神奈さんとアメリちゃん

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第三百八十九話 四人揃ってお勉強……だったけれど?

公開日時: 2021年10月22日(金) 21:01
更新日時: 2021年10月26日(火) 05:14
文字数:2,847

 今日は、お昼下がりに子供四人と白部さんで集まって、おなじみのお勉強会。ほんとこの子たちも、習い事にお勉強にと、熱心よねー。


 まあ、ちゃんとオフの日を作って、そこでまたみんなで遊んだりもしてるけどね。わちゃわちゃしてる子供たちを横にお仕事すると、はかどります。


 アメリは小四漢字の仕上げ、ミケちゃんとクロちゃんは分数、ノーラちゃんは小二漢字の学習中です。ほかの子が先行しすぎているから遅く感じるけど、十二月に転生した子が小二の漢字を覚えてる最中なんだから、やっぱり驚異的なスピードだ。


 すると、スマホの振動音が。あれ? 私、マナーモードにしてたっけ? と思ったら、白部さんのだったようです。


「はい、白部です。猫耳人間の子供たちに、勉強を教えていました。はい、わかりました。至急、作業に取り掛からせていただきます」


 通話を終える白部さん。口ぶりからすると、上司さんかな?


「すみません。国会への招致が決まったため、帰宅してそちらの作業に取り掛からなくてはならなくなりました」


 立ち上がりながら、事情を説明する。うおう、ついに本決まりですか!


「そのようなわけで、恐縮ですけど途中で失礼します。ノーラちゃんはどうする?」


「んー? せっかくみんなで集まったから、遊びてー!」


「わかった。五時半には帰ってきてね。では猫崎さん、すみませんが子供たちのことはお願いします」


「あ、はい。お疲れ様です」


 互いに深くお辞儀。もう一度「失礼します」とお辞儀して、慌ただしく寝室を退出する彼女。


「あらら、お見送りしようと思ったのに」


 門の錠を下ろしに行くと、すでに白部さんのお形はありませんでした。速い……。


「さて、私が勉強を引き続き見てあげられるといいんだけど……。あいにくお仕事なのよね。なもんで、遊びの時間に突入しちゃってて」


 戻って、子供たちに提案。真留さんにはプロットを出し終わっており、明日打ち合わせの予定。なので、読み切りのほうを進めておく次第です。


「おー、ベンキョー終わりかー! 何して遊ぶ!?」


 真っ先に反応するノーラちゃん。


「ボクササイズする?」


 「ボクササイズ・アドベンチャー」を提案するアメリ。


「じゃあ、コントローラー取ってくるわ」


 そう言って、ミケちゃんもぱたぱたと寝室から出ていきました。慌ただしいこと。


 その間、三人は座椅子と折りたたみ机のお片付け。お茶とかも片したほうがいいわよね。


 ティーカップやお皿をトレイに載せキッチンに向かうと、ミケちゃんと鉢合わせ。


「神奈おねーさん、ただいまー」


「おかえりなさーい」


 ぺこりと一礼して、寝室に小走りで向かう彼女。ほんと慌ただしいなあと、くすりとしてしまう。


 洗い物を食洗機に入れて、自分用にコーヒー牛乳のおかわりを手に寝室に戻ると、セットアップが終わってました。


 八帖あるとはいえ、やっぱり子供四人でもスペース空けて立つと狭いね。


 「バトル・スタート!」のゲーム音声とともに、四分割された画面にスライム登場! みんなでビシバシと倒していく。


 眺めていたいのは山々だけど、お仕事しなきゃね。



 ◆ ◆ ◆



「一抜けー!」


 ノーラちゃんが元気な声を上げるのでそちらを見ると、拳を突き上げ、ひと足お先に魔王を倒してました。さすが、スポーツ少女!


 情勢を見るに、ミケちゃんがあと少しまで追い詰めていて、アメリとクロちゃんがそれを追う形。難なくお手玉こなすぐらいだから、クロちゃんも運動神経いいとは思うんだけど、やはり使う領域的なものが違うのかな?


