「まずは、人参、じゃがいも、玉ねぎをカットするよー。どれか一つだったら、どれをやりたい?」
「んー……人参!」
「りよーかい! じゃあ、人参の皮を剥いて、一センチ角の大きさに切ってくれるかな?」
「らじゃー!」
というわけで、私は私でじゃがいもと玉ねぎの皮を剥き、こちらも一センチ角に切っていく。
「できた!」
「お疲れー、ありがとねー。じゃあ、ボウルに入れといてちょーだい」
「はーい」
少し遅れて、私も処理終了!
オリーブオイルを引いて熱したフライパンで、チューブにんにくを炒める。うーん、食欲をそそる香りが漂ってきましたよ!
ここで、お野菜ズを投入! じゅうじゅう炒めて、少ししたら小麦粉大さじ一杯半も入れて、さらに炒めまーす。
一分ほど炒めたら、水二カップ、顆粒コンソメ、ローリエを投入して、お野菜ズに完全に火が通るまで煮込みまーす。
もう一個、フライパンにオリーブオイルを引いて、これまたチューブにんにくを炒め、アサリ半分と白ワイン四分の一カップをイン! ガラス蓋をして、ワイン蒸しにしまーす。アサリが一、二個ぱかっと開いたら、野菜の鍋に投入~! 牛乳一カップも入れ、塩胡椒で味を整えまーす。
「おお~。お仕事ない?」
「んー、ごめんねー。次のボンゴレでは手伝ってもらうねー」
「わかった!」
さて、クラムチャウダーは完成したので、一旦テーブルの鍋敷きの上に置いといて、と。
「じゃ、アメリちゃん。さっそくお願いしますね」
「うん!」
選手交代~!
「さあ、まずはスパゲッティーを茹でるよ! お湯を沸かしましょー」
寸胴鍋に水を入れコンロに置くと、アメリが点火する。
「で、フライパンにオリーブオイルを引いて、チューブにんにくと、この鷹の爪を炒めてね」
「はーい」
じゅうじゅうと炒めていく彼女。
「じゃあ、次はパセリを炒めて……そうそう、そのぐらいね。で、アサリさんと、この白ワインを入れてガラス蓋をしてちょーだいな」
アサリが、ぱかっと一個開く。
「ん。火を止めて。蓋はそのまま。あとは、お湯が沸騰するのを待つよ」
しばしおしゃべりに興じていると、ボコボコと泡立つ。
「よし、スパゲッティーとお塩を入れましょー」
「はーい」
スパゲッティー二人前とお塩少々を投入してもらい、タイマーをセット。ちょっと固めにするのがポイント。おしゃべりしながら、菜箸でぐるぐるかき回してもらう。
すると、タイマーがピピピと鳴りました。
「じゃあ、お湯を捨てるわけだけど……アメリにはちょっと重いから、私がやるね」
お湯を少し取っておいて捨て、スパゲッティーをザルに揚げる。
「お次は、フライパンからアサリを取り出して、このスパゲッティーを中火で混ぜながら炒めてちょうだい」
「わかった!」
アサリと入れ替わりに、投入されるスパゲッティー。アメリシェフ、これをじゅうじゅう炒めます。
「ん。少し継ぎ足したほうがいいね」
スパゲッティーの茹で汁を少し足しながら、塩も足して味見する。
「よし、こんなもんかな。あとは、追いパセリと追いオリーブオイルだね! それぞれ、かけてちょうだい。……うん、そのぐらい。あとは、さっきのアサリを入れ直して」
「アサリさん、何度もごめんねー……」
アサリさんに謝るアメリちゃん。そして、ほんのり温まるまで炒めること少々。
「はーい、でっきあがりー! お見事です、アメリシェフ!」
パチパチと盛大に拍手すると、「うにゅう」と照れくさそうに後頭部を撫でる彼女。そんなぷりちーヘッドを撫で撫でする。
「じゃあ、クラムチャウダーを温め直して、まずはスパゲッティーからいただきましょ」
クラムチャウダーを再度火にかけ、紅茶を淹れてボンゴレとともに配膳する。
そして、エプロンを外し着席。
「「いただきます!」」
合唱。アメリのいただきますが、心なしかいつもより力強い気がする。
ぱくっ!
「うん、美味しい! 美味しいよ、アメリちゃん!」
「ほんと!? えへへ~……」
またもや照れくさそうに後頭部を撫でる彼女。ほほえま!
実際、本人も手製のボンゴレを、自ら美味しそうに食べている。
クラムチャウダーがグツグツいい始めたので様子を見、かき混ぜながら湯気を確認し、パセリをまぶして深皿によそう。
「はい、こちらもどうぞ」
「ありがとー! ……美味しい!」
瞳を輝かせる彼女。良き哉良き哉。
私も着席し、料理の出来栄えを確かめる。うん、上出来!
「「ごちそうさまでした!」」
再度合唱。やはり、アメリの言葉に今までよりも、さらに心がこもっている気がする。思えば、生き物を直接殺生するのはこれが初めてだったものね。
こうして、後片付け。歯を磨いた後は、「あめりにっき」三巻ぶんのルビ付き原稿を渡す。
三巻は、生後五ヶ月から一歳という成猫への成長を描いた物語。
「おお~、アメリやんちゃだなー……」
まるで他人事のように、自分の行動を食い入るように読みふける。
このまま様子を見守っていたいけれど、お仕事をしなければいけない。
自分のおもしろ行動に、感心するやらどきどきするやらな彼女を残し、デスクでネーム執筆。こちらも、今晩中にはできあがりそうだ。
ネーム、一発通過するといいな。明日は、どんな一日になるだろう。楽しみ!
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