神奈さんとアメリちゃん

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第四百七十話 白部姉妹と、のほほんな一日

公開日時: 2022年1月19日(水) 21:01
文字数:2,439

 今日はミケちゃんとクロちゃんが出払っている代わりに、ノーラちゃんがお休みです。


 夏休みだからって休みなしじゃあれだし、ノーラちゃん以外の子にとっては、土日はお父さんお母さんらと、ゆっくりできる機会だからね。まあ、それいったら、昨日と一昨日の祝日も休みで良かったんじゃ? って気もするけど。


 それはともかく、そんなわけで白部さんとノーラちゃんが、遊びに来ています。


「さすがに今日は、外出たくねー」


 と、珍しいボヤキをするノーラちゃん。


「練習きつい?」


 例によって、お仕事しながら質問。


「きちー! さすがのアタシも、ちょっと音が上がる!」


 ほー。あのノーラちゃんが言うんだから、ハードなんだろうなあ。とくに、猛暑だし。


「白部さんは、それをご覧に?」


「はい。仕事ということで、特別に許可をいただきまして。本格的なクラブみたいで、たしかに結構厳しいです」


 へー。そのぶん、努力が実るといいね。


「いま、どのへんの練習を?」


「まだ、いわゆる基礎練ですね。体作りを中心に、ドリブル、パスなどの基礎技術の反復練習です。飽きっぽいノーラちゃんが、つまらないとか言わないんですから、本当にサッカーが好きで、プロになりたいんだなって」


「おー! ぜってープロ、それも最強のストライカーになるぜー!」


 実に、意気軒昂いきけんこう


「スライディングで、鮮やかにボール奪ったりしたいぜ」


「そういうのは、もっと基礎を積んでからね」


 親子の、ほほえまなやり取り。


「ノーラ、今日はあれやるの? ゴッドレンジャーごっこ」


 愛娘、最近出番が減ってるゴッドレンジャーに期待。


「うーん、どーしよっかなー。いちおー、持ってきたけど」


 おや、ノーラちゃんもついに、エレメントレンジャーブームが去っちゃった?


「とにかく、疲れて……。だらだらしてぇ~」


 いやはや。元気爆発が売りのノーラちゃんが、ほんとに音を上げてる。ものすごく、ハードなトレーニングしたんだろうなあ。


「じゃあ、一緒に恐竜の話しよ!」


「いいぜー」


 おお、そっちにいきましたか。喉乾くだろうから、お茶のおかわり持ってきてあげよう。



 ◆ ◆ ◆



「なんかね、ティラノサウルス羽毛生えてたらしいよ?」


「えー、マジかそれ。アタシん中のイメージが崩れるぞー」


 お茶のおかわりを出し、再び仕事中。今日は白部さんがお菓子として、アイスキャンディーを持ってきてくださいました。ありがとうございます。


 ちらりと無言が続く白部さんに視線を向けると、穏やかかつ、真剣な表情でノートPCのキーを叩いています。この子たちの、一挙手一投足のデータを取らなきゃですもんね。お疲れ様です。ほんとは、純粋に趣味として、猫耳人間に関わりたいでしょうに。


 プロになると、「好き」という気持ちだけではやっていけないのは、どこも一緒ですねえ。


 仕事といえば、芦田さんと佐武さんの進捗はどうかな? ちょっとLIZE起動~。「ご進捗いかがですか?」っと。さすがに、背景もそろそろ、仕上がってて欲しいけど。


 作業に打ち込むことしばし。お、返信が来ましたよ。それぞれ残り二~三%とのこと。頼もしい~。


「ルリ姉~。おやつもっと欲しいぞ~」


「困ったな。一箱しか買ってないのよね」


「だったら、私がおなじみカップケーキ作りましょうか?」


 うーんと、伸びをしながら提案。肩凝った。


「ええ? そんな、悪いですよ。お仕事大詰めでしょう?」


「まあ、気分転換も仕事の内ですので」


「だったら、アメリが作ってもいい?」


 なんと、アメリちゃんが!?


「いいけど……作り方わかる?」


「調べる!」


 おお、さすが文明の利器を得た子は違う。


「かといって、大人がついてないのも何ですね。私も、付き添いましょうか?」


「アメリが作るなら、アタシもやるぞー」


 どんどん、志願者が増えていく。


「じゃあ、全員で行きましょうか」


 「おおー」と、元気よく四人でキッチンへ!



 ◆ ◆ ◆



 何ということのない、お手軽お菓子なので、さくっと完成!


 そのまま、ダイニングでいただきます。


「うめーッ!」


 出ました! ノーラちゃんのうめーシャウト!


「美味しいよねー」


 子供たちに同意を問うと、「うん!」と元気な返事。


「猫崎さんに教わってから、たまに作ってますけど、ほんとにお手軽で美味しいですよね」


 白部さんも、大満足。


「あ、そうだ。おやつといえば、一月にいただいた瓶詰めってどうされました? うちはゼリーにしてみましたけど」


「私はリンゴのをいただきましたから、アップルパイにしてみたんですけど、失敗でした。木下さんに、紅玉でないと美味しくならないと、教わる前でしたので……」


 あら、それは残念な。


「まあ、まずいってわけでもなかったんですけどね。ただ、あれ? なんか違うな? っていうのができちゃったといいますか」


 と、肩をすくめる。


「私も、一児の親になったんですから、もっと料理頑張りたいですねえ。特に、ノーラちゃんサッカー選手を目指してますから、栄養バランスには気をつけたいです。今度、栄養士さんに相談してみようかしら」


「栄養指導ですかー。私も受けたほうがいいんでしょうか?」


「データ採取の一環として、一週間の献立を調べたくはありますね。今度、みんなでやってみましょうか」


 おや、なんだか意外な方向に。


「あとで、角照さんと宇多野さんにも尋ねてみますね」


「はい。私も、アメリの食事が適切か知りたいですし」


 テキトーに思いつきで作ってるからなあ、うち。一応、お野菜はなるべく摂るように気をつけてるけど。


「じゃあ、皆さんのご同意がいただけたら、私がリクエストしておきますね」


 さすが、T総の先生。


 こんな感じで、平和に時間が過ぎていくのでした。


 夕方に、二人は帰宅。その後、全員の同意が取れたので、栄養指導の予約を入れたそうです。


 一方で、例の掲示板は、変なのが随分と沸いてしまったそうで。ご苦労をおかけします……。私たちを隔離したことの意味を、痛感しました。


 「せめて、日英でも部屋を別けたほうが良かったですね」とは、親子ちかこさんの弁。「まあ、その辺はおいおいやっていきます」、とも。


 お疲れ様です。

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