神奈さんとアメリちゃん

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第百九十話 節分だ! えっほ、えっほ、えほー!

公開日時: 2021年4月27日(火) 12:01
文字数:2,736

さらに、時計の針はちょっとくるりと回って二月二日、節分です!


「アメリちゃーん、今日は節分ですよ~。お昼は恵方巻きにしよう~!」


 八時もとうに回り、しゃっきり意識回復した私は、対面で牛乳を飲んでいるアメリに提案するのでした。


「おお? えほーまき?」


「うん。節分っていう日に食べるお寿司なんだけどね、これを恵方……今年は南南東だったかな。そっち向いて無言で食べきると、福が訪れるのよ」


「おお~!」


 目をくりくりさせて、興味津々なアメリちゃん。ほほえま!


 それじゃあ、九時になったらいつものスーパーに行きましょー!



 ◆ ◆ ◆



 というわけで、とーちゃく!


 やあやあ、朝からなかなかの人混みですねえ。さすがイベント日。


 今回の問題は、手作りか出来合いで済ますか。


 個人的には、せっかくだから手作りしたいところだけど。


 横に佇んでいるパートナーに、お伺いを立ててみましょうか。


「アメリちゃん、アメリちゃん。恵方巻きは自分で楽しく作るのと、出来合いで済ませて楽しちゃうのと、どっちがいいかな?」


 うーん、と考え込むアメリ。


「どっちでもいいよー!」


 そして笑顔で放たれる、力強いいつものお言葉。困ったね。


 ……よし。アメリの初節分だし、手作りでいってみよう!


 鮮魚コーナーで、グラム売りしているマグロとサーモンのサク・・を、百グラムずつ切り売りしてもらう。こういう細かい注文に応えてもらえるの便利よね。


 あとは、卵とカニカマときゅうり。そして、肝心の海苔と米酢。かんぴょうとかあるとそれっぽさがぐっと出るけど、持て余しそうだし、第一乾物コーナーにも見当たらない。あれってどこで売ってるのかしらね。まあ、いいや。


 さらにふと、イベント品コーナーの、鬼のお面付き・マス入り煎り大豆が目についた。


 どうしようかな。後片付けが面倒は面倒だけど……ええい、アメリちゃんの初節分だ。買っちゃえ!


 よし、節分アイテムはこれでおっけー! 晩ごはんは、恵方巻きの具材が使い切れないだろうから残り物でいいとして、後は朝ごはんにパンと牛乳を買ってけばいいか。


 それじゃあ、お会計~!


 アメリは、「バルーンガム」と「うめえ棒」を買っていきました。



 ◆ ◆ ◆



 というわけで、ただいまーっ!


 いつものように手洗い&うがいを済ませ、お米を水に浸すというルーチィンを行う。


 さて、いい感じに浸水が終わるまで、おまけコーナーでも描いていてましょうかねー。


 今回のおまけは、由加&ミキコンビを中心に描いていく。ピザ焼いてる由加なんて描いたら、優輝さん喜んでくれるかな。うふふ、手間っちゃ手間だけど、やっぱりおまけコーナーは描いてて楽しいなあ。


 浸水終了をスマホが知らせてくれたので、炊飯ボタンぽちっ。引き続き筆を入れていく。


「おねーちゃーん」


 後ろから、アメリの困り声が聞こえる。


「んー? どうしたの?」


「ガムがどうしても膨らまないー」


 アメリ、以前買ったバルーンガムを膨らませるのに失敗しており、現在そのリベンジ中なわけだけど、やはり上手くいかないらしい。


「んーとね、歯の裏にガムをひっつけて、なんていうのかな、歯の間に膜を作るみたいに。で、そしたら唇をすぼめて、ぷーってゆっくり吹いてみて」


 言われた通りにすると、少しだけ膨らみが口から顔をのぞかせて破裂する。


「できた!」


「うん、その調子その調子。コツを掴むと、もっと大きくできるよ」


 アメリも、コツの第一歩を掴んだようなので、作業に戻る。


 しばらくすると、「んーっ! んーっ!」と、アメリの声。まさか、喉に詰まった!? 慌てて後ろを向くと、それは見事なバルーンができていました!


