今日は、お昼下がりに子供四人と白部さんで集まって、おなじみのお勉強会。ほんとこの子たちも、習い事にお勉強にと、熱心よねー。
まあ、ちゃんとオフの日を作って、そこでまたみんなで遊んだりもしてるけどね。わちゃわちゃしてる子供たちを横にお仕事すると、はかどります。
アメリは小四漢字の仕上げ、ミケちゃんとクロちゃんは分数、ノーラちゃんは小二漢字の学習中です。ほかの子が先行しすぎているから遅く感じるけど、十二月に転生した子が小二の漢字を覚えてる最中なんだから、やっぱり驚異的なスピードだ。
すると、スマホの振動音が。あれ? 私、マナーモードにしてたっけ? と思ったら、白部さんのだったようです。
「はい、白部です。猫耳人間の子供たちに、勉強を教えていました。はい、わかりました。至急、作業に取り掛からせていただきます」
通話を終える白部さん。口ぶりからすると、上司さんかな?
「すみません。国会への招致が決まったため、帰宅してそちらの作業に取り掛からなくてはならなくなりました」
立ち上がりながら、事情を説明する。うおう、ついに本決まりですか!
「そのようなわけで、恐縮ですけど途中で失礼します。ノーラちゃんはどうする?」
「んー? せっかくみんなで集まったから、遊びてー!」
「わかった。五時半には帰ってきてね。では猫崎さん、すみませんが子供たちのことはお願いします」
「あ、はい。お疲れ様です」
互いに深くお辞儀。もう一度「失礼します」とお辞儀して、慌ただしく寝室を退出する彼女。
「あらら、お見送りしようと思ったのに」
門の錠を下ろしに行くと、すでに白部さんのお形はありませんでした。速い……。
「さて、私が勉強を引き続き見てあげられるといいんだけど……。あいにくお仕事なのよね。なもんで、遊びの時間に突入しちゃってて」
戻って、子供たちに提案。真留さんにはプロットを出し終わっており、明日打ち合わせの予定。なので、読み切りのほうを進めておく次第です。
「おー、ベンキョー終わりかー! 何して遊ぶ!?」
真っ先に反応するノーラちゃん。
「ボクササイズする?」
「ボクササイズ・アドベンチャー」を提案するアメリ。
「じゃあ、コントローラー取ってくるわ」
そう言って、ミケちゃんもぱたぱたと寝室から出ていきました。慌ただしいこと。
その間、三人は座椅子と折りたたみ机のお片付け。お茶とかも片したほうがいいわよね。
ティーカップやお皿をトレイに載せキッチンに向かうと、ミケちゃんと鉢合わせ。
「神奈おねーさん、ただいまー」
「おかえりなさーい」
ぺこりと一礼して、寝室に小走りで向かう彼女。ほんと慌ただしいなあと、くすりとしてしまう。
洗い物を食洗機に入れて、自分用にコーヒー牛乳のおかわりを手に寝室に戻ると、セットアップが終わってました。
八帖あるとはいえ、やっぱり子供四人でもスペース空けて立つと狭いね。
「バトル・スタート!」のゲーム音声とともに、四分割された画面にスライム登場! みんなでビシバシと倒していく。
眺めていたいのは山々だけど、お仕事しなきゃね。
◆ ◆ ◆
「一抜けー!」
ノーラちゃんが元気な声を上げるのでそちらを見ると、拳を突き上げ、ひと足お先に魔王を倒してました。さすが、スポーツ少女!
情勢を見るに、ミケちゃんがあと少しまで追い詰めていて、アメリとクロちゃんがそれを追う形。難なくお手玉こなすぐらいだから、クロちゃんも運動神経いいとは思うんだけど、やはり使う領域的なものが違うのかな?
そして、順調にミケちゃんが二抜け。さあ、三位はどちらの手に!? コーヒー牛乳を、ごくりと飲み込む。
接戦の末、一手早くアメリ辛勝!
「お疲れ様~」
ぱちぱちと、四人に拍手。
「アタシは、もっかいやりたいぞー」
「ごめん、ボクは遠慮しとく」
クロちゃん、ヘトヘトな様子。
「じゃあ、『大航海世代』やる?」
「受けて立つわよ! こないだアメリに負けちゃったから、リベンジね!」
おお、ミケちゃんが燃えている。アメリの提案にみんな賛成し、ゲーム変更となりました。
さーて、こちらも見守りたいのは山々だけど、お仕事しなくっちゃねー。
◆ ◆ ◆
「見なさい! インドの覇者、ミケの姿を!」
元気あふれる、声の主を見る。どうやらミケちゃんが、得意パターンのインド航路に入ったようです。スパイス好きねえ。
例によってアメリは食品王、クロちゃんは日本を目指し、ノーラちゃんはテキトーな様子。
優輝さんが仰るには「海賊モード」というのもあるらしく、それを解禁すると、直接攻撃が飛び交う、かなり激しいゲームになるらしい。「友情破壊ゲーム」と化すので、基本非推奨とか。
いつぞやの、破壊神まりあさん以上の大荒れゲームになるんだとしたら、恐ろしいですねえ。
◆ ◆ ◆
「勝ったー!!」
仕事に打ち込んでいると、ミケちゃんの勝利宣言。決着がつきましたか。
どれどれと画面を見ると、ミケちゃん一位。やはり、スパイス王。二位がクロちゃんで、織物と陶器と銀。やはり、あれから日本中心にアジアで稼いでたみたいね。三位アメリ。おなじみ食品王。ラスはノーラちゃんだけど、何の賞も取ってないので、どういうプレイをしてたのかわからないな。
そういえば、ボクササイズじゃなくなったんだから、お茶淹れてきてあげよう。
第二ラウンドを始める子供たちを背に、台所に向かうのでした。
◆ ◆ ◆
お茶を配膳し、お仕事再開。
「なー、コツがわかんねーんだけど、教えてくれねー?」
ノーラちゃんが尋ねると、「ふふん、おねーちゃんが教えてあげるわ!」とドヤ声。「みんなのお姉さん」を志すミケちゃん、面倒見いいのよね。
ミケ先生レクチャーのもと、第二ラウンドを進めていくノーラちゃん。インド航路はミケちゃんとバッティングするので、新大陸航路のイロハを教えているようです。
アメリも「冒険王目指すー」と、食品王から路線変更する模様。クロちゃんは一意専心、日本中心でいくようです。
楽しげにゲームしてる子供たちの声を耳に、仕事に没頭をしていると、PCの時計が五時すぎを指し示しているのに気づく。あや、もうこんな時間か。早いなー。
「もう五時回ったよー。終われそう?」
「あとちょっとー」と、ハモる子供たち。たしかに画面を見ると、残り期間わずかのようだ。
せっかくなので、休憩も込みでそのままコーヒー牛乳片手に観戦。
資金的には、ミケちゃんとクロちゃんがツートップだな。ただ、部門賞でどうなるか。
……終局!
結果は、クロちゃん僅差で優勝! 二位のミケちゃんは、「むむむ」と悔しそう。三位はノーラちゃんで、アメリはラス。ただ、勝ち負けに拘らないタイプなので、「面白かったー」と満足そう。
さすがにもう、これ以上何かするのは時間的に無理なので、勉強道具とミケちゃん持参のコントローラーを片付け、帰り支度。
「おじゃましましたー。さよーならー!」
とハモる三人を門でアメリと見送り、戻ってティーセットを片付ける。
白部さんが気になるけれど、今日も平和だったなあ。
彼女のことだから進捗を書いてると思うし、あとでLIZEを覗いてみましょ。
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