夜は、ガールズ飲み会。良夫さんも呑めるけど、「男が一人混じっても、邪魔なだけでしょう」と、遠慮してくださいました。すみません。
「こんばんはー」
久々の……でもないか。の、かくてるハウス! いやー、仕事明けで訪れると、晴れやかな気分ですねえ!
「いらっしゃーい」
優輝さんを筆頭に、ご一同から「こんばんは」と、ご挨拶を受けます。
皆さん、アメリのリボンに目ざとく気づき、可愛いと大好評! うふふ。
「由香里さんはキッチンですか?」
「そそ。今日も、特製お子様&大人様ランチ作るって」
久美さんが、紅茶を飲みながら答える。さっそくブランデー決めてますね……。それにしても、その二つのランチ、すっかり飲み会での下戸&子供組の御用達アイテムになってますね。
「今日は、基本にして究極のもん、作るぜー。楽しみにな!」
にかっと笑う彼女。飲み会の料理も、久美さんが担当するのが定番になりましたねえ。基本にして究極。何だろう?
「こんばんはー」
由香里さんが、お子様ランチを手にダイニングから出てきました。みんなでご挨拶返し。
「おおー! お子様ランチ!」
子供たち、お目々キラキラ。
「ふふ、本当に、心が暖かくなりますよね」
まりあさんも微笑む。
「ありがとうございます。飲み物も持ってきますね。久美さん、台所は片付けて、材料置いておきました」
「ありがとさん。じゃー、行きましょーか」
というわけで、ダイニングに移動。でも、これから作るの?
中に入ると……。
「あれ? またテーブル一回り大きくなってません?」
椅子も増えてる。
「ご縁が、近井サンご一家まで広がったからね。相談して、買い替えた。さーて、腕が鳴るな!」
調理台には、金属のお賽銭箱のような器具。そして、バットに載った、串刺しのお肉。あ! これは……。
「焼き鳥ですか!」
「ピンポーン。焼き鳥は、やっぱ炭で焼きたいからね。優輝にキャンプ道具借りたんだわ」
へー。
「どーよ。備長炭だぜ?」
箱から炭を取り出し、キンキンと打ち鳴らし合う。これは期待が高まりますねえ!
「じゃ、やってくかー」
換気扇を回し、備長炭を戻した箱の中に、ライターで点火。
「炭って、ライターで火が点くんですね」
「んにゃ。最初におがくずに点けなきゃ燃えんよ」
火の加減を見守りつつ、彼女が答える。
「あ、座ってて」
「はーい」と、一同着席。ワクワクするなあ。
しばらくして、箱に肉を載せ始める。……おお! 垂れた脂で、火がブワッと!
「焼き鳥は、これがいいのよ。ガスやIHじゃ、これは出せん」
と、うちわで扇ぎつつ、頷く久美さん。
くるくるとひっくり返しながら、焼くことしばし。
「おまっとさん! ねぎま~」
おお、初手はまさに、基本にして究極! うわあ、美味しそう~。
「日本酒と焼酎、あとビール用意してあるから、好きなの言ってちょーだいな」
めいめい、好みの飲み物をオーダーする。私は、初手ということで、ビール。
おお、缶を設置して、サーバーにできる機械だ! こんなの買ったんですねえ。グラスに黄金色の液体が注がれ、ふわりと白い泡が立つ。うわあ~、美味しそう!
「ささ、どーぞどーぞ。ウチも行儀悪いけど、立ち食いしながら、続き焼くんで」
配膳し終わった後、ビールを手に、ねぎまをかじりながら焼く彼女。
さっそく、いただきましょう~。きゅっ。うわあ、肉汁がじゅわっと! タレも美味しい! これにビールは、まさに黄金の組み合わせですよ!
みなさんにも、ねぎま大好評!
