「アメリはやっぱり、エスカルゴよねー?」
「うん!」
十一時、皆で集まり「シャンデリア」に集まり昼食会。アメリが熱く布教した結果、とりあえず皆さんもエスカルゴは確定したようで。
じゃあ後は何にしようというと、これが割と今回はみんなまちまち。私はフォカッチャのほかに、このチェーンの定番商品「ミラノン・ドリア」を注文。アメリも真似してドリアを頼んだようです。
「それにしても、猫耳人間の子供って、ほんといい匂いしますよねー」
料理待ちの雑談中、ぽろっとアレなことを口走る白部さん。相変わらず、ノーラちゃんをくんかくんかしてるんですね……。ノーラちゃんは、「そーだぞー! ルリ姉と同じシャンプーだからいい匂いなんだー」と、上機嫌。ミケちゃんの様子を見ると、反して眉をひそめてるし。このムーブさえなければ、由香里さんに匹敵する常識人なんだけどなあ。
さすがの私も、人化してからはアメリ成分を吸引したことはない……はず。ないよね? なんか、自信なくなってきた。
由香里さんを除くかくてるの皆さんは、知る人ぞ知るシャンデリアの裏メニュー、隠しボトルワインを飲まれるようで。お昼から飲酒とか、会社勤めの方々が見たら羨むわね。
「そうそう、こないだ見た映画ですけどね」
「飯と酒がまずくなるから今はやめろ」
優輝さんが皆に映画語りをしようとしたら、久美さんに釘を刺されてしまいました。一体、どんな悪趣味映画の話をするつもりだったんだろう……。
そんなわけで、じゃあ今日何を買うかなんて穏便な話題に移った次第。私も、その輪に加わる。ちーむ・かくてるは、本で統一すると移動の無駄がないんじゃないかという話になったようです。
「アメリは、クロちゃんに何買ってあげるの?」
「うーん、百均で決めるー」
アメリのお小遣い、三百円だからねー。どうしても百均で買える何かになってしまう。かといって、お年玉を切り崩すのも大げさだし。
誕生日を迎えたら、少し値上げしてあげよう。
わいわい話に花を咲かせていると、順次料理が運ばれてきました。
エスカルゴが置かれると、アメリちゃんお目々キラキラ。ほほえま。
私のも運ばれてきたので、いただきますを言う。やっぱり、エスカルゴとフォカッチャはガチですねー。食べ飽きない、この美味しさ! アメリちゃんも、夢中で食べてます。良き哉良き哉。
続いて、ドリア。このコクの効いた、ドミグラスとホワイ両方のソースの味わいが、実にほどよく濃厚。
聞くところによると、ドリアは日本生まれの料理で、ホテルのシェフが体調の悪いお客様に「胃腸に優しい料理を」と頼まれ、編み出したのが始まりなのだとか。思いやりから生まれた料理かー。素晴らしいね!
こうして食事も雑談とともに進み、ごちそうさま。美味しゅうございました。
かくてるの皆さんは「麗文堂」に向かうわけだけど、私はどうしようかな。とりあえず的にご一緒するのも悪くないけど。
「白部さんは、何を買われるおつもりですか?」
とりあえず、参考意見を聞いてみよう。
「そうですね……。お城のプラモデルを贈ってあげようかと。スポーツ用品店に用もありますし」
なるほど、「るるる」に向かわれますか。
しかし、本もプラモも先行されちゃったな。まあ、私もそれらにしちゃいけないって決まりもないけど……。
よし、私も書店に行こう! とりあえず、本の虫と化したアメリちゃんに新しい本買ってあげたいしね!
贈り物がそこでも決まらなかったら、そのときまた考えよう。
というわけで、白部さんたちとは別行動に。私たち、今回「るるる」に用がないのです……。まあ、後から向かうかもだけど。
◆ ◆ ◆
本の都に到着~。ああ、落ち着くこの雰囲気……。
まずはみんなで児童書コーナーに移動。
「へえ、古今和歌集……。子供向けでも、こんなのがあるんだー」
いかにもクロちゃんが喜びそうな本を、手に取る由香里さん。
「こっちは、万葉集だってよ。クロ子、ぜってー喜ぶぞ」
久美さんも、別の本を手に取る。皆さん、さくさく選んでいくな。
あれよあれよと、古今和歌集、万葉集、百人一首、まんがで読む平安時代なんてあたりが埋まってしまいました。
そうすると……一気に時代を下って、これなんかどうかしら。「まんがで読む江戸時代」。うん、クロちゃん喜びそう。
そういえば。
「ねえアメリ、こういうのは興味ある?」
うちのお嬢様は生物図鑑とか科学読本といった理系モノばっかり読んでるので、たまには文系のを勧めてみる。
「おお~? ちょっと見せてー」
ほい、と手渡すと、パラパラと流し読む。
「読んでみたい!」
さすが知的好奇心の塊な我が娘。こういうのも興味津々なようです。では、同じ本を二冊買っていきましょう。片っぽは、贈答用にパッケージングしてもらいます。
「みなさんは、この後どうされます?」
全員お会計が終わったので、外に出て尋ねてみる。
「アメリも上でプレゼント買うんでしょ? ミケもそっちで買うわ」
「だ、そうです。というわけで、上もお付き合いしますよ」
と、優輝さんがミケちゃんの言葉を受けると、ほかのお三方も頷く。
「では、参りましょうか」
そんなわけで、なにぶん七人と大所帯なため、エレベーターではなくエスカレーターで上へGO~。
続く!
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