神奈さんとアメリちゃん

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第二百五十七話 アメリシェフ、大活躍!

公開日時: 2021年6月8日(火) 21:01
文字数:2,560

 もうすぐ真留さんがいらっしゃるな。彼女のことだから、十二時ジャストになることでしょう。


「今日は、アメリちゃんに頑張ってごはんを作ってもらいます。準備はいいかな?」


「いいよー!」


 うんうん、元気な返事ですね。ごはんはちょうど炊けている。よし!


 お、さっそくインタホンが! 時計を見ると、やはり十二時ピッタリ。


 応対すると果たして真留さんで、迎えに出てキッチンまでお通しします。


「アメリちゃん、こんにちはー」


「真留おねーさん、こんにちはー!」


 しゅびっと挙手して元気にご挨拶する。


「ええと、まだ作られてない感じですか?」


 テーブルの上に材料と調理器具だけ並んでいるのを見て、真留さんがちょっと面食らう。


「はい。今日は、アメリの手料理である熱々カキフライを食べていただこうと思いまして!」


「えっ! アメリちゃん、料理作れるんですか!? それも、揚げ物を!?」


 これには彼女もびっくりしたようで、目を白黒させている。


「はい。すごいんですよ、この子」


 頭を撫でると、「うにゅう」と気抜け声を上げる。


「というわけで、今回は私、基本指導しかしない方向でいきます。危なっかしかったら、さすがに手伝いますけど」


「すごいですねー。じゃあ、今日はよろしくねアメリちゃん。お姉さん、楽しみにしてるから」


「任せて!」


 再び、しゅびっと挙手。


「じゃあ、まずはキャベツの千切りを作ろう」


「はーい!」


 サクサクとはいかず、ざくっざくっと作っていくアメリシェフ。


 ちなみに、真留さんに作業を見ていただきたいので、テーブルで作業をしています。


「できたね。上手、上手! 次はボウルにカキと片栗粉を入れて汚れを吸わせようか」


「ええと……片栗粉ってどれ?」


 ああ、まだこの漢字習ってないか。


「この袋。これ大さじ一杯ぶん振りかけよう」


「らじゃー!」


 言われた通りにボウルにカキを入れ、粉を振る。


「次は、塩水を作ろう。お塩三十グラムと、水一リットルをこっちのボウルに入れて」


 計量カップを指す。


「ええと……これで三十グラムでしょー? お水……」


 流しに移動し、カップに水を入れ、何度か注ぐ。


「合ってる?」


「うん、大丈夫。じゃあ、塩水の中でカキさんを優しく撫でて、汚れをきちんと落とそう」


 「はーい」と、カキを撫で洗いする。


「順調、順調! じゃあ、キッチンペーパーで水気をよく拭き取ろう」


 よいしょよいしょと、水気を拭いていく。


「次は、このバットに並べて、このお酒をかけてね。あんまりドバドバかける必要はないよ」


 慎重になる彼女に、「もうちょっと」などと言いながら、適量を示していく。


「はい、ストップ。じゃあ、キッチンタイマーを五分にセットしてね」


 慣れない操作に戸惑いながらも、無事セット。


「いやー……ほんとにすごいね、アメリちゃん。猫崎先生のご指導があるとはいえ、ここまでできるとは……」


「ほんとすごいんです、うちの子」


 褒められて、何だか私まで嬉しくなってしまう。アメリも照れくさそうにもじもじしており、頭を撫でると「うにゅ~……」と、いつもよりさらに気の抜けた声を上げる。


 そんなことをしているとタイマーが鳴ったので、再度キッチンペーパーで料理酒を拭き取ってもらう。


「よし、次は卵一個と小麦粉大さじ二杯をこっちのボウルに入れて、この泡立て器で混ぜよう」


 卵を割り入れ、小麦粉を振り、かしゃかしゃと混ぜ始める。ちなみに、使わなくなった調理器具……ボウルなんかは、私が順次片しています。


「いいね! じゃあ、このバットにパン粉を入れて。ならして。私がストップって言うまでね」


 衣に十分な量が注がれたので、ストップをかける。


「今度は、この卵と小麦粉のバッター液にカキさんをくぐらせて、ひだを持って取り出して、パン粉の上に置こう」


 言われた通りするアメリ。


「グッジョブです。あとは、カキさんの上に、パン粉をかけていこう」


 これにて、種が完成!


「じゃあ、こっちのお鍋には水、こっちには油を入れて火を点けてね」


 しばし待つ私たち。頃合いを見てバッター液を油に一滴落とすと、一旦沈んだ後、一拍置いてぷかーっと浮かんでくる。適温だ。


「よし、じゃあ慎重にカキを入れていこう」


 じゅわ~っと、いい音を立ててカキが揚がっていく。


「いいね。きつね色になったら、この網でこのバットに載せていってね」


 油切り用のバットを構える。お湯も沸いたけど、一旦放置。


 一つ一つカキが置いていかれる。「上手、上手!」と褒める。


 カキを揚げ終わったので火を止めてもらい、今度は冷凍ブロッコリーを茹でてもらう。


「六つあればいいよ」


 というわけで、六つぐつぐつ。頃合いを見て、ザルに揚げて流水で冷やすよう指示する。


「よし、あとは洗ったプチトマトと一緒にお皿に盛ったら完成だよ!」


 アメリシェフ、盛り付け終わって無事フィニッシュ!


「お待たせしました、真留さん! アメリシェフお手製のカキフライです!」


 ごはんをよそい、アメリと一緒に配膳していく。


「アメリちゃん、すっごーい! ほんとすごいよ!」


 待ち時間もなんのその、興奮気味に真留さんが拍手する。「えへへ」と照れるアメリ。


 テーブル中央に中濃ソースとウスターソースを置き、エプロンを外して着席。


「では、さっそくいただきましょう! では、真留さんもご一緒に」


 いただきますの三重奏。カキフライをひと口食べ、「美味しい! すごいアメリちゃん!」と真留さん大絶賛。またも照れるアメリ。


「ほんと美味しいですよねえ。頑張ったねー、アメリ」


「頑張った!」


 頭を撫でると、おなじみの「うにゅう」ボイス。


 こうして楽しい会食も無事終了しました。


 後片付けの後は打ち合わせに移り、十個もあるプロット案にちょっとびっくりされながらも、そのうちの一つが選ばれ、無事打ち合わせも終わり。


 アメリは部屋着なので、玄関でアメリと真留さんはお別れ。


「今日は本当にありがとうございました。本当に、アメリちゃんが猫耳人間になって以来驚きの連続でしたけど、今日は特に驚きました。アメリちゃん、またね」


「はーい! おねーさん、またねー!」


「猫崎先生もお疲れ様でした。今度、何かお菓子でも持ってきますね」


「お気遣い、ありがとうございます。では、門までお送りしますね」


 彼女を送り届け、ふうっと息を吐く。作戦大成功! ここまで喜んでいただけると、こちらもとても嬉しいものです。


 さーて、歯を磨いたら下書きに突入だあ!

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