとも恐縮だなあ。


「アメリー。久美さんと……多分ミケちゃんもかな? が今日も来ていいですかって」


 おなじみの指定席で漢字の書き取りをしていた愛娘に話しかける。


「おお? 今日も来るの? 嬉しい!」


 アメリちゃん乗り気ですね。


「ありがとうございます。では、今日もお願いしていいでしょうか」


「オーライ! じゃあ、また今日も九時に。あ、弁当持ってくから昼は気にしないでな」


 再度お礼を述べ、後は皆さんと明日の件について話す。皆さん、私の緊張をほぐそうとしてくれていてありがたい。


 白部さんからは、プレスセンターの住所と十時までに到着していてほしい旨、さらに明日の大まかなプログラムが個人宛に送られてきました。


 皆さんにお断りし、さしあたってそちらを拝見させていただく。ええと、車で雑に一時間弱ってとこか。混雑の可能性も考慮すると、少し早めに出たほうがいいね。割とギリギリだな。


 予定は、私の出番は白部さんの次らしい。まず主張の機会が設けられて、続いて記者陣と質疑応答する模様。うひゃー、見ただけで緊張しますねえ……。


 ただ、先に白部さんをお手本にできるのはありがたいかな。もっとも彼女の場合、理路整然としすぎていて私にはとても真似できないだろうけど。


 とにもかくにも、明日のスピーチのために原稿を作らねば。


 しばらく打ち込んでいると、インタホンの呼び鈴が鳴りました。


 さっそくお出迎えし、中に招く。


 今日もお弁当を冷蔵庫に入れ、またもや飲み物をいただいてしまったのでお礼を述べる。


「あとこれ、由香里が昨日クッキー焼いてさ」


 差し出されたタッパーに、きれいな形のクッキーが多数入っている。


「あら~、重ね重ねすみません。なんだか、お世話になりっぱなし、いただきっぱなしで恐縮です」


「いいってことよ。あいつ由香里、菓子作りが趣味っていうか、いい気晴らしになってるからさ。遠慮なく食べてくれたほうが喜ぶぜ。焼いたのが夜だったから、ノラ子とクロ子には振る舞えなかったのが残念だな」


「では、さっそく紅茶とご一緒に用意しますね」


 先に寝室にお通しし、紅茶をれる。


「お待たせしました」


 紅茶とクッキーを配膳し、私は再びお茶菓子を手にデスクへ。


「すみません。私、明日の原稿を準備しなければいけないので、そちらに集中させていただきますね」


「神奈サンも大変だな。まー、ちびっこの面倒は任せてちょーだい」


「はい、よろしくお願いします」


 というわけで、原稿作成。


 ……とはいうものの、どういうことを盛り込めばいいんだろう?


 少し、白部さんに相談してみよう。


「まず、結論から述べるといいですよ」


 とのアドバイスを受ける。で続いて発端、経緯。感情的な要素は最後に回したほうがいいとのこと。ためになるなあ。


 アドバイスを参考に、まずは漫画を描くときの要領でプロットを練ってみる。


 ふむ、ふむ。こんな感じかな?


 ちょっとチェエックしてもらおう。


「よろしいのではないかと思います」


 白部さんからマルをいただきました! では引き続き、本文を書いていきましょー!



 ◆ ◆ ◆



「神奈サーン」


「はい、何でしょう?」


 突如、久美さんから呼びかけられたので返事する。


「ちびっこたちがダンスゲームしたいっていうんだけど、音出していい?」


「あ、はい。どうぞどうぞ。私、前の道路で工事してても原稿描けるので」


「ふえー、そりゃすごいね。じゃ、遠慮なく」


 いそいそとセットアップを始める彼女。


 私も手が空いたら参加しようかな。


 原稿もだいぶ完成したけど、スピーチ原稿ってこんな感じでいいのかしらね?


「神奈サン。弁当外に出してくるわ。お茶もついでにれさせてもらっていいかな?」


 おっと、もうそんな時間?


「はい、構いませんよ。むしろ、お構いできなくてすみません。お茶っ葉は、ポットの横にありますので。右側のポットが、お茶用に六十度にしてあるやつです」


「どーも」


 キッチンへ向かう彼女。さて、私ももう一踏ん張りだー!



 ◆ ◆ ◆



 再度原稿に打ち込んでいると、アラームがお昼をお知らせしてくれました!


「お昼ですね。じゃ、行きましょう」


 「はーい」と応える一同。ぞろぞろとキッチンへ。


 今日のお昼はシンプルにざるうどん。薬味は、アメリにはわさびの代わりに生姜を試してもらう予定。あれならツーンとしないし、アメリも煮魚で食べ慣れてるからね。


 乾麺が茹で上がったら、ささっとザルに揚げて流水にさらし、丼に入れてぶっかけ・・・・にしてしまう。あとは刻み海苔をまぶして完成~。たまにはこういう雑なのもいいよね。


「じゃ、アメリちゃん。生姜試してみてね」


 チューブを手渡すと、「はーい」と元気な返事。


「久美さんたちは、今日もサンドイッチですね。あと、エビフライですか」


「手軽だしね。エビはミケ子のリクエスト」


 ふふ、久美さんほんとに子供に付き合いいいね。


 いただききますの合唱をし、いーてぃんぐ・なう。


 今日はうどんなので、さすがにおかず交換は不可能。ちょっと寂しい。


「おおー! 生姜入れると美味しい!」


 うちのお姫様、生姜はお気に召したようですね。良きかな良きかな


「ところでアメリ。映画解説者のオジさんが監督と主演をやった、ビッミョーな映画を優輝が見せてくれてね……」


 ミケちゃんが、またぞろB級映画の話を始める。なんだか久しぶりに聞いた気がするな。


 こうして美味しくお昼も食べ終わり、原稿再開。


 しばしして、なんとか完成しました! 白部さんにチェックしてもらおう。


「問題ないと思います」


 と、マルを再度いただきました!


「いよいよ明日ですが、今日はなるべくリラックスして、コンディションを整えておいてください」


「はい。では、また明日」


 リラックスかあ。よし、私もダンス大会に飛び入り参加だー! 今日こそ勝てるといいなあ。

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