神奈さんとアメリちゃん

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第百八十七話 三度再来! 猫崎飯店!

公開日時: 2021年4月26日(月) 21:01
文字数:2,125

いつものスーパーにとうちゃーく! おなじみの店内BGMに包まれながら、これまたおなじみのチラシチェック、いってみよー!


 じゃん! 今日は挽き肉と中華調味料がお安いです、と。ふむふむ。


 挽き肉で中華かー。挽き肉だと、担々麺、餃子、焼売、麻婆豆腐に麻婆茄子あたりか。ここはアメリちゃんの意見を訊いてみましょー!


「アメリー、この中だったらどれが食べたい?」


 五つの候補の完成画像を順繰りに見せていく。決めかねて悩んでいるようなので、もう一周。


「うーん……これかなー?」


 彼女が選んだのは麻婆豆腐。りょーかーい!


 さあ、品が決まれば後はそれに沿ったお買い物!


 まずは、主役の豚挽き肉と木綿豆腐! 続いて、助演の長ネギくん。これに加えて豆板醤トウバンジャン甜麺醤テンメンジャン、顆粒の鶏ガラスープの素もかごにイン!


 レシピサイトを見るに、うちにない材料はこんなもんかな?


 後は、中華のお供烏龍茶を買って、と。ほかはパンと牛乳と卵のレギュラー三点セットを買えばOK!


 アメリも特に買いたい物はないとのことなので、お会計~。



 ◆ ◆ ◆



 ただいまー! というわけで手洗い&うがいの後は、お米を水に浸してお仕事~。アメリちゃんはお絵かきなう。


 浸水時間が終わったら炊飯ボタンを押し、お仕事再開。


 そしてスマホのアラームが今度は炊きあがりを知らせてくれたので、二人でキッチンに移動~。


 さあ、レシピ動画をセット、いつもの三分でクッキングする脳内BGMをスイッチオン!


 まず、お豆腐とネギを切るわけだけど……。


「アメリ、おネギ切ってみる?」


「うん!」


 おお、元気なお返事。


「じゃあね、この一本を半分に切って……そうそう。で、片方は細い輪切りに、もう片方はみじん切りにしてもらえる?」


「わかった!」


 アメリシェフが、言われた通りに包丁を入れていく。では、こっちはこっちで作業を進めましょう。最近のアメリは、同時進行を任せられるので助かります。


 私は手のひらにお豆腐を載せて、二センチ角ぐらいのサイコロ状に切る。これを計二丁ぶん。


 あとは、料理酒大さじ四杯、甜麺醤とお醤油を大さじ二杯、鶏ガラスープの素とお砂糖を大さじ一杯、水五百ミリリットルをボウルに入れて混ぜ合わせる。


 大型フライパンと手鍋をそれぞれ用意し、手鍋で湯を沸かす。今のうちにお米も切っておく。


「できた!」


 アメリシェフも、危なげなく作業完了。


「はーい。じゃあ、後は私の作業だね」


 フライパンに油を引いて熱し、ネギのみじん切り、チューブのにんにくと生姜を入れて炒めまーす。ネギに火が通ってきたら、挽き肉三百グラムも投入~。


 肉に火が通るまでじゅうじゅう炒めて、豆板醤を小さじ二杯イン!


 先ほど調合した調味液も入れて、ひと煮立ちさせる。


 ここでお豆腐を投入!


 さらに煮ること少々。弱火にして水溶き片栗粉を入れてよく混ぜまーす。


 火加減を戻し、仕上げにごま油を大さじ一杯入れたら完成~。


 で、もう一品作る物があるのよね。


「アメリちゃん。この麻婆豆腐をお皿によそってくれるかな?」


「はーい」


 フライパンの火を止め、選手交代。スープの作成に移る。


 こちらは輪切りのネギを茹でて、火が通ったら鶏ガラスープと塩胡椒で味を整え、最後に溶き卵を入れるというもの。お手軽中華スープの完成でーす。


「おねーちゃん、できたよー!」


「お疲れ様です、アメリちゃん。私もスープよそうね。烏龍茶をテーブルの上に置いてくれるかな?」


 「置いたー」と、テーブルの中央に烏龍茶のペットボトルを置いてくれる。私も、スープとお米、レンゲを配膳。


「よっし、完成です! いえーい!」


 肩口に手を構えると、アメリがきょとんとする。


「ああ、アメリもこうやって手を構えて。頭の上ぐらいね」


 言われた通りにアメリがすると、再び「いえーい!」と言って手を叩き合わせてパチンと打ち鳴らす。「おお!?」とびっくりする彼女。


「あはは。テンション上がったとき、よくこうやるのよ。ノーラちゃんあたりとやると楽しいと思うよ」


「おお~」


 何やら感心するアメリちゃん。では、いただきますしましょうか。


 エプロンを外し、着席。「いただきます!」と言うと、アメリも続く。


 まずは、メインの麻婆豆腐をぱくっ。


 わお! 辛ウマ!! アメリシェフの手がけたおネギ、いい仕事してますねえ~。


 この辛さ、実にごはんが進む。いくらでも食べられちゃいそう。


 スープも飲むと、これもいい具合。


 そして、烏龍茶も実にさっぱりしてこれまた良し!


「おねーちゃん、辛くて美味しい!」


 額に汗を浮かべたアメリが笑顔を向けてくる。まったく、真冬なのに汗が出てしょうがないよね。


「アメリが手伝ってくれたからだよ。二人で作ると、とても美味しいね!」


 こうして夕ごはんも美味しく食べ終わり、後片付け。


 少し仕事をした後ストレッチをしてお風呂に入り、さっぱりしたらまた仕事。まったく、繁忙期は疲れますなあ。


 でも、好きでやってる仕事なだけ私は幸せ者よね。多くの漫画家志望者が、デビューもできずに筆を折っていく中で、私はどれほど恵まれた立場だろうか。


 何より、私にはアメリがいる。彼女がいて、養う力があって。これ以上ない幸福者、それが私。


 本物の売れっ子先生は億とか稼いじゃうけど、私はこの小さな幸せがあればそれでいい。


 そんな幸福を、今日も噛み締めるのでした。

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