う~ん……。
うう~ん……。
……気分転換したいっ!!
時計の針はくるくると回り、二十三日・土曜日。仕事が順調なのはいいけれど、こう出かける先がいつものスーパーだけだと、インドア派の私もさすがに気が滅入ってくるというもので。さすがにちょっと、なにがしか気分転換をしたいというもの。
丸一日遊び呆けるとかはいかがなものかと思うけど、数時間ぐらい息抜きしてもバチは当たらないと思うのですよ。
そして、こういうとき持つべきものは友人! 「ちょっと遊びに行っていいですか?」と、LIZEのグループにメッセージを飛ばす。
まりあさん、優輝さん、白部さんからご快諾いただき、それじゃあうちでお昼をご一緒しましょう! なんて、バンザイ猫スタンプとともに優輝さんからご提案いただきました。
優輝さんのことだから、またピザ焼いてくれるのかしら。今日はどんな具だろう。楽しみだなあ。
◆ ◆ ◆
お昼になりました! 中に入れていただき、皆さんとご挨拶。未到着だったまりあさんも合流し、談笑する。ああ、やっぱり息抜きって大事。心のコリがほぐれていくわ~……。
「ねえ、ダンスゲームしましょ!」
子供たちも子供たち同士で話していると、ミケちゃんがそんな提案をアメリたちにしてきました。
アメリとノーラちゃんは快諾したものの、クロちゃんは「ごめん、ボクあんまりそういうの得意じゃないから……」と辞退。
「まー、しょーがないわね。クロそういうタイプだものね」
肩をすくめ、同意するミケちゃん。歌謡コンテストを無理強いしてた子が、立派になって……。
「ありがとう。応援は頑張るからね」
胸の前で両拳をぐっと構えるクロちゃん。可愛い。
というわけで、料理ができるまで子供たちのダンスを見守る会に。
ミケちゃんがアメリとノーラちゃんに、画面の矢印通りにマットを踏むゲームなのだとレクチャーする。へー、そういう簡単なルールなら、私でも理解できそうかな。
というわけで、まずはミケちゃんとアメリでゲーム開始!
さすがはミケちゃんというべきか、実にリズミカルかつ正確にステップを踏んでいく。画面に「GOOD!」とか「EXCELLENT!」って出てるから、きっとそうなのよね? 画面のキャラがミケちゃんと同じように踊るのが面白いなー。
しかし、アメリも(多分)負けていない。同じように「GGOD!」や「EXCELLENT!」を連発していく。あのときの特訓は無駄ではなかったのね!
私たち大人組とクロちゃんは、「どっちも頑張ってー!」などと応援を飛ばす。ノーラちゃんは、アメリ贔屓のようでアメリに声援を送っている。
そしてフィニッシュ! 判定は……ミケちゃんの勝利! うーん、さすがに一日の長があるか。とはいえ、きちんと「ミケちゃん、上手だったよー! アメリも頑張ったね!」と平等に賞賛と労いの言葉を贈るのでした。アメリ贔屓のノーラちゃんは「仇は取るぞー!」と意気軒昂。
というわけで第二ラウンド、ミケちゃんVSノーラちゃんの対決!
おお、ノーラちゃんダンスの特訓とかしてないはずなのに上手! 運動神経がいいんだなー。これは……どっちが優勢なんだろう?
音楽は進んで行き、フィニッシュ! 勝者は……ミケちゃん! お見事!
「V2達成おめでとう! ノーラちゃんもすごい接戦だったよー!」
両者の健闘を称える。
「ふー、二人ともなかなか手強かったわ。でも、お姉さんとして負けるわけにはいかないものね!」
と、胸を反らしドヤ顔。実にミケちゃんらしいリアクション。
「おめでとう、ミケ。アメリちゃんとノーラちゃんも、初めてにしては上手だったよ!」
うお! いつの間にか、リビングで観戦していた優輝さんにびっくり!
「優輝さん、いつからいらっしゃったんですか?」
「アメリちゃんとの勝負の中盤あたりですかね。ごはんできたんですけど、声をかけるのも野暮だと思って、終わるまで見守ってました。というわけで、ダイニングへどうぞー」
というわけで、一同移動。
「今日はどんなピザを焼かれたんですか?」と問うと、「いやー、それが……」と、後頭部を撫でる優輝さん。むむ?
ダイニングキッチンに移動すると香ばしい香りが……カレーだ!
「今日はピザじゃないんですね」
「例によって、久美さんに猛抗議されまして。美味しいんですけどねえ、ピザ」
「いや、だからお前は作り過ぎなんだって。当番のたびに焼いてるじゃねーか……」
げっそりした感じで辟易する久美さん。いやはや、相変わらずなのね。
「でも、転んでもタダでは起きないのがあたしです。今日はカレーライスじゃないんですよ」
ほえ? というと……。
配膳を始める彼女。やや、これはナン! ピザを焼けなかった無念を、ナンを焼いて晴らすとは……。
「カレーのほうも、ナンに合うようにとろみのないものを作りました」
「すごいんですよ、優輝ちゃん。スパイスの調合から始めちゃったんです」
優輝さんの言葉を由香里さんが補足する。凝り性だとは思ってたけど、スパイスの調合までしてしまうとは……。
「ほんとにすごいですね……。でも、私のひょんなお誘いから急に決まった昼食会なのに、よくスパイスから作れましたねー」
「ああ、そのカラクリは簡単です。もともと一昨日の当番でピザ作ったときから『次回ピザ禁止令』が出てまして、今日のお昼が次の当番だったんですよ。で、ピザが焼けないならナンを焼いちゃおう! と思い立ちまして」
なるほど。
「で、やるならとことん! ってことで、飲み物もインド名物の紅茶、チャイにしてみました」
いやはや、ほんとに凝り性だこと。でも、面白い昼食会になりそうだなー。
「おっと、冷めるといけない。早くいただきましょう」
そう言って優輝さんが着席すると、皆でいただきますの合唱。
まずはカレーをひと口……。おお、実に辛ウマ! さすが優輝さん、こういうのも得意なんだなー。
ナンのお味も、実にベネ! さすが、ピザを焼き慣れてるだけはあるわあ。
そして、チャイもごくり。ほうほう、これはこれは。スパイスによる、独特の風味が効いたミルクティーですねえ。癖があるけど、嫌いじゃない。というか、むしろ割と好きかも。
大人も子供も、三種を味わい愉しんでいる。ノーラちゃんの「うめーうめー」絶賛は、もはやおなじみの光景。ほほえま!
こうして、昼食も美味しく食べ終わりました。
その後はリビングで少し談笑。まりあさんは、「くろねこクロのたび」の新作に取り組んでいるそうで、これは期待。
ずっとこうしていたいものの、皆それぞれ、特に私の仕事が残っているので、名残り惜しいけどやや早めに解散。
いやー、すごくリフレッシュできた! お仕事頑張るぞー!
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