神奈さんとアメリちゃん

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第百六十話 ジュラシック・フクイ!

公開日時: 2021年4月25日(日) 13:01
更新日時: 2022年4月29日(金) 20:45
文字数:2,685

ゆさゆさ。


(ん……)


 ゆっさゆっさゆっさゆっさ。


(うにゃぁ~)


 めっちゃ揺すられてる!


「なーにー?」


 まぶたを開けると、お母さんとアメリにめっちゃ揺すり起こされてました。


「おねーちゃん、おはよー!」


 今日もしゅびっと挙手して元気なアメリ。


「ほら、今日はディノ・ミュージアム行くんでしょ」


 あー、そうでした。時計を見ると、例によって朝七時。


「んー……あと一時間寝てちゃダメー?」


「だーめー」


 むっちゃいい笑顔で、ダメ出ししてくるお母さん。


「ほらほら、アメリちゃんの期待裏切らないようにしないと。じゃあ、ダイニングで待ってますからね」


 といって、二人は室外へ。


 くはあ……。しんど。



 ◆ ◆ ◆



 今日は和の朝食をいただき、車でディノ・ミュージアムへ。


 T町から車で東に四十分ほど行った山間やまあいにあり、特徴的な卵型のドームが見えてきました!


 駐車場から、入り口へと向かう途中、恐竜像たちがお出迎え!


「おお~、すごい!」


 そして、途中のベンチに恐竜人像が。


「おはようございます!」


 緊張しながらぺこりと挨拶するアメリ。


「あー、これ作り物だから」


 コンコンと叩き像であることを教えると、「びっくりした~」と胸を撫で下ろす彼女。


 そんなこんなで入場!


 ゲートを抜けると、鳴き、動くティラノサウルス像がお出迎え!


「おおおおっ!?」


 たいそう驚いたようで、アメリのしっぽが逆立ちそうになり、慌てて見えないように三人でガード。


「これも作りものだから、ビビらないのー。ほら、襲ってこないでしょ」


「うん」


 しっぽの逆立ちが収まったようなので、ガードを解く。


 とりあえず、ティラノを背景にアメリをパシャリ。


 この博物館は上から下へと観覧していくように設計されており、骨格標本や肉体復元標本を見ながら歩いていく。


「おねーちゃん、こういうのが歩いてたの?」


 骨格標本を見ながら、首をかしげるアメリ。


「そうだよ~」


「おお~? どうやってごはん食べるんだろ……?」


 あ、どうも尋ねた意味を勘違いしたらしい。


「違う違う。これは骨。こっちみたいに肉が付いてたのよ、本来は」


 肉体まで復元した標本を指し示す。


「おお~、そうなんだ!」


 ふう、誤解が解けたようで何より。


 その後も、新たな恐竜を目にするたびに「おお~!」と感心するアメリ。あの、フクイティタンたちもちゃんといます。


 ただ、水族館に比べると静的な場所だから、遊んで面白いって感じではないため、水族館のときほどアメリのテンションが高くない気がする。とはいえ、はしゃぎはしないものの食い入るように見ているから、興味は十分あるみたい。


 彼女が読めない漢字を読み上げながら、ちょっとしたツアーガイドと化す。


 それにしても、ほんと大昔にはこんな生き物がたくさんいたんだねえ。アメリやノーラちゃんならずとも、感心しちゃうわ。


 そして、それが絶滅してしまったのだから、実に諸行無常。


 そんな遠大な想いにふけっていると、もうすぐお昼どき。早いもんだなあ。


 エスカレーターを上り、館内レストランへ。


 こちら、片面ガラス張りのオシャレなレストラン。入り口そば頭上に飾られた恐竜の模型が可愛い。


 着席しメニューを見ると、面白そうなのが色々と。私は、猫の手みたいなバンズの恐竜バーガーに決定。こちら、そんな感じのハンバーガーとポテト、からあげにドリンクのセット。ドリンクはコーヒーいただきましょ。


 お母さんはその亜種のソースカツバーガー、お父さんはカツカレーにした模様。


 で、肝心のアメリはというと、キッズプレートを注文。恐竜型のごはん+カレーが可愛い。


 ともかくも、おしゃべりしているとお目当てのものが運ばれてきたので、いただきますを言う。


「美味しい!」


 アメリがカレーをひと口食べ、瞳をキラキラ輝かせる。ふふ、ほほえま!


 私のほうは……まず、メインのハンバーガーから。うん、バンズがふかふかしてて、お肉もジューシィ。実にジュラシック! ……意味不明。


 で、唐揚げもこれまたジューシィだし、ポテトもうまし。コーヒーで喉を潤すと、後味もスッキリ!


 アメリも、コーラを飲んでご満悦。


 お昼も楽しく食べ終わり、まだ行ってないエリアを巡るべく、再度探索の旅へ。


 最下層には発掘現場を模したコーナーがあったり、興味深い。


 パンフを見ると、屋外には化石発掘体験コーナーがあるそうだけど、春から秋までしかやっていないとのことで、断念。


 ともかくも、館内は一通り見終わったので、グッズショップエリアへ。アメリ、ぬいぐるみに飛びつくかと思ったけど、乗り気でない様子。


「ぬいぐるみ要らないの?」


「なんか、ちっちゃいのしかないから……」


 なるほど。アメリにとって恐竜は大きさがツボなのね。フクイティタンのインパクトが強かったんだろうなー。


 代わりに図鑑に強い興味を示したので、お買い上げ。


 閉館までちょっと早いけど、どこにも寄らずそのまま帰ることに。帰省最後の夜に、親子三人で晩酌をしようという話になったのです。



 ◆ ◆ ◆



 というわけで、帰宅~。


 踏破距離、はしゃぎっぷりともに水族館より控えめだったので、アメリも割と元気。


 とはいえ、疲れてないといえば嘘になるので、私と一緒にこたつでごろごろしながら例のバスケ漫画を読んでいます。


 やがて、夕食どきになるとお母さんが晩酌の準備ができたと呼んでくるので、みんなでダイニングに移動。


 焼きブリや煮物など、多様な手作りの肴に、福井県民・心の味のひとつ、「レインボー印の味付けたら」というたらの乾物も供される。


 また、アメリには今日はコラ・コーラの代わりに「フローラルすずやか」という、福井のソウルドリンクが渡された。まあ、ぶっちゃけいわゆるメロンソーダです。私は、幼少のみぎりからマスペに目覚めたので、あまり飲んだことなかったりするんだけどね。


「いただきます」


 お父さんが、地酒をお酌してくれる。私はお母さんに、お母さんはお父さんに回るようにお酌していく。


 年末年始帰省、最後の夜。悔いのないように。名残りのないように、会話を弾ませていく。アメリもレインボーたらとごはん、フローラルすずやかを美味しそうにいただき、入れそうな話題にはなるべく入ってくる。


 晩酌も終わり、軽く入浴。今日は結構歩き回ったし、お酒飲んでるからストレッチはいいよね。


 明日も早い。帰り支度を済ませ、荷物はキャリーケースに。コンペイトウのぬいぐるみは、キャリーケースに入れると潰れてしまうので、アメリが自分で袋に入れて持っていくことになった。


 そして、アメリと一緒に九時就寝。実家ともお別れか。寂しいな。でも、向こうF市にもこれから、楽しいことがたくさん待っている。楽しかった一週間の思い出を胸に、元気に帰ろう!

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