ぬーん、反省。
昨日の夜は、せっかくのオフなのにゲームばっかりやってて、アメリをあまり構ってあげられなかったわ……。これは、親としてマズイ。
ゲームって、こんなに中毒性が高いとは。優輝さんたちには申し訳ないけど、アメリ就寝後のお楽しみにさせていただこう。
というわけで、今日は昨夜構ってあげられなかったぶん、アメリを構い倒してます。現在、一緒に和風ハンバーグを作っているところ。
ぺしぺしと空気抜きをして、いざステイク! これは、アメリちゃんにやってもらいましょー!
焼き方を教えてじゅうじゅう。う~ん、香ばしい! 以前、優輝さんが肉の焼ける音をシズルって呼ぶんですとか、広告業界の「シズル感」という言葉に絡めて言ってたな。たしかに、これはソソるよねえ。
アメリシェフ、無事焼き上げ完了! 大葉と大根おろしを載せ、ポン酢ベースの調味液をかける。
大根のお味噌汁とごはんもよそい、いただきます!
うん、美味しい!
「美味しいよ、アメリちゃん! ほんと料理作るの上手になったね!」
「えへへ……ありがと。うにゅう~」
照れくさそうに、俯いて後頭部を撫でる彼女。ほほえま!
こうして美味しくお昼ごはんもいただき終わり、食休みはアメリと一緒にブロック遊び。
「できた!」
おおう、またよくわからない物体が……。
「それはなあに?」
「あのね、ななもん! のもにんの友達なの!」
ええと、のもにんってイタリア在住のカタツムリ好きな人だっけ。例によって、人かどうか怪しい造形だったけど。
「そっかー! 上手にできたね!」
パチパチと拍手。謎センスはイコール個性! アメリの世界は自由なのです! 良き哉良き哉。
そんな感じでまったり過ごしていると、スマホの着信音。どなたかしら?
おや、まりあさんだ。
「こんにちは」
「こんにちは。どうされました?」
「亀池堂さんでお菓子を買ってきましたので、ご一緒にいかがでしょうかと思いまして。クロちゃんも、アメリちゃんと遊びたがってますし」
「お誘いありがとうございます。アメリにも訊いてみますね」
背後のアメリに問うと、「行くー!」と即答。
「すごい乗り気です。では、二、三十分ほどお待ちいただけますと」
「はい。お待ちしてます」
というわけで、通話終了。まりあさんちへGO!
◆ ◆ ◆
お邪魔すると、ご挨拶の後リビングに通されました。
「あ、こんにちは」
テレビを見ていたクロちゃんがぺこりと頭を下げてくる。
「クロー、こんにちはー! 何見てるのー?」
とてとてと近寄って、ちょこんと彼女の横に腰掛けるアメリ。クロちゃんは特に嫌がる様子もなく、アメリのほうを向く。あの人見知りだったクロちゃんが、このゼロ距離を平気になるとは……。子供の成長は目覚ましいなあ。
「えっとね、落語の録画見てたんだ」
渋い。相変わらず、渋すぎる!
「おお? 落語って何?」
「えっと、江戸時代っていう大昔に流行った笑い話でね……」
落語とはなんぞや? ということを説明していくクロちゃん。
「良かったら最初から見る?」
「見たい!」
「落語かー。私も一緒に見ていい?」
「はい」
私たちの言葉を受け、初めから再生する彼女。
いわゆる古典ではなく、創作落語らしい。キレのあるひねった展開の数々に、思わず爆笑! アメリはまだネタの勘所がピンとこないのか、ちょっとイマイチな反応かな。肝心のクロちゃんは、一回見た部分だからか、クスリとちょっと笑うぐらい。なんだか、私一人で爆笑してるなあ。
「お茶菓子です。どうぞ」
まりあさんがお盆を手に戻っていらしたので、皆でお礼を述べる。
「あら、落語鑑賞会ですか。その噺家さん、面白いですよね」
まりあさんも私の隣に着席。
「クロちゃん、すごいわね。大爆笑じゃない」
クスリと笑ってる彼女を見て、そう仰るまりあさん。え!? これ、クロちゃん大爆笑してたの!? 爆笑の概念壊れる……。
まりあさんも、私の横でくすくすと笑う。まりあさんの笑い方は、割と普通で良かった……。いや、クロちゃんの笑い方が悪いってわけではないけれど。
ていうか、この中で一番大声で笑ってるの私よね。ちょっと恥ずかしいけど、面白いんだからしょうがない。
アメリは意味のわからないネタが多いようで、「これどういう意味?」と、クロちゃんに尋ね、意味を教えてもらっている。落語ってあれよね、結構知識要るからねー。
しかし、落語とお茶菓子の組み合わせは危険ね。吹き出しちゃうから、手が出せない。もっとも、爆笑がクスリと笑うという程度のクロちゃんと、ネタがよくわかってないアメリは、平気でお茶菓子をいただいているけれど。
こうして、落語鑑賞もつつがなく終わり。いやー、面白かった! たまには落語もいいもんだねー。
私とまりあさんは普通に大笑いしてたので、二人ともお茶が手つかずで冷めきってしまい、淹れ直してくださることに。恐縮です。
戻って来たまりあさんと、先ほどの落語の感想や、その他もろもろの雑談で話が弾む。子供たちも、子供たち同士で雑談に花を咲かせる。
こうして宇多野家でのひとときを楽しく過ごし、お暇する段に。最後に松風くんちゃんを見せてもらい別れを告げて、家ではなくいつもとは違う方向へ。
まりあさんの家はいつものスーパーとは違う方角にあり、またこの近くにもいつものスーパーとは違うスーパーがあるので、もののついでということで、こちらで珍しくお買い物と洒落込もうと思ったわけです。
さて、こっちのスーパーはどんな感じでしょうねー?
読み終わったら、ポイントを付けましょう!