神奈さんとアメリちゃん

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おまけ編・その十六 春のパンまつり!

公開日時: 2022年6月3日(金) 21:01
文字数:1,932

「みんなで、パン焼きませんか?」


 きっかけは、春うららなある日の、由香里さんの提案でした。


 ちょうど私も仕事が忙しくない時期で、ぜひぜひと快諾。


 かくして、いつものメンバーで集まり、パン焼き大会と相成ったのです。


「というわけで、生地は発酵済みですから、あとはこねて形を作っていきましょう」


 さすがクッキング女王。手際がいい。


「あの、食パン焼きたいのですけど、型ありますか?」


「はい。ありますよ」


「こういう集まりで、食パン焼くってのも珍しいっすね」


 ははは。まあ、そうよね。


「うち、食パンの消費多いですから、実利を兼ねようと思いまして」


「なるほどっす」


 さつきさんも、得心がいったご様子。


「アメリも食パン焼けばいい?」


「一斤あれば十分だと思うし、アメリは好きなの焼いていいよ。ねこさんパンとか、可愛いんじゃないかな?」


「おお!」


 アメリちゃんも、「これ!」と決めたようです。


「チョコペンあるから、お顔描けるよ」


「おお~!」


 さすが由香里さん、ソツがない。


「まりあさんのは……あんこですか?」


 まりあさんが袋から取り出した缶詰を、尋ねる白部さん。たしかに、あんこだ。


「ええ。アンパンを作ろうかと思いまして。クロちゃんが好きなんです」


 へー。


「パンじゃ、酒のアテにならんよなあ」


「お酒から、たまには離れてくださいよ」


 ぼやく久美さんに、苦笑しながらツッコむ優輝さん。珍しい構図だ。


「友美も、ねこさんパン作るの?」


「うん!」


「じゃあ、お母さんも同じのにしよっと」


 お隣りの近井さん親子も、アメリと同じものを作る模様。ともちゃん、ほんとアメリ好きよねえ。


「ルリ姉、アタシらは何にするー?」


「ノーラちゃん、チキン好きでしょう? 照り焼きマヨチキンパンとかどうかなって」


 と、鶏肉を取り出す白部さん。


「おー!」


「というわけで、調理器具と調味料、お借りしてもよろしいでしょうか?」


「はい。お好きなように、お使い下さい」


 由香里さん、笑顔で快諾。


 優輝さんは、王道を行くロールパン。さつきさんと久美さんは、バインミー用のフランスパンを焼くことにした模様。


 各自目標が決まったところで、調理開始!


 といっても、私はこねて、型にはめるだけなのよねー。というわけで、アメリの監修。


「由香里おねーちゃん、チョコジャムある?」


「あるよー。中に入れるのかな?」


「うん!」


 おお。やりますねえ、我が娘。


 というわけで、チョコジャムを中に入れ、ねこさんを形作っていくアメリちゃん。


「おお、上手上手~」


「えへへ。でしょー」


 得意げなのが可愛い。


 そして、ケイティちゃんをチョコペンで描いていく。おお、そっちにいきましたか。


 近井さん親子も、それを見て路線変更。


 そして、だいたいみんな作り終わり、かくてるハウス名物・特大オーブンで焼成。


 腰掛けておしゃべりしつつ、焼き上がった人から取り出していく。


 う~ん。この、焼き立てパンの匂い、たまらないね!


 冷めるのを待って、実食タイム! といっても、私の食パンはお持ち帰り用だけど。


「なんだかすみませんね。ごちそうになるだけの形で」


「いえいえ。ご遠慮なく」


 白部さんからチキンパンをいただき、はむっ! あーん、ホカホカで美味しい~! お肉もジューシィ!


「美味しいです~!」


 アメリと一緒に称賛。


「ありがとうございます」


 微笑む白部さん。良きかな良きかな


 ノーラちゃんは、例によって「うめー」シャウト。


「わたしたちの、アンパンもどうぞ」


 まりあさんからも、おすそわけ。


「ありがとうございます」


 これまた美味!


「美味しいです!」


 またもや、アメリと一緒になって称賛。「ありがとうございます」と微笑むまりあさんと、はにかむクロちゃん。


 なんだか、ごちそうになってばかりで悪いなあ。今度、何かお返ししよ。


「おねーちゃん、アメリのもー」


 おお、そうでしたそうでした。肝心の、愛娘の手作りパンをいただきましょー。


 ぱくっ……甘ーい! 美味しい~!


「グーよグー! 最っ高!」


「おお! 良かった!」


 そう言って、自身も自作のパンを美味しそうに食べ始める。


「バインミーは、お腹に入るっすかね?」


「あーすみません、さすがにお腹がきついですねえ」


「じゃあ、フランスパンだけでも、お土産にどうぞっす」


 というわけで、フランスパンをいただいてしまいました。


 こうなると、私の食パンを、我が家にそのまま持って帰るのも悪いので、切り分けて、全部皆さんにおすそ分けしました。予定は未定ってね! ちゃんと出来てると、いいんだけど。


 優輝さん、由香里さん、近井さんからもパンをお土産にいただき、春のパンまつりはお開きとなりました。ちなみに由香里さんのは、ホイップクリームとブルーベリージャムのパン。


 楽しかった~!


 「また、みんなでやりましょう」と約束し合い、帰途につくのでした。


 良きかな良きかな

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