「とまあ、結局正直に白状しちゃいました。ご相談に乗っていただいておいて、あれですけど」
汗拭き猫スタンプとともに、いつものグループチャットに送信。
「いやいや、円満解決して純粋に嬉しいですよ。やっぱり、神奈さんには嘘は似合いませんもん」
優輝さんが頷き猫スタンプとともに送信。
「あまりお役に立てず、すみませんでした」
「いえ、背中を押していただいてありがとうございました。皆さんも、ご相談に乗っていただきありがとうございました」
恐縮する白部さんと皆さんに、お辞儀猫スタンプとともに素直な感謝の気持ちを述べる。
いやはや、朝っぱらからお騒がせしてしまった。気を取り直して、お昼と晩ごはんの材料買ってこようかなあ。
「アメリー、お買い物行くー?」
「行くー!」
お絵かきをしていた彼女が、笑顔で返事する。
そいじゃあ、参りましょうか!
私のお買い物も、最近朝とか昼とかが多くなったねー。一人暮らししてたときとは、随分生活リズムが変わったもんですなあ。
◆ ◆ ◆
とーちゃーく! いつもの店内BGMを耳にしながら、チラシちぇーっく!
今日はスパゲッティーとスパゲッティーソース、鶏もも肉がお安いでーす、と。
ふむ。スパゲッティーは昨日ボンゴレ作ったけどなー。まあいいや、乾麺とレトルトソースはあって困るものでなし。持て余さない程度に買っていきましょ。
あ、そうだ。こないだ優輝さんから教わった、あの料理作ってみようかな。ミートソースをかごにイン! あと、とろけるチーズ~。
さて、お昼はこれでいいとして、夜はどうしましょうねー。鶏ももで何か……。
そういえば、せっかく冬なんだからお鍋を堪能しきっておきたいねー。よし、水炊きを作りましょー!
鶏もも、白菜、おネギ、人参、えのき、春菊をイン~!
あとは、おなじみ三種の神器、パン、牛乳、卵をがごにポン! おっけー!
「アメリは何か買いたい物あるー?」
「んー……『うめえ棒』四つ買う~。みんなと食べたい~」
ふふ、ほほえまだね!
じゃあ、お会計しましょうか。
◆ ◆ ◆
ただいまーっと。お昼までまだ時間があるので、真留さんのお返事チェーック!
お、ネームが一発で通りました。ありがたや。では、下書きに入りましょー。
私はPCで下書きを、アメリちゃんは本でお勉強を始めました。「雨太郎」完。めでたしめでたし。って、なんでしょね、このノリ。ネームが通ってプチハイになってるのかしら。
しょうもない脳内遊びはさておき、下書き下書き~!
すいすい、かりかり。
お、スマホのアラームがお昼を知らせてきましたよ。そんじゃー、作りに行きますかー!
「アメリちゃーん、お昼作りに行きますよー」
「はーい!」
本から顔を上げ、しゅびっと挙手。元気でよろしい!
では、れっつらごー!
◆ ◆ ◆
「おねーちゃん、今日は何作るのー?」
「ふっふっふー。『悪魔のグラタン』を作るですよー」
「お、おおお!? 悪魔……怖い……」
ぷるぷるとマナーモードのように震えるアメリ。
「あー、ごめんごめん。脅かすつもりはなかった。あのね、悪魔的なまでに美味しいグラタンって意味だよ」
「おおー!」
今度は瞳をキラキラ輝かせる。忙しいね。
「で、とーっても簡単お手軽だから、アメリちゃんに作ってもらおうかな!」
「おお! 任せて!」
しゅびっと挙手する彼女。
「じゃあ、やっていきましょー」
今日のシェフはアメリだけど、気分的に三分でクッキングする脳内BGMを流す。今のうちに、オーブンを温めておいて、と。
「じゃーん、グラタン皿~。まずはこれに、パンを一口サイズにちぎって敷き詰めてちょうだいな」
「わかった!」
よいしょよいしょと、ちぎっては入れ、ちぎって入れしていくアメリシェフ。
「お見事です。じゃあ、牛乳百五十ミリリットル……これは私が計量するね。……はい、これをかけ回してちょうだい」
「はーい」
いい感じに、パンがひたひたに。
「じゃあ、次はこのレトルトミートソースを均等にかけて。固まっちゃったらスプーンで伸ばしてね」
にゅにゅっと絞り出し、スプーンで伸ばしていくアメリちゃん。
「あとは、このとろけるチーズ二枚を上に載せたら準備完了だよー」
「おおー」
チーズを載せ載せ。
「はい、同じのをもう一個作ろう」
というわけで、もう一個目を作成。
「あとは、八分レンチンですよー。オーブンの中に入れたら、このツマミを8まで回してね」
「はーい」
というわけで、あとは焼成を待つだけ! 動画を見ながら暇つぶし~。アメリのリクエストで、色んな動物の動画を見ていく。
チーン!
お、できあがりましたね。
「じゃあ、アメリちゃん。平皿を二枚私たちの座るところに置いてくれるかな?」
「わかったー!」
アメリがお皿を用意してくれたので、その上にミトンで掴んだグラタン皿を置く。
紅茶を淹れてフォークとスプーンを用意して、と。
「じゃあ、いただきますしようか。いただきます!」
「いただきます!」
うーん、ミルクを吸ったパンが、クリーミィ! これがチーズ、ミートソースと合わさり実に濃厚!
「おお~! 美味しい!」
アメリちゃんもご満悦。良き哉良き哉。
「お見事な腕前です、アメリシェフ」
パチパチと拍手すると、「えへへ~」と照れる。可愛いなあ、もう!
優輝さんはこういうお手軽料理を色々ご存じで、凝ったものからこういうお手軽なものまで幅広く作れて、ほんとすごいなあと感心してしまう。
さてさて、夜は凝り凝り料理である水炊きが待っていますよ。それまでお仕事がんばりましょー!
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