神奈さんとアメリちゃん

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第二百三十七話 ねこかふぇたいけんき ―前編―

公開日時: 2021年5月19日(水) 21:01
文字数:2,160

 時計の針はくるくる回り、二月二十日の夕食後。ニューベッドくんもすっかり我が家に馴染んでいます。アメリは新たに小三向け漢字のお勉強中。いやー、算数と漢字の勉強しかしてないとはいえ、五ヶ月弱でここまで来たかー。


 ゲーム機もセットし終わり、ストレッチに代わる我が家の運動器具として役立っています。ただ、未だアメリに勝てたことナシ。若さっていいなー。


 我が家の生活も、色々様変わりしてきてるね。アメリが転生しなかったら、私の生活ってあんまり代わり映えしなかったんだろうなあ。


 そんなことを思いながら筆を走らせていると、LIZEに着信が。由香里さんからのグループ宛てチャットだ。


 「こんばんは。もうすぐ猫の日ですね。よろしければ、みんなで猫カフェに行きませんか?」とのこと。


 「私、片手が離せないもので、通話でよろしいでしょうか?」と問うと、「では、神奈さんとは通話で」とメッセージが書かれ、コールが来ました。


「こんばんはー。猫カフェですか」


「ええ、私、猫カフェ通いが趣味じゃないですか。で、いい猫カフェがあるって口コミで見まして」


 へー。


「私、中一の頃からアメリと一緒でしたから、行く機会なかったですねえ」


「楽しいですよ。猫ちゃんがいっぱいいて」


 私と通話しながら、白部さんやまりあさんともチャットする由香里さん。現在進行形でマルチタスクしてる私が言うのも何だけど、器用だなー。


「猫がいる以外、普通の喫茶店みたいのを想像すればいいんでしょうか?」


「うーん、問い合わせてみましたけど、このお店は普通の喫茶店とは趣が違うみたいですよ? ドリンクサーバーがあるそうです」


 へへえ。


「面白そうですね。アメリも猫好きですし、連れて行ってあげたいです」


「わかりました。そこ、予約もあるので席確保のために予約しましょう。平日は十二時から開店だそうですよ」


「すると、お昼を食べて、十三時頃お邪魔するのが良い感じでしょうか?」


「白部さんたちにも伺ってみますね」


 高速で、LIZEに打診メッセージが書かれる。はやっ。片手打ちでしょ? すごいなー。


 白部さん、まりあさんともどもそれでOKとのこと。


「で、時間ごとに料金プランがあるんですけど、どうします?」


 LIZEと同時進行で問われる。


「うーん、初めてなもんで、どのぐらいが適切なのか把握しかねますね……」


「二時間パックが人気らしいですよ。まずは手始めにこれでどうでしょう?」


「私は異存ないです」


 白部さん、まりあさんもそれでいきましょうとのこと。


「では、明日予約しますね。すでに埋まっていた場合、再度都合の良い時間をお伺いします。近くに駐車場があるとのことで、当日はそれを使いましょう。それでは、通話のほうはこれで失礼します。疑問点があれば、改めてお尋ねください」


 チャットに店名と住所が貼られる。まりあさんとクロちゃんは由香里さんが拾っていくことになり、その後お二人と雑談していたけれど、まりあさんが仕事に戻られるとのことで、白部さんとサシでお話を始めた模様。ミケちゃんの話題を主にしているみたいね。


 少し執筆を進めると、ストレッチタイム改めダンスタイムがきたので、アメリといざ対決!


 ……わたしまけましたわ。とほほ。一回ぐらい勝ちたいなあ。


 「おねーちゃんも頑張ってるよ!」と慰められてしまった。


 ひと汗かいたあとは、お風呂にざぶん。あー、気持ちいい~。


 湯上がり後、アメリにドライヤーをかけていると、「アメリもおねーちゃんにやってみたい!」とのこと。


「そう? じゃあお願いしようかな。私、髪長いから大変だと思うけど」


「頑張る!」


 屈んで、髪をお任せする。ゴーという音と温風が心地良い。


「んー、上手だよー。いい感じ~」


「おお~」


 のほほんとしたほのぼのタイムを過ごし、帰りがけに麦茶を一杯あおった後は、コーヒー牛乳片手に寝室へ。


 ああ、そうだ。ゲームPV拝見するって言ったまま放置しっぱなしだったな。拝見しましょう。ええと、公式サイト……っと。


 これかー。再生ぽち。


 おお、ゲーム冒頭でおなじみの、ひなちゃん主人公のお引越しナレーションだ! で、ヒロイン三人が紹介されて……。おおー、良く出来てる! 久美さん、多才だなー。


 LIZEに「やっとPV拝見しました! とてもいい出来だと思いました!」と、小学生でももうちょっと気の利いたこと書けるんじゃないかという語彙で、賞賛を書き込む。すると、即座に久美さんから「サンキューな!」とサムズアップ猫スタンプとともに返信が来ました。


 「そういえば、やはり製品版をきちんとお買い上げしたほうがいいでしょうか?」と問うと、「あー、βとそんな変わらんからいいよ。できれば次の新作よろしく!」と、再びサムズアップ猫スタンプとともにメッセージ。


 「はい、楽しみにしてます」と、バンザイ猫スタンプとともに返信し、会話を終える。


 いやー、私がゲームにここまでハマるなんて思わなかったな。こんなに面白いなら、もっと小さいときから馴染んでおけば良かったかも。まあ、そのぶん漫画を頭に詰め込んだと思えば。


 猫カフェも楽しみだなー。私の人間としての幅が、ここ数ヶ月で急激に広がっている気がする。


 思えば、それもアメリがいてこそ。この子は、私に色んなものを運んできてくれる。


 ちらりと背後を振り返り、漢字の書き取りに励んでいる私のお姫様に微笑むのでした。

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