神奈さんとアメリちゃん

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第百七十四話 アメリと目玉焼き

公開日時: 2021年4月25日(日) 20:01
文字数:2,555

今日も今日とてお仕事なう。こうやって本線を引いて、トーンを貼っていると、作業も大詰めだなあと実感する。


 今回はこれに加え、さらにおまけコーナーも描かなければいけないのだから大変だ。最悪、おまけは放棄という選択肢もあるので後回しにしているけれど、なるべく描きたいところ。


 すると、お昼どきを知らせるアラームが。「ん~っ」と伸びをして、体のこわばりをほぐす。


「アメリちゃーん、ごはんの時間ですよー」


「おお~」


 くるりと椅子を回すと、ブロックで何かを作っているところだった。また何か、大作の予感ですねえ。


 とてとてとキッチンに向かい、今日のお昼を作るわけですが、ここでアメリ先生にご活躍願いましょう!


「アメリ先生には、今回目玉焼きを作っていただきます」


「おお~! 新しい料理に挑戦だあ!」


 キラキラと瞳を輝かせる彼女。


「じゃあ、見本を作るね。まずこうやって、手鍋に油を薄く引いて、火にかけます。火の強さはこのぐらい」


 中火と強火の中間ぐらいで手鍋を熱する。


「で、卵を割り入れて……このガラス蓋に少しお水をれてね、こう被せると水蒸気で卵を蒸し焼きにできるのね」


「おお~」


「で……ほら、白い膜がかかったでしょう? そしたら、火を止めちゃう。あとは予熱……火を止めた後の熱ね。これで、じっくり火を通して完成~」


 ぱかっと蓋を取ると、美味しそうな目玉焼きが出来上がりでーす。


「さあ、アメリちゃんもやってみよう~」


「おお~、頑張る!」


 試作品をお皿に移し、選手交代。


 言われた通りに油を引き、手鍋を熱する。


「よしよし、いいよー!」


 子供は褒めて伸ばす! ちょっとしたことでも、大げさなぐらい褒める!


 続いて両手で卵をぱかっ。あら、殻が入っちゃったね。白身が透明なうちに、菜箸で除去。


「さあ、アメリちゃん。次はどうするんだったかな?」


「えっと……蓋をする!」


「惜しい、ちょっとお水を入れてからね」


 「そうだった!」と、お水をちょっと入れたガラス蓋をする彼女。


「さあ白くなってきたよー」


「おお~!」


 火を止め、予熱状態に。「いいよいいよ~!」と拍手!


「うん、そろそろ取り出そう」


「わかった!」


 菜箸で、お皿に目玉焼きを空ける彼女。


「お上手! 美味しそうな半熟だね~」


 頭を撫でると、「うにゅう」という気抜け声を出す。


「ちなみにこの半熟は私が好きなタイプだけど、完全に固くしちゃったり、両面焼いたり、あるいは白い膜を付けなかったりとか、色んな焼き方があるんだ。アメリも色々焼いて、自分好みの焼き方を見つけるといいよ」


「わかった!」


「じゃあ、再度選手交代でーす」


 バトンタッチして、冷凍しておいたソーセージを炒め始める。今のうちに、トーストもセット。朝ごはんみたいなメニューだけど、アメリに目玉焼きの作り方を教えるのがメインだったからね。


 よし、できた! 味付けは、胡椒とケチャップ。後はアスパラ缶でサラダ作って、でっきあがり~。


「じゃあ、いただきますしよう。いただきます!」


「いただきます!」


 ぱくっ。自作のほうだけど、普通に美味しい。


「アメリ、自分で焼いた目玉焼きの味はどう?」


「美味しい!」


 キラキラ瞳を輝かせる彼女。良きかな良きかな


「もっと火の扱いに慣れたら、色々作っていこうね」


「うん!」


 こうして、お昼ごはんも美味しく食べ終わりました! ごちそうさま。



 ◆ ◆ ◆



 原稿再開なう。うん、順調順調。やはり、アメリと戯れると効率がアップするね!


 そうして過ごしていると、アラームが四時を知らせる。よーし、いつものスーパーへ行きまっしょい!


 きこきこと自転車を漕いで、とうちゃーく!


 さーて、今日のお買い得品は?


 スパイス、缶詰&瓶詰め、挽き肉がセールですって。へー、なんかこれは辛ーい肉料理を作れというお達しでしょうかねー。


 マスバーガーハンバーガーチェーンだと、ハラペーニョを効かせたスパイシーなバーガーが人気商品の一つだったりするけれど……さすがにハラペーニョなんて売ってないだろうしなあ。


 あ、そうだ。スマホでレシピを……。うん、うん。よし、今日はこれ作ろう!


 牛豚合挽き、ミックスビーンズ、トマト缶、チューブにんにく、チリパウダーにクミンパウダー、あとローリエ。ほかには玉ねぎと人参か。


 せっかくだから、久々にマスペ買っていきましょっと。あと、コラ・コーラ。


 これにプラスして、ロールパンと食パンと卵に牛乳、アスパラも買いましてっと。


 うん、晩ごはんと明日の朝の買い物はバッチリだね! あ、台所用洗剤も買っとこ。


 よーし、お会計~!



 ◆ ◆ ◆



 ただいまーっと!


 手洗いとうがいの後、食材を冷蔵庫にしまってほっと一息。


 今日はお米を使わないから、事前準備必要ナシ! 時間までお仕事してましょーっと。


 ……ふう。つーかーれーた~! 六時まで三十分。ちょっとアメリと一緒に息抜きしよう。


「アメリちゃん、アメリちゃん。今日は新しいお勉強を教えたいと思います」


「おお?」


 ブロック遊びをしていた彼女の対面に座ると、興味深げに首を傾げる。


「ちょっと、ブロックどかすね。……じゃーん、針時計~」


 いつぞや百均で買ったまま放置していた針時計を、机に置く。


「これも時計の一種なんだけど、ここに一から十二の数字があるのわかるかな?」


 アラビア数字で書いてあるのを指し示すと、こくこくとうなずく彼女。


「これにね、短い方の針が指し示しているのが『時』。よいしょっと……」


 時刻を三時に合わせる。


「これは何時かな?」


「三時!」


「せいかーい! で、長い方のが表してるのは『分』なんだけど……」


 今度は、四時十五分に合わせる。


「長い針が三時のところにあるね? 時の間が、五分割されているでしょう? このひと目盛りが一分いっぷんを表しているのね」


 「へ~!」と感心するアメリちゃん。


「でね、今短い針が三時からちょっと進んでいるけど、針時計は分が進むと時も一緒に、こうやって進んでいくの」


「おお~!」


「あと、この細いのが秒針。一秒ごとに進んでいくんだよ。今、電池抜いてるから動かないけど」


 うんうんと頷く彼女。


「あとは、針時計は全部午前・午後の十二時間式だから、そこを注意ね。何かわからないことあるかな?」


 ふるふると首を横に振る。良きかな良きかな


「駅とか、針時計使ってるところも多いからね。見方覚えておくと便利だよ~」


 時計のお勉強をしてたら、ちょうどいい時間になりました。それじゃー、キッチンへ行きましょー!

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