神奈さんとアメリちゃん

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第四百十八話 とりあえず遊ぼう!

公開日時: 2021年11月26日(金) 21:01
更新日時: 2021年12月22日(水) 18:31
文字数:2,824

「さすがに、一日でパパッと作曲できたりはしないですよね?」


 朝、例によってみんなで挨拶を交わし中、そんな話を久美さんに振ってみました。


「そりゃそーよ。どうしたらミケ子が楽しめるかってんで、五人で知恵突き合わせてるぜ」


 悩み猫スタンプ。ですよねー。


「私も、何かお力になれるといいのですけど」


「神奈サンは、自分のお仕事頑張ってちょーだい。優輝が次号待ちで、興奮のあまりビチビチ跳ねてるから」


 久美さんの言葉に合わせて、優輝さんが「ビチビチ跳ねる魚を捕まえる猫」スタンプを貼る。こんなのあったんだ……。このスタンプ、ちょっとお高い……といっても二百円だけど、そのぶんやたら種類豊富よね。


「いやもう、楽しみで楽しみで! また、お手伝いできることがあれば、何なりと!」


「お気持ちは、ありがたいのですが……」


 彼女だって、仕事や家事、知識を蓄えるなど、やることがあるのだ。あまり邪魔しては悪い。


「うーん、あたし、神奈さんのためなら何だってしますよー?」


 愛が重い。……話題を変えよう。


「ところで、今日は怪人の切り抜きやミケちゃんのほうがまだですし、勉強会は一回お休みして、お遊び会にさせてあげません? 明日、ミケちゃん、クロちゃんは習い事ですし、ノーラちゃんも体育館でしょう?」


「さんせー! 久々にアメリたちと『大航海世代』とかしたいわ」


 ミケちゃんが挙手猫スタンプ。


「お姉ちゃん、ボクも行っていいかな?」


「もちろんよ。みんなが遊ぶのに、一人だけ行っちゃダメとか酷いこと言わないわ。神奈さん、お願いしてもよろしいでしょうか?」


「お任せください! あ、お菓子はうちにあるから大丈夫ですよ」


 まりあさんも、一度態度が軟化した後は、もう固辞するのをやめたようだ。やはり、クロちゃんの気持ちが大事だと、気づかれたのでしょう。まりあさんも筆の誤り。


「では、私もお邪魔させていただきます」


 ノーラちゃんあるところに、白部さんあり。


 こうして、ゲーム大会の話が進んでいくのでした。


 ともちゃんが、もっと大きかったらな。でも、近井さんたちも招くとなると、うちの広さじゃどっちみち無理か。残念。



 ◆ ◆ ◆



 一時。みんなが集まったので、まずは軽いジャブということで大航海世代から。先にボクササイズやると、バテちゃうからね。


「インド航路オンリーも芸がないわよね。たまには別路線も切り開いてみようかしら」


 そう言って、新大陸を目指すミケちゃん。


 この大航海世代、勝ち筋がいくつかあるわけだけど、新大陸とインドはその双璧。アジアやアフリカなんかも悪くないけど、やはり胡椒とタバコの爆発力は大きい。


 もちろん、双璧以外をあえて狙っていくニッチ・・・も有用な戦略だから、バカにしたものではない。


 よほど変なことをしなければ、どの作戦にもビクトリー・ロードが開かれている。そこがこのゲームのいいところだ。……私、勝ったことないんだけどね。とほほ。


 お茶菓子をつまみながらワイワイやるみんなをBGMに、すいすい筆を走らせます。南海のBGMが特にノリノリなのよね、これ。


「白部さんは、見ているだけだとお暇じゃありません?」


「まあ、混ざってみたいなというのはありますけど、お仕事ですからね、一応。今回、いつもと作戦を変えたミケちゃんの柔軟性を見るですとか、そういう部分に着目しています」