 そして、順調にミケちゃんが二抜け。さあ、三位はどちらの手に!? コーヒー牛乳を、ごくりと飲み込む。


 接戦の末、一手早くアメリ辛勝!


「お疲れ様~」


 ぱちぱちと、四人に拍手。


「アタシは、もっかいやりたいぞー」


「ごめん、ボクは遠慮しとく」


 クロちゃん、ヘトヘトな様子。


「じゃあ、『大航海世代』やる?」


「受けて立つわよ! こないだアメリに負けちゃったから、リベンジね!」


 おお、ミケちゃんが燃えている。アメリの提案にみんな賛成し、ゲーム変更となりました。


 さーて、こちらも見守りたいのは山々だけど、お仕事しなくっちゃねー。



 ◆ ◆ ◆



「見なさい! インドの覇者、ミケの姿を!」


 元気あふれる、声の主を見る。どうやらミケちゃんが、得意パターンのインド航路に入ったようです。スパイス好きねえ。


 例によってアメリは食品王、クロちゃんは日本を目指し、ノーラちゃんはテキトーな様子。


 優輝さんがおっしゃるには「海賊モード」というのもあるらしく、それを解禁すると、直接攻撃が飛び交う、かなり激しいゲームになるらしい。「友情破壊ゲーム」と化すので、基本非推奨とか。


 いつぞやの、破壊神まりあさん以上の大荒れゲームになるんだとしたら、恐ろしいですねえ。



 ◆ ◆ ◆



「勝ったー!!」


 仕事に打ち込んでいると、ミケちゃんの勝利宣言。決着がつきましたか。


 どれどれと画面を見ると、ミケちゃん一位。やはり、スパイス王。二位がクロちゃんで、織物と陶器と銀。やはり、あれから日本中心にアジアで稼いでたみたいね。三位アメリ。おなじみ食品王。ラスはノーラちゃんだけど、何の賞も取ってないので、どういうプレイをしてたのかわからないな。


 そういえば、ボクササイズじゃなくなったんだから、お茶れてきてあげよう。


 第二ラウンドを始める子供たちを背に、台所に向かうのでした。



 ◆ ◆ ◆



 お茶を配膳し、お仕事再開。


「なー、コツがわかんねーんだけど、教えてくれねー?」


 ノーラちゃんが尋ねると、「ふふん、おねーちゃんが教えてあげるわ!」とドヤ声・・・。「みんなのお姉さん」を志すミケちゃん、面倒見いいのよね。


 ミケ先生レクチャーのもと、第二ラウンドを進めていくノーラちゃん。インド航路はミケちゃんとバッティングするので、新大陸航路のイロハを教えているようです。


 アメリも「冒険王目指すー」と、食品王から路線変更する模様。クロちゃんは一意専心、日本中心でいくようです。


 楽しげにゲームしてる子供たちの声を耳に、仕事に没頭をしていると、PCの時計が五時すぎを指し示しているのに気づく。あや、もうこんな時間か。早いなー。


「もう五時回ったよー。終われそう?」


 「あとちょっとー」と、ハモる子供たち。たしかに画面を見ると、残り期間わずかのようだ。


 せっかくなので、休憩も込みでそのままコーヒー牛乳片手に観戦。


 資金的には、ミケちゃんとクロちゃんがツートップだな。ただ、部門賞でどうなるか。


 ……終局!


 結果は、クロちゃん僅差で優勝! 二位のミケちゃんは、「むむむ」と悔しそう。三位はノーラちゃんで、アメリはラス。ただ、勝ち負けに拘らないタイプなので、「面白かったー」と満足そう。


 さすがにもう、これ以上何かするのは時間的に無理なので、勉強道具とミケちゃん持参のコントローラーを片付け、帰り支度。


「おじゃましましたー。さよーならー!」


 とハモる三人を門でアメリと見送り、戻ってティーセットを片付ける。


 白部さんが気になるけれど、今日も平和だったなあ。


 彼女のことだから進捗を書いてると思うし、あとでLIZEを覗いてみましょ。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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