今日はミケちゃんとクロちゃんが出払っている代わりに、ノーラちゃんがお休みです。
夏休みだからって休みなしじゃあれだし、ノーラちゃん以外の子にとっては、土日はお父さんお母さんらと、ゆっくりできる機会だからね。まあ、それいったら、昨日と一昨日の祝日も休みで良かったんじゃ? って気もするけど。
それはともかく、そんなわけで白部さんとノーラちゃんが、遊びに来ています。
「さすがに今日は、外出たくねー」
と、珍しいボヤキをするノーラちゃん。
「練習きつい?」
例によって、お仕事しながら質問。
「きちー! さすがのアタシも、ちょっと音が上がる!」
ほー。あのノーラちゃんが言うんだから、ハードなんだろうなあ。とくに、猛暑だし。
「白部さんは、それをご覧に?」
「はい。仕事ということで、特別に許可をいただきまして。本格的なクラブみたいで、たしかに結構厳しいです」
へー。そのぶん、努力が実るといいね。
「いま、どのへんの練習を?」
「まだ、いわゆる基礎練ですね。体作りを中心に、ドリブル、パスなどの基礎技術の反復練習です。飽きっぽいノーラちゃんが、つまらないとか言わないんですから、本当にサッカーが好きで、プロになりたいんだなって」
「おー! ぜってープロ、それも最強のストライカーになるぜー!」
実に、意気軒昂。
「スライディングで、鮮やかにボール奪ったりしたいぜ」
「そういうのは、もっと基礎を積んでからね」
親子の、ほほえまなやり取り。
「ノーラ、今日はあれやるの? ゴッドレンジャーごっこ」
愛娘、最近出番が減ってるゴッドレンジャーに期待。
「うーん、どーしよっかなー。いちおー、持ってきたけど」
おや、ノーラちゃんもついに、エレメントレンジャーブームが去っちゃった?
「とにかく、疲れて……。だらだらしてぇ~」
いやはや。元気爆発が売りのノーラちゃんが、ほんとに音を上げてる。ものすごく、ハードなトレーニングしたんだろうなあ。
「じゃあ、一緒に恐竜の話しよ!」
「いいぜー」
おお、そっちにいきましたか。喉乾くだろうから、お茶のおかわり持ってきてあげよう。
◆ ◆ ◆
「なんかね、ティラノサウルス羽毛生えてたらしいよ?」
「えー、マジかそれ。アタシん中のイメージが崩れるぞー」
お茶のおかわりを出し、再び仕事中。今日は白部さんがお菓子として、アイスキャンディーを持ってきてくださいました。ありがとうございます。
ちらりと無言が続く白部さんに視線を向けると、穏やかかつ、真剣な表情でノートPCのキーを叩いています。この子たちの、一挙手一投足のデータを取らなきゃですもんね。お疲れ様です。ほんとは、純粋に趣味として、猫耳人間に関わりたいでしょうに。
プロになると、「好き」という気持ちだけではやっていけないのは、どこも一緒ですねえ。
仕事といえば、芦田さんと佐武さんの進捗はどうかな? ちょっとLIZE起動~。「ご進捗いかがですか?」っと。さすがに、背景もそろそろ、仕上がってて欲しいけど。
作業に打ち込むことしばし。お、返信が来ましたよ。それぞれ残り二~三%とのこと。頼もしい~。
「ルリ姉~。おやつもっと欲しいぞ~」
「困ったな。一箱しか買ってないのよね」
「だったら、私がおなじみカップケーキ作りましょうか?」
うーんと、伸びをしながら提案。肩凝った。
「ええ? そんな、悪いですよ。お仕事大詰めでしょう?」
「まあ、気分転換も仕事の内ですので」
「だったら、アメリが作ってもいい?」
なんと、アメリちゃんが!?
「いいけど……作り方わかる?」
「調べる!」
おお、さすが文明の利器を得た子は違う。
「かといって、大人がついてないのも何ですね。私も、付き添いましょうか?」
「アメリが作るなら、アタシもやるぞー」
どんどん、志願者が増えていく。
「じゃあ、全員で行きましょうか」
「おおー」と、元気よく四人でキッチンへ!
◆ ◆ ◆
何ということのない、お手軽お菓子なので、さくっと完成!
そのまま、ダイニングでいただきます。
「うめーッ!」
出ました! ノーラちゃんのうめーシャウト!
「美味しいよねー」
子供たちに同意を問うと、「うん!」と元気な返事。
「猫崎さんに教わってから、たまに作ってますけど、ほんとにお手軽で美味しいですよね」
白部さんも、大満足。
「あ、そうだ。おやつといえば、一月にいただいた瓶詰めってどうされました? うちはゼリーにしてみましたけど」
「私はリンゴのをいただきましたから、アップルパイにしてみたんですけど、失敗でした。木下さんに、紅玉でないと美味しくならないと、教わる前でしたので……」
あら、それは残念な。
「まあ、まずいってわけでもなかったんですけどね。ただ、あれ? なんか違うな? っていうのができちゃったといいますか」
と、肩をすくめる。
「私も、一児の親になったんですから、もっと料理頑張りたいですねえ。特に、ノーラちゃんサッカー選手を目指してますから、栄養バランスには気をつけたいです。今度、栄養士さんに相談してみようかしら」
「栄養指導ですかー。私も受けたほうがいいんでしょうか?」
「データ採取の一環として、一週間の献立を調べたくはありますね。今度、みんなでやってみましょうか」
おや、なんだか意外な方向に。
「あとで、角照さんと宇多野さんにも尋ねてみますね」
「はい。私も、アメリの食事が適切か知りたいですし」
テキトーに思いつきで作ってるからなあ、うち。一応、お野菜はなるべく摂るように気をつけてるけど。
「じゃあ、皆さんのご同意がいただけたら、私がリクエストしておきますね」
さすが、T総の先生。
こんな感じで、平和に時間が過ぎていくのでした。
夕方に、二人は帰宅。その後、全員の同意が取れたので、栄養指導の予約を入れたそうです。
一方で、例の掲示板は、変なのが随分と沸いてしまったそうで。ご苦労をおかけします……。私たちを隔離したことの意味を、痛感しました。
「せめて、日英でも部屋を別けたほうが良かったですね」とは、親子さんの弁。「まあ、その辺はおいおいやっていきます」、とも。
お疲れ様です。
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