神奈さんとアメリちゃん

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第百七十五話 辛ウマ! チリコンカン!

公開日時: 2021年4月25日(日) 20:31
文字数:2,381

キッチンへやって来ました! 三分でクッキングするBGM……の前に、最近ご無沙汰だったフードプロセッサーをきれいにする。玉ねぎぐらいなら自分でさっさとみじん切りにしちゃうけど、人参もあるから今回は手作業はしんどいのです。


 よし、きれいになった!


 では、今度こそ例の脳内BGMスイッチオン!


「さて、アメリちゃん。アメリちゃんには、前半部分の調理を担当してもらいます」


「おお~!」


 拳を突き上げる彼女。


「まず、玉ねぎと人参の皮を剥いてくれるかな?」


 ピーラーと人参、玉ねぎを手渡す。


「わかった!」


 両方の皮を剥いていくアメリ。随分と器用になったもんだ。


「よし。次は包丁で、玉ねぎの上下と人参の上の部分を切ろう」


 言われた通り、すとんと落とす。いやー、ほんとにスムーズになったなあ。


「で、この機械。フードプロセッサーっていうんだけど、これの透明な容れ物に玉ねぎと人参を入れてね。そうそう。で、蓋をしてこのボタンを押して」


 言われた通りにすると、ガーッという音ともにお野菜が砕けていく。


「はい、ストーップ! OK、アメリちゃんのお仕事はここまでね。後は私の出番~」


 選手交代! 続いて、ミックスビーンズをザルで水洗い。


 フライパンを弱火で熱し、オリーブオイルとにんにくを入れ炒める。続いてプロセッサー容器の玉ねぎと人参を空けて、強火で炒めまーす。


 玉ねぎと人参がしんなりしたら、挽き肉を投入~。そして水分を飛ばし、小麦粉を小さじ二杯入れまーす。


 あとは、カットトマト缶ひと缶、同量の水、ケチャップやや多め(大さじ六杯ぐらい)、お醤油、ソース、料理酒をおおさじ二杯ずつ、お砂糖、クミン、チリを小さじ二杯ずつ、塩胡椒少々、そして固形コンソメとローリエを入れてっと。ふう。


 あとは弱火でコトコト三十分煮込みまーす。


 アメリと動画を見ながら、雑談して時間を潰す。もちろん、ときどきフライパンの様子を見るのも忘れない。


 キッチンタイマーが三十分を知らせてきたので、ロールパンを軽くレンチンし、本日のメイン・チリコンカンをお皿に盛る。


「さあ、アメリちゃん。出来ましたよー」


 マスぺとコーラも配膳し、エプロンを外し対面に着席。


「おお~、いい匂い!」


「じゃあ、いただきますしましょ。いただきます!」


「いただきます! ……辛い!」


 あや! アメリには、まだ早かったかしら!?


「でも美味しい!!」


 ほおおおと口で息を吐きながら、夢中で食べるアメリ。良かった、大丈夫そうね。


 私もぱくっ! う~、辛ウマ!!


「おねーちゃん、これなんていうお料理?」


「チリコンカンだよー。チリコンカルネとも呼ばれているね。アメリカの料理らしいよ」


「おお~……。世界には、色んな料理があるんだねー……」


 世界の広さに感心するアメリ。


「そうだね。アメリも将来、色んな国に行くことがあるかもしれないね」


 日本だけでも、東京と福井では食文化が結構違う。本当に、世界は広い。


 遠くアメリカに思い馳せながら、チリコンカンをいただくのでした。



 ◆ ◆ ◆



 食事も終わり、原稿とお勉強を進めた後は、おなじみストレッチ。そして、お風呂。


 いやー、チリコンカンでもだいぶ汗をかいたから、さっぱりした~。


 そして、再度お仕事。ぬーん、背後から漂うアメリオーラのおかげで、すいすい描けるわー。


「おねーちゃん、おやすみなさーい」


 アメリが目を眠そうにこすりながら横に立つ。


「あら、もうそんな時間か。おやすみなさい」


 頭を撫で、余計な照明を落とす。デスクライトとPCモニタ、そして液タブの明かりだけが私を照らしている。


 ふう。私も少し休憩しようかな。


 コーヒーカップとスマホを片手にキッチンへ向かう。


 おなじみの自家製コーヒー牛乳をれ、着席。


「こんばんは。皆さん、今いかがお過ごしですか?」


 LIZEのメッセージをグループに送る。


「こんばんは。今、ノーラちゃんを寝かせました」


 最初にリアクションがあったのは白部さん。


「白部さん、神奈さんこんばんは! お誕生会、楽しみにしていてくださいね!」


 バンザイ猫スタンプとともに、優輝さんも入ってきた。


「かくてるのほかの皆さんはお仕事中ですか?」


「ですね。あたしは、ミケを寝かせた後は自室でPC使えませんから、リビングに移動してたんですけど、そこにちょうどメッセージが」


 ああなるほど、キータイプ音がうるさいものね。


「まりあさんは、もうお休みでしょうか?」


「既読付かないですし、かもしれませんね。規則正しい生活送られてそうなイメージがありますし」


 白部さんがそう返す。


「つかぬことを伺いますが、白部さん飲酒ペースって週どのぐらいですか?」


「アップルサイダーを二週間にいっぺん飲むぐらいですね」


「そんなものですかー……」


 優輝さんと白部さんの質疑応答。悩み猫スタンプとともに、しばし優輝さんの手が止まる。やはり、アップルサイダーを贈るつもりみたいね。


「ありがとうございました。参考にさせていただきます」


 お辞儀猫スタンプを貼る優輝さん。


「あ、そうだ。優輝さんと由香里さんとミケちゃんってお誕生日いつなんですか?」


「あたしは三月三日。由香里が六月十日。ミケは四月二十二日ですね」


「あら、女の子の日とか可愛らしいですねー」


「似合わないってよく言われますよ」


 頭かき猫スタンプが貼られる。


「いえいえ、そんなことないですよ! 今、メモしますね」


 スケジュールアプリに書き込む。さらに雑談することしばし。


「あ、もうこんな時間。呼びかけておいてなんですけど、お仕事戻りますね」


 ちょっとした休憩のつもりが三十分以上経っていたことに気付き、そう打ち込む。


「お仕事お疲れ様です。あたしも、もうひと頑張りしますー」


「私も、そろそろ休みますね。おやすみなさい」


 LIZEを落とし、寝室に戻る。白部さんも寝るの結構早いなあ。まあ、1Kでキータイプしてたら、ノーラちゃん起こしちゃうもんね。


 さーて。あと一息、頑張りまっしょい!

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