神奈さんとアメリちゃん

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第四百九十三話 初コミット! ―後編―

公開日時: 2022年2月11日(金) 21:01
文字数:2,667

「『くろねこクロのたび』の本まであったのは、驚きました」


 一同、会場の隅っこで休憩中。経口補水液で水分補給なう。


 いやー、暑い暑い。冷房効いている建物の中のはずなのに、暑いのなんの。


 で、くろねこクロのたび本を出しているサークルさんがあり、先ほどの私のようなやり取りをまりあさんもして、一冊ずつお買い上げしました。


「なんだか、お二人が羨ましいですね。私の論文とか、誰か本にしてないものでしょうか」


 白部さんが冗談を飛ばすので、三人でくすくす笑い。


「そういえば、すみませんね。荷物持ちしていただいて」


 三人の中で、唯一漫画を色々読むワタクシ。興味ある作品の同人誌を色々見つけ、散財してしまいました。


 ただ、キャリーバッグがいっぱいになってしまったので、白部さんのバッグを間借りしています。


「いえいえ。猫崎さんが楽しまれているようで、何よりですよ」


 子供たちはというと、アメリはケイティちゃん本。クロちゃんは様々なお城のイラスト集、ノーラちゃんは有名サッカー選手、早井はやいさん本なんてものを見つけて、購入してもらいました。


 なんていうか、お城や実在人物の本なんてのもあるのねえ。


「う~……」


 突如、唸りだす愛娘。


「どうしたの? 調子悪い?」


「おトイレ行きたい!」


 Oh! 生理現象! でも、私もついでだから済ませておこうかな。


「トイレ、行きましょうか」


「そうですね。わたしもちょっと……」


 というわけで、六人で女子トイレにやって来たわけですが……。


 長~蛇~の~列~!!


 ああ、再度理解しました。優輝さんが、早めの行動を勧めていた意味を。


 あまりイベントに出かけないワタクシ、こういう大イベントの女子トイレがえらいことになるのを、失念していました。


 しかたなく、最後尾へ。


持ちそう・・・・?」


「わかんない」


 アメリが、もじもじしながら返してきます。


 列は徐々に進んでいき、あと一息!


「漏れちゃう!」


「我慢。頑張って、あともうちょっと我慢しよう」


 アメリちゃん、お粗相の危機! 耐えて~!


 ついに、私たちの番に。


 急いで、トイレに駆け込む愛娘。セーフ!


 戻ってきたアメリは、後ろの白部さんに見ていただき、私も済ませる。ふう。


 あとは、用を足し終わった子の面倒を私が見つつ、トイレ脇で邪魔にならないように、子供たちと暇潰しします。


「お待たせしました」


 最後の白部さんが、手を拭きながらこちらに合流しました。


「飲み物、調達したいですね」


 早めの行動の大切さを、思い知った私たち。虎の子の経口補水液はさっき飲んでしまったので、マップを頼りに自販機を探す。


 ここでも、行列が……。


 並ぶことしばし、スポドリゲット!


「休憩も込みで、食事にしませんか?」


 まりあさんが、クロちゃんの頭を撫でながら提案する。クロちゃん、たしかに疲れが顔に出ているな。


 アメリを見ると、こちらも疲れ気味の模様。子連れなんだから、体力には気をつけないとだね。


「そうですね。色々あるようですけど、どこにしましょうか?」


 六人で、Webカタログをすいすいめくる。


「和食のレストランがありますね。ここ、いかがでしょう?」


 まりあさんが、ご提案。とくに反対意見もないので、同意。白部さんと子供たちも、異存ないようです。


 では、レストランにGO!



 ◆ ◆ ◆



 到着~。やはり、ここも行列。もう、慣れました……。


 しばらく経って、やっと私たちの番に。はあ、これでゆっくりできる。


 私は、冷たいお蕎麦を注文。暑いんですもの。ほかの五人も、めいめい食べたいものをオーダー。


 おしゃべりを楽しんでいると、ややあって料理が運ばれてきました!


「いただきます!」


 ここは、景気良くすすりましょう! はー、美味し。


「アメリ、美味しい?」


「うん!」


 海鮮丼を頼んだアメリちゃん、嬉しそうにもぐもぐ。


「ごちそうさまでした」


 何ぶんシンプルな料理なので、一番先に食べ終わってしまいました。


 再度おしゃべりに興じながら、お水をいただきます。


 最後にクロちゃんが、焼き魚定食を食べ終わり、全員ごちそうさま。



 ◆ ◆ ◆



「次は、何をしましょうか」


 行列ができているのに、長居するわけにもいかないので、退店して作戦会議。


「わたしは……とくに欲しい物は、ないですねえ」


「私もです」


 Webカタログをめくりながら、首を横に振るお二人。


「……私も、買いたい物は、すでに買っちゃった感じですね」


「とりあえず、角照さんたちのところに行ってみませんか?」


 白部さんの提案に賛成し、懐かしの「島」へ。



 ◆ ◆ ◆



「やあやあ。お久しぶりですね! 楽しんでますか?」


 そんな何時間も経ってないはずだけど、お久しぶりと言う優輝さんに、「はい、楽しんでます」と返す。


 山積みになっていたゲームが、だいぶ減っている。随分売れたんだなー。


 今も、由香里さんとさつきさんが、売り子をしている最中。


 ミケちゃんは、パイプ椅子に座りながら、プラカードを掲げ、呼子をしています。


「ただ、もうやることがなくなってしまいまして」


 三人で顔を見合わせる。


「でしたら、先に上がっていて大丈夫ですよ。あたしらは終わりまでいますけど」


「いいんですか?」


「集団行動取らなきゃいけないって話も、ないですしね」


 再度、顔を見合わせる私たち。


「でしたら、お先に失礼させていただきますね」


「はい。お疲れ様でした」


 優輝さんたちにお辞儀されるので、お辞儀を返す。


 手を振って、会場を後にするのでした。


 しかし、まだ一波乱待っていようとは……。



 ◆ ◆ ◆



 会場前の一角に、人だかりができています。


「何でしょうね、あれ?」


「ついでですし、見てみましょうか」


 白部さんの提案で、寄っていくことに。


 すると、様々なキャラのコスプレをした人たちを囲んで、撮影会が行われていました。


「あ、あのキャラ知ってる!」


 のんきにそんなことを言ってると、突然パシャリ。


 ……ん? 撮影者さんたちのカメラが、こっちに?


 すると、三人娘にフラッシュが焚かれまくります。


「あー、違うんです! この子たち、コスプレじゃないんですー!」


 どうしよう。かえってフラッシュが増えてしまった。


「……えーと、顔は後で修正してください! お願いします!」


「おお? 何か撮られてるけどだいじょーぶ?」


「アメリちゃん。人間、諦めると楽になることってあるものよ……」


 しばし、流れに身を任せます。やれやれ。人気者だね、この子たちは。


 だいたい撮られ終わったのか、こちらに興味を向ける人も減りました。今です!


 そそくさと輪を出て、バス停に向かうのでした。ふう。


 こうして、行きほどではないけど、結構な乗車率のバスと電車に乗り、家路を急ぐのでした。


 珍事もあったけど、楽しかったなあ。また、次も来たいな!

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