 へー。


 アメリはアフリカ風オクラスープの影響なのか、路線変更したミケちゃんの影響か、食品王路線を捨て、アフリカメインで攻めることにしたようです。ちなみに、今回から妨害カードを解禁しようということで、出る杭は打たれる光景が、展開されております。


 気心の知れた中なので、喧嘩にこそ発展しないものの、やっぱり、あとちょっとで妨害を仕掛けられた子は悔しそう。アメリちゃんも、アフリカ二大産物のひとつである象牙市場を、売り直前に暴落させられ、「うにゃあ~っ!」と悲鳴を上げてます。


 クロちゃんは、淡々とマイペース。ステルス戦法というか、よくも悪くも目立たないプレイングで、おなじみ日本を中心にコツコツ稼いでいます。


 逆にノーラちゃんは、妨害カードをあまり考えなしにバンバン使うものだから、ヘイトがすごい。彼女も新大陸路線だけど、ミケちゃんよりはるかに妨害を受けてます。なるほどねえ。妨害カードを解禁すると、かなり奥が深くなるねー。


 そんなこんなで、にぎやかにゲーム終了。優勝は、妨害合戦に我関せずを貫いた、クロちゃんの優勝。ソツがないねえ。二位はアメリ。ミケちゃんは意外にも三位で、ノーラちゃんと新大陸路線がバッティングしたことと、彼女が稼いだヘイトによる妨害の巻き添えを食らったのが痛かった模様。


 ノーラちゃんは、圧倒的最下位。やはり、妨害に血道を上げるとろくなことにならないね。


「ノーラは、妨害し過ぎだよ。妨害そのものは、勝ちに繋がる行為じゃないからね」


 と、クロちゃんにもたしなめられてしまいました。強者の余裕ね。


「うー、次はもっとうまくやる!」


 というわけで、第二ラウンド開始!


 お茶もなくなったようなので、新しいのをれてきましょう。



 ◆ ◆ ◆



 第二ラウンドは、ミケちゃん優勝。クロちゃんにならってか、あえて地中海とイングランド、イスラム圏を中心に稼ぎ、地味~に攻めたのが利いたようです。あとは、陶器に美術品、織物も含め、美術品王をガツンと取ったのが大きかったようで。


 地味プレイでも勝てるから、このゲームは面白い。……私、勝ったことないんだけどね。大事なことなので二度思いました。とほほのほ。


 二位はアメリ。今回もアフリカ狙いだけど、ノーラちゃんの妨害が控えめだったので、思う通りのプレイングができたようです。


 三位は僅差でクロちゃん。例によって堅実なアジアンプレイだったけど、今回はサイコロがいまいち走らなかったのと、前回勝ったせいで、妨害を受けがちだったのが大きかった模様。


 ビリはノーラちゃん。今度は妨害カードを使わなすぎたせいで、萎縮しすぎたプレイになったようです。


「う~、やっぱこのゲーム、ムズカシーな! ボクササイズやろーぜ!」


「そうね。こっちでも負けないんだからね!」


 運動神経のある二人が、意気軒昂いきけんこう


「アメリも体動かしたい~」


「あまり得意じゃないけど、やろうか」


 と、アメリとクロちゃんも河岸を変えることにしたようです。


 ノリのいい戦闘BGMと、ビシバシ! というヒット音が、耳に流れ込んでくる。


 やはり、運動となるとノーラちゃんが一転して強い。見事優勝です。二位ミケちゃん、三位アメリ、ビリ、クロちゃんという。割とおなじみになってしまったランキングが発表される。


 もっとも、動いていい汗かこうってゲームだから、みんな爽やか。


 さらにもう一戦すると、今度はミケちゃんが一位。一同がどよめく。王者・ノーラちゃんの牙城が崩れました。ミケちゃんは、「やった、やった!」と大はしゃぎ。


 そろそろいい時間なので、ゲーム大会もお開き。


 白部さんも、「いいデータが取れました」と満足そう。


 みんな、お疲れ様でした。

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