「おまっとさん」と、続いて運ばれてきたのは、つくね! これも、コリコリと軟骨が美味しい。ああもう、ほんと基本にして究極っていうのを理解するわ、焼き鳥。
ほかにも、ぼんじり、豚トロなど、色々と運ばれてくる。私も、ビールから日本酒に移行。すごく、いいお酒だ。さすが、久美さんの見立て。
「さすがに、アップルサイダーは合わないですね」
と、白部さんもビールを愉しんでいます。そういえば、四月の演説の打ち上げのときも、持ってきたのビールだったっけ。彼女、アップルサイダー以外だと、ビール党なのかな?
耳を済ませると、リビングのほうからも談笑が聞こえる。向こうは向こうで、楽しんでるようで良き哉良き哉。
「ああ、そうそう。長野先生いらっしゃいますよね? 彼だけでも、非公開の第三掲示板に招いてみようと思うのですけど。あ、日英分けるから、第四ですか」
「長野先生と、お話できるんですか!」
親子さんの提案に、白部さん、大興奮。憧れの人の、一人でしょうものね。
「私たちも興味あります」
「では、先生のメールアドレスに、招待URL送っておきますね。今日は酔いが回っていて、失礼を働きそうなので、明日にでも」
紅い頬で、微笑む親子さん。だいぶ効いてますね~。
「そういえば、コミットのほうは順調ですか?」
ふと、飲み会してる場合かしらと気になり、優輝さんに尋ねる。
「順調です。順調じゃなかったら、さすがの久美さんでも、飲み会の提案しませんよ」
と、からからと笑う。「そーゆーこと」と、久美さんも請け負う。
「ミケも、梱包作業手伝ってくれましてね。助かります」
へー。ミケちゃんも、お手伝いするんだなあ。……ってのは失礼か。
「ミケちゃん、偉いですね。コミットまで、もうあとわずかなんですよね。楽しみですー」
ふふ、と微笑む。初コミット、どうなるのかなあ。
「さーさー。焼き鳥はまだあるぜー。どんどん行こー!」
こうして、飲み会は順調に盛り上がったのでした。
◆ ◆ ◆
「こっち、終わったぜー」
リビングからぞろぞろ出てきて、久美さんが由香里さんたちに告げる。
「お疲れ様でした。こっちは、まったりと食休み中です」
テレビを見ながら、雑談していたらしい。
「あ、そうだ親子さん。こちらを」
紙袋を手渡す。
「こちらは?」
「昨日焼いたケーキです。一日遅れになってしまいましたけど」
「あら! ありがとうございます! 友美、ケーキですって。良かったねー」
「ケーキ、ケーキ!」
ふふ、ともちゃん大喜び。
「美味しーよ! アメリも、頑張って作るの手伝った!」
「あら、すごい。ありがとうね」
アメリの頭を撫でる親子さん。おなじみの「うにゅう」ボイス。
「ミケも手伝ったわよ!?」
「ミケちゃんも、ありがとう」
親子さんに撫でられ、照れくさそう。
猫耳幼女、四人全員の頭を撫でる親子さん。
「うちも、ありがとうございました。みんなで美味しくいただきましたよ」
優輝さんも、私たちにお礼を述べる。まりあさんからも、お礼の言葉をいただきました。
「いえいえ。これだけでは、受けたご恩を返しきれていませんので、また何か作りますね」
「いやー、そんな気を使わなくて、大丈夫ですよ」
「そうですよ。わたしなんて、むしろクロちゃんがお世話になりっぱなしで」
互いに、気を使い合う。
「ともかく、今日は、とても楽しかったです。秋物が出たら、一緒にブティックでもいかがですか、由香里さん」
「いいですね! 行きましょう、行きましょう!」
「あ、それ自分も行きたいっすね。いっそ、みんなで行くっすか!」
「さんせーい!」と、大人組みんなでノる。
「では、時間も遅いですし、失礼しますね。アメリ、帰ろ」
「おお~。みんな、またねー! さよーならー!」
こうして、めいめい帰途につくのでした。
明日は何して過ごそうかなー? オフって、ほんとにいいもんですねえ! るんるん。
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