神奈さんとアメリちゃん

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第四十話 お手軽きのこパスタ

公開日時: 2021年4月17日(土) 21:31
文字数:2,795

夕方、クロちゃんとミケちゃんが帰って行きました。てなわけで、今日もお買い物に行こうと思うわけだけど、今日は何にしましょうね。


 終えたぶんの執筆作業を保存していると、スマホの着信音が。角照さんだ。


「こんばんは。ミケが今帰ってきました。すごくお世話になったみたいで」


「いえいえ。ミケちゃん可愛いから大歓迎です!」


「ミケ、あたしのこと描いてくれたんですよ。嬉しくて、飾っちゃいました!」


 おお~! 実にほほえま!


「みんなが私たちの絵を描いてくれましてね、それを写真に撮ったんですよ。あとで送りますね」


「ありがとうございます! わあ~、楽しみだな! ほんと、みんな可愛いですよねえ」


「ですよね!」


 電話口でうんうん、とうなずく。


 と、ついつい長話しそうになってしまうけど、角照さんが「あっ」と小さく叫ぶ。


「あー、いけない。今夜の料理当番あたしなんですよ。……あ、そうだ。この時間、たしかいつも買い物に行くって言ってましたよね?」


「ええ。ちょうど今、出かけようかと」


 パソコンをスリープモードにしながら返事する。


「じゃあ、せっかくだから今日あたしが作る料理のレシピ送りますよ。良ければ作ってみてください、すっごくお手軽なのに美味しいんです」


「ありがとうございます。実は、今日は何にしようかなあなんて考えていたところで。助かります」


「いえいえ。お買い物、あのスーパーですよね? そこに着くまでに書いて送れると思うんで。おっと、久美さんが呼んでる。すいません、じゃあ!」


 おお、慌ただしいこと。でも、助かるなー。献立って日々の悩みだものね。人間も、猫みたいにカリカリばっかりで済ませられたら楽なのに。まあ、それはそれで味気ないか。


「だーれ?」


 文字のお勉強をしていたアメリが首を傾げながら訊いてくる。


「角照さん。美味しい料理を教えてくれるんだって。今日はそれを作るよー。じゃあ、お着替えしていつものお店行こうか」


「おお~!」


 というわけで、一緒に着替えてお店にゴー!



 ◆ ◆ ◆



 さあさあ、やって来ましたいつものスーパー!


 店内BGMと冷房がお出迎え。この冷房が暖房に切り替わる日も、もうそんなに遠くない時期なんだなあ。


 さて、スマホを確認。お、角照さんからレシピが来てる。ふむふむ……? りょーかーい!


 ついでにチラシで、一応他のものも確認。安いものがあったらついでに買っていきたいからね。


 えーと? 日用品、ラップ、洗剤、卵、トマト、プリン……。うん、日用品の類もそろそろ補充しておきたいよね。トマトは一個買って、カット野菜と一緒にサラダにしよう。卵ももうなかったっけ。プリンも美味しそう。デザートに買っちゃお。


 さーてさて、そして角照さんのスペシャルレシピ用のアイテムを買っていきましょー!


 えのき、まいたけ、ぶなしめじという、リーズナブルきのこ御三家をかごにイン~。で、えーと……マツタケ風味のお吸い物の素。バターとお醤油はうちにあるからいいや。あとは、肝心の主食スパゲッティー! それと、おなじみ朝食用の食パン。


 それでは、お会計~。



 ◆ ◆ ◆



「たっだいまー!」


「ただいまぁー!」


 二人で仲良くゴールイン! でも、これから愛の共同作業があるのですよ。


「さてさてアメリちゃん。今日は頑張り屋さんのキミに、大活躍してもらいたいと思います」


「おお~?」


「じゃ~ん! キッチンばさみ~!」


 調理台の下の引き出しからキッチンばさみを取り出すと、アメリが「おお~!」と声を上げる。


「きのこを軽く洗うから、アメリはそれをチョッキンしてくれるかな? ぶどう狩りでハサミ使ったから、使い方は分かるよね。横で見てるから、『ストップ!』って言ったら手を止めてね」