「おお~、お見事お見事!」


 パチパチと拍手。見せるものを見せ終わると、バルーンをしぼませる。


「上手くできた!」


 得意げなアメリに、「上手上手」と拍手を送る。心残りなし、とばかりにガムをティッシュにくるんで捨てる彼女。だいぶ長く噛んでたみたいだものね。


 お、ごはんももうすぐ炊き終わるなー。ちょっと早いけど、移動しましょうか。



 ◆ ◆ ◆



 やって来ましたキッチン! ごはんもちょうど炊き終わり、蒸らし中。では、今のうちに具を作っていきましょー。


「アメリ先生。具材を切るのをお任せしていいかな? こんな風に切ってほしいんだけど」


 レシピサイトの参考写真を見せる。


「やってみる!」


「じゃあ、そちらはお任せね。私は玉子焼き作るから」


 というわけで、共同作業開始!


 素早く溶き卵にお砂糖とだしを入れ、卵焼きをちゃちゃっと焼いてしまう。


 ご飯の蒸らしが終わったのでお米を切り、ちょっとアメリに作業を中断してもらって、酢飯を作る。


 今度は二人で具材切りを再開。アメリが余分にサクを切ろうとするので、慌てて止める。言うの忘れてましたよ。二巻ぶんあれば十分じゅうぶんだからね。


 さて、具切りの仕上げは彼女に任せて、巻きす・・・をきれいに洗いましょうか。海苔が湿気るといけないので、水分をよく拭き取って……と。それにしてもうち、色んな物があるのねほんと。


「できたよー!」


 アメリちゃんの元気な言葉。おお、よくできてますねえ。「いえーい!」と、パチンと手を打ち合わせる。


 さて、肝心の巻き作業ですが。


「やってみる?」


 こくこくとうなずくアメリ。


 というわけで、今度はレシピ動画に切り替えて手順を見せる。


 上下に余白を作り酢飯を敷き詰め、平らにならす。そして具を載せていき、ぐいーっと一気に巻く!


 少し酢飯が余るので、そこをさらに巻き込むようにして、固すぎず、緩すぎずを目指してぎゅっぎゅと握る。


 そのまま五分放置。巻きすを取り、端を濡れ包丁で切り落として整形。端っこの部分はもったいないので、別に食べましょう。


 かくして、完成でーす!


「できた!」


「初めてとは思えないぐらい上手!」


 ちょっと中心から具がずれてるけど、子供は褒めて伸ばす! 頭を撫でると、「えへへ~」ととろけた声を出す。


 自分のほうも作ろうと思ったけど、アメリが私のぶんも巻きたいと言うので、わさびを混ぜてお任せする。うん、上手上手! 再度頭を撫でると、「うにゅう」という気抜け声を上げる。


 こちらも完成! えっと、うちの南がこっちだから……南南東はこの方角か。お茶を用意して、と。


「じゃあアメリ、食べ終わるまで無言ね。いただきます!」


「いただきます!」


 無言で、もくもくとかぶりつく私たち。どうにも会話が弾まないのは寂しいけれど、恵方巻きだからねー。巻き加減が、ちょうどいい塩梅で美味しい。


 よし、食べ終わった! アメリも食べ終わるのを、お茶をすすリながら待つ。


「ごちそうさまでした!」


「はい、ごちそうさまでした~。美味しかった?」


「うん!」


 笑顔を浮かべる彼女の頭を撫でると、「うにゅう」という例の声を上げる。良きかな良きかな


 さて、切り落とした端っこもちゃんと食べて、後片付けと歯磨きをしましょうか。


 後半に続く!

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