神奈さんとアメリちゃん

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第四百八十七話 レッツ・サイクリング!

公開日時: 2022年2月5日(土) 21:01
文字数:2,300

 いやー、晴れてますねえ! すでに暑い!


 今日はサイクリング! 自転車を引いて、アメリと一緒に、お隣に集合!


「おはようございますー」


 ご挨拶すると、すでに集まっていたかくてるの皆さんと、白部姉妹からご挨拶返しを受けます。


 日除けにみんな、帽子をかぶってますねえ。優輝さんは、自転車用ヘルメット。アメリもミケちゃんも、久々のキャスケット装備。


 私も、ちょっと小洒落た、麦わら帽子を被っています。


「久美さんはどちらに?」


「支度中です。バスが来るまで、だいぶありますからね」


「あちらのチームも、今日は楽しめるといいですね」


 などとしばし雑談していると、優輝さんが眉の位置に手をかざし、「お」と声を上げる。そちらを見ると、自転車に乗った、小さな黒い影が。クロちゃんですねえ。


「お待たせしました。おはようございます」


 少し息切れしながら、到着~。


 皆で、口々にご挨拶返し。


「じゃー、クロちゃんの息が整ったら出発しましょうか。その前に、隊列決めましょう。先頭があたしで……最後尾は、由香里にお願いしていいかな?」


「任せて」


「白部さんは、子供たちの後ろで様子に気をつけていただけますと。列を止めたいときは、後ろから掛け声をリレーしてください。長いですからねえ」


 など、レクチャーを始める優輝さん。


 ちなみに、彼女の黒と黄のスポーツサイクル以外は、みんなママチャリ。ママチャリ爆走軍団。


「じゃ、行きましょうか!」


 優輝さんの掛け声で、一同出発! 総勢九人による一大ツアー! ちなみに、私は前から三番目。アメリの一個前です。


 一団は縦列になり、きこきこと交差点へ。ここで、優輝さんが右手を挙げる。「止まれ」の合図だ。信号が赤ですね。


 信号が青になると、一同再び前進。S街道を南下していきます。文字通り長蛇の列に、通行人もびっくり。なんの集団かと思ってることでしょう。


 S街道は、徒歩・自転車だと、自動車専用トンネルのせいで、途中で行き止まりになってしまうので、西進して迂回。東F駅手前の、線路に対して道が斜めってるせいで、事故が多いことで知られる踏切に差し掛かります。ここで、「止まれ」の合図。


「ここは、危ないから手押しで行きましょう」


 優輝さんの提案が前から後ろに伝わっていき、一同手押しで踏切を越えていきます。


 越えた後は、自転車に乗って再出発する前に、みんな水分を摂っておく。優輝さんは、同時にスマホでルート確認。


 そして、再出発!


 住宅街をうねうねと走りながら、再度「止まれ」。


「ここから先、かなりきつい下り坂がありますんで、スピードに気をつけてくださいね」


 子供たちに、ブレーキをかけながら下るように説明する。


 そして、再出発。きっつい下り坂を下っていく! ひょー! これは、思った以上だ! スピード出過ぎないようにしないと!


 帰りは、これ登るのか……やだなあ。


 やがて、再び大きな通りへ。S街道に再合流したらしい。まったく、トンネルに自転車用の道があれば、こんな遠回りしなくて済んだのに……。


「おねーちゃん、止まってー」


 アメリから停止が呼びかけられるので、前を走っているさつきさんに伝える。一同、停止。


「すみません、のどが渇いて……」


 手近の自販機で、お茶を買うクロちゃん。


「あたしらも、なんか買っときますか」


 というわけで、一同給水タイム。いやはや、汗だくで飲むスポドリの美味しいこと!


 休憩を取り、クロちゃんが「もう大丈夫です」と言うので、子供たちの体調を、念のため白部さんに確認してもらい、OKが出たのでツアー再開!


 しばらく漕いでいると、K地区の標識が目に入る。T川まで後少しだ。


 ずんずん進んでいくと、ついに大きな川が! 後ろから、「おお~!」というアメリの感嘆の声が聞こえる。


 到着! 川べりで、「止まれ」の合図が出ます。


「ふ~……。みなさん、お疲れ様でした。T川ですよー」


 降車してヘルメットを外し、風を感じる優輝さん。私も帽子を取り、風を感じ取る。


「このへん、クラブの練習場の近くじゃん」


「そうなの?」


「ですね」


 ノーラちゃんの言葉を、白部さんが追認する。


「もう少し西に行くと、サッカー場があるんですよ」


 へー。


「よっと」


 川沿いの芝生に座る優輝さん。一同もそれに続く。


「疲れましたし、暑いですけど、なんか達成感ありますね」


 川の流れが、見ていてとても気持ちいい。


 このT川、数十年前は工場廃液で相当汚染されていたという。


 今ではそんなこともなく、とてもきれいな川だ。


「でしょう? サイクリングっていいですよねー」


 うんうんとうなずく優輝さん。あれ?


「優輝さんって、運動お嫌いじゃありませんでした?」


 すると、あははと大笑いする彼女。


「そりゃ、久美さんから見たら、大抵の人は運動嫌いですよ。あたし、サイクリングだけは好きなんです。いろんな風景が見れますから。じゃなかったら、こんないいヤツ買いませんよ」


 そう言って、ご自身のスポーツサイクルを見る。


「こう暑くなかったら、お弁当でも広げたいですね」


 由香里さんも、会話に混ざってきました。


「ですねえ。そうやって食べたら、さぞ美味しいでしょうね」


「涼しくなったら、そうしましょうか」


 さっそく、第二次サイクリング行に思案を巡らす、イベント大好きガール。


「このまま、どんどん南に行きたい心境です」


 彼女のつぶやきに、内心同意する。どこまでも、どこまでも走っていきたい感じだ。


 「いろんな風景が見れるから、サイクリングは好き」という彼女の言葉が、心で理解できる。


 でも、子供たちもいる以上、あまり無茶できないよね。


 ともかくも、全員で思う存分、記念撮影!


「帰りは、K駅のあたりで、なんか食べていきますかー」


 優輝さんの言葉に、一同賛成。


 今日も、素晴らしい一日だ!

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