「わかった! がんばる!」


 寸胴鍋に水を張り、火にかける。そしてきのこを洗うと、受け皿としてボウルを置く。そして、持ち手をアメリに向けてハサミを手渡す。


「さあ、やってみよー! まずはえのきさんだよ。上半分を切って、この中ボウルに入れてね。それが終わったら、今度はここ根本をチョッキン。根っこはここ三角コーナーに捨ててね」


「おおー!」


 ハサミをえのきに近づけるアメリ。うう~、見てるほうもドキドキするよう……。ちょきん! まずは上半分成功!


「上手上手! じゃあ、次は下半分行ってみよう!」


 ……ちょきん! ふう~。無事成功。


「上手い上手い! じゃあ、これ根っこは捨てちゃおうね」


 拍手をして、根っこは三角コーナーへポイ。


「さあ、次はしめじくんだよ~。これも、ここから上の部分と根っこに切り分けよう」


 ……ちょきん!


「おお~! さっすがアメリちゃん! 上手ぅ~! さあ、次はちょっと難しいよ~。まいたけちゃんだー。これはね、上の方を食べやすい大きさに、チョキチョキ切っていってね。ちょっと、一回お手本見せるね」


 ちょき。


「こんな感じ。じゃあ、やってみよー!」


「おお~!」


 再度バトンタッチ。ちょき、ちょき、はらはら、ちょき、ちょき、はらはら。はらはらは私の心の声。


 ちょき、ちょき……。


「ストップ! うん、それだけ切れば十分だよ。あとは根っこだから捨てちゃおう。アメリは筋がいいねー」


 頭を撫でると、えへへと照れる。可愛いなあ、ほんと。


「あとは、私のお仕事だね。じゃあ、交代」


 選手交代のお知らせ。茹で時間七分のスパゲッティー二百五十グラムぶんを、沸騰したお湯にイン。タイマーを三分半にセット。


 今のうちに洗ったトマトを切って、カット野菜と一緒に小皿に盛り付ける。タイマーが鳴ったので、きのこをお鍋に投入! もう一度タイマーを三分半にセットする。


 で、製作途中のサラダにみんなの味方、マヨネーズをにゅにゅ~っと。サラダはこれで完成!


 もう一度タイマーが鳴ったので、ザルに空けて湯切り。ボウルにスパゲッティー&きのこをインして、マツタケ風お吸い物の素とバター醤油を和えまして、お皿に分け入れたら……完成~!


「できたよー。じゃあ食べようか」


 スパゲッティー、サラダ、そしてスプーンとレジでもらった小さなスプーンとお水を配膳して、テーブルに着席。


「いただきます!」


「いただきます!」


 さあさあ、角照スペシャルはどんなお味かな? あら、これは美味しい! さっすが角照さん。やるわね!


 ちなみに、この料理はもともとキャンプ用のもので、キッチンばさみだけで作れるお手軽さが特徴。というわけで、アメリにお手伝いを頼んだ次第です。サラダの方は、チラシ見てついでに作ろうと思っただけだから、トマトは私が包丁で切ったけど。


「美味しい?」


「うん!」


 まだ、スパゲッティーを食べるのに音を立ててしまうアメリ。まあ、おいおい頑張りましょ。


「プリンはこうやって蓋をめくって、あとはこないだLAKULUのゼリーみたいに食べるんだよ」


 二人ともサラダも攻略し終わったので、プリンの食べ方をレクチャー。


「はーい!」


 こうして、アメリが頑張って手伝ってくれた愛情料理を美味しく食べ終わりました。ごちそうさま。


 さあ、洗い物、歯磨き、お風呂を済ませたら、お仕事頑張るぞー!

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