神奈さんとアメリちゃん

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第三百五十話 雨の日に その一

公開日時: 2021年9月13日(月) 21:01
更新日時: 2021年9月24日(金) 18:13
文字数:2,026

 もみもみ……。もみもみ……。


 ん……。


 ああ、もう朝か……。


「ぅおふぁよぉ~」


「おはよー、おねーちゃん! お顔洗って、サンドイッチ作るね!」


 私を起こすという使命を果たすと、とたたたと廊下に向かうお嬢様。


 そっか。今日からアメリ、朝ごはん作るんだっけ。あふぁああああああぁ~。


 うー、眠い~。もう一回横になりたいのは山々だけど、毎日頑張って起こしてくれるアメリちゃんのためにも、しっかり目を覚ましましょ~。あふ……。


 カーテンを開けると、微妙に外が薄暗い。こりゃ、降るかな?



 ◆ ◆ ◆



 のそのそ洗顔を済ませキッチンに赴くと、アメリシェフが玉ねぎと格闘中でした。うおお~、目にしみるゥ! まあ、いい眠気覚ましだと考えましょう。


「改めておはよー、アメリちゃん」


「おはよー! もうちょっと待っててね!」


 ボウルでツナと混ぜ混ぜ。順調そうですねえ。良きかな良きかな


 冷蔵庫から麦茶を一杯注ぎ、とりあえず朝の水分補給。くはー、寝起きの麦茶、美味しい~。


 そのままのっそり着席して、ぬぼーっとシェフの調理光景を寝ぼけ眼で見つめる。


 すとん! とサンドイッチに包丁が入り、二つ目に取り掛かる。精が出ますなあ。


「できたよー!」


 ことんと目の前にお皿を配置し、続いて紅茶をれるシェフ。ほんとに働き者ですねえ。


 お茶も目の前に置かれ、モーニングセットが完成。対面に着席するシェフ。


「ありがとね~」


「どーいたしまして! それじゃー、いただきます!」


「はーい、いいただきまーす」


 もっそもっそ。もっしゃもっしゃ。相変わらずスローモーに朝食をいただきながらも、アメリちゃんの手料理。それも朝ごはんにちょっとした感動を覚える。


 雑に焼いただけの、冷めたトーストを食べなくていいって、素晴らしいなあ……。ほろり。


「おお~? おねーちゃん、なんか泣いちゃってる?」


「うん。アメリの料理が嬉しくって」


「お、おお~……」


 照れくさそうに、もじもじするシェフ。ふふ、ほほえま~。


 その後、アメリちゃんは手早く食べ終わり、いつものようにテレビ視聴。私はもちろん、未だにもっそもっそとサンドイッチとサラダを食んでいます。


「おねーちゃーん、今日雨だってー」


 あやー、やっぱ降りますかー。


「んー? 何時頃から~?」


「えっとねー、お昼前から明日いっぱいにかけて、だって」


「今日のお買い物は、車ですねー」


 あとで、自転車にカバーかけとかないと。もぐ、もぐ。


 やっとごはんも食べ終わり、ごちそうさま宣言。すると、八時になったとテレビから聞こえてきました。


 アメリちゃんにごはん作ってもらっても、結局こんな時間になっちゃうんだなあ。とほほ。


 ともかくしゃっきりしたので、アメリに作ってもらったぶん、後片付けは引き受ける。これぐらいはやらないとね。


 その後は歯を磨いて、トマトとバジルのお世話。由香里さんに間近の写真を見せてみたところ、順調に育っているらしい。良きかな良きかな


 由香里さんといえば、私のトマト&バジル栽培を聞いて趣味の家庭菜園魂がうずいたらしく、こちらかくてるハウスに移住してから迷っていた栽培に手を出した模様。ベランダでオクラを育てているのだとか。


 栽培といえば、「みどりんポトス」もアメリの甲斐甲斐しいお世話のもと、すくすく育っております。「命を預かることの大切さと責任」をきちんと守ってくれていて、嬉しい。


 正式に花瓶に移したカーネーションも、もう少し持ってくれそうだ。


 さ・て・と。野菜のお世話も終わり、朝のニュースとLIZEちぇーっく!


 ニュースは、猫耳人間旋風も一段落し、雑多なニュースが流れております。世間様の飽きっぽさの、ありがたいやら、ちょっと呆れるやら。まあ、過剰に騒がれないほうが気楽よね。


 そういえば、白部さんがおっしゃっていた、上のほうでの新たな動きって、あれからどうなったんだろ。ちょうどいい、尋ねてみますか。


 まずは、皆さんと朝のご挨拶。


「そういえば白部さん。以前おっしゃってた上のほうの動きとやらはどうなりました?」


「ああ、あれですね。それが、まだ私の耳には具体的な話が入ってこなくて。面目ないです。何かわかったら、まっ先にお知らせしますね」


 とのこと。ふむう。まあ、彼女をせっついても仕方ないよね。


 続いて、話題の中心は今日の天気に移りました。白部さんは乾燥機を持ってないので、「今日はお洗濯できませんね」と困ってるご様子。


 あ、困ってるといえば!


「まりあさん、今日のお買い物って、ひょっとしなくても困りませんか?」


「はい。天気予報見て、どうしようかなと悩んでました。お昼ごはんのぶんもなくって……」


 悩み猫スタンプ。


「私も今日買い物行きますから、昨日の今日ですけど、ご一緒にいかがですか?」


「いいんですか? ありがとうございます!」


「いえいえ。助け合い、これ大事ですから!」


 サムズアップ猫スタンプを貼る。


 というわけで宇多野姉妹と一緒に、以前立ち寄った、宇多野家に近いほうのスーパーへ、お昼前にご一緒する運びになりました!


 そいじゃ、降らないうちに自転車カバーかけに行きましょう~。

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