神奈さんとアメリちゃん

退会したユーザー ?
退会したユーザー

第八十七話 お値段より上な家具とお昼ごはん

公開日時: 2021年4月20日(火) 19:01
文字数:2,523

「アメリー。今日はもう少ししたら、お買い物行くよー」


 朝食のハニーバタートーストをもっそもっそと食みながら、アメリに今日の行動予定を話す。顎を動かすと、少しずつ眠気が取れてくる。


「おお~! 何買うの!?」


 キラキラした瞳で問うてくる彼女。


「んー? アメリの机と椅子とライト~。あとついでに、ごはんの材料も買っちゃおうか」


 「おお~!」と、アメリがそれはもうキラッキラッと先ほど以上に瞳を輝かせる。


「家具屋さんは十時に開店だから、そのつもりでねー」


 時計を見ると、七時半。道理でまだ頭がしゃっきりしないわけだ。


 ふわあ、と大あくびしながら、パンと牛乳をゆっくりいただく私でありました。



 ◆ ◆ ◆



 というわけで、やって来ました家具屋さん!


 「コトリ」という超有名店で、「お値段より上」がうたい文句。さっそく駐車し、入店~。


 中に入ると、様々な家具や寝具が目に入ってきて、アメリが「おお~!」と感心の声を上げる。


 お上りさんのようにキョロキョロと周囲を見回し「あれ何?」アタックをしてくる彼女に受け答えしながら、男性店員さんに折りたたみ机売り場を案内してもらう。


 おお、これはまた色々あるなー。


「この子に使わせたいんですけど、へりが出っ張ってないタイプがいいんですよね。座椅子と一緒に買っていこうと思うんですけど。部屋はあまり広くないので、取り回しのいいサイズないですか?」


 注文を伝えると、「これなどいかがですか?」と、一脚の見本を勧めてくる。天板がなめらかな木彫で、角やへりに出っ張りもなく長時間使っても痛くなさそう。脚は金属製で、四本を折りたたむ形になっている。大きさも、勉強机としてほどよい感じだ。


「これどう、アメリ?」


 実際に、畳まれた状態で裏表を見せてみる。


「いいと思う!」


 お気に召しましたか、お嬢様。


「じゃあ、次は折りたたみ式座椅子コーナーに案内していただけますか?」


 店員さんに行き先を告げ、箱入りの机を抱えながら案内される。おお、持っていただけますか。ありがたいこと。


「座椅子はこちらになります」


 おお、これも色々ありますねえ。ただ、座り心地は実際座ってみないとわからないからなー。


「アメリー、どれがいーい?」


 こういうときは、本人に直感で選んでもらいましょう。


 しばし視線をうろうろさせた後、「これ!」と薄紫の物を選ぶ。


「ほいほい、りょーかい。じゃあ、これも買っていきます。あと、もう一個。デスクライトも欲しいのですが……」


 と問うと、こちら座椅子も輸送しながら案内してくれる店員さん。ありがたいことです。


 売り場に案内されると、いろんなライトがお出迎え。これまた直感で選んでもらいましょう。


「アメリ、どれがいい?」


 しばらく視線をさまよわせ、「これ!」と、今度も薄紫のものをチョイス。


「おーけーおーけー。じゃあ、この三つを買っていきますので」


 さすがに、これぐらいは自分で持たせてもらう。


 クレカでお会計を済ませると、今度は車まで運んでくれるというじゃないですか。どんだけ至れ尽くせりなのかしら。


 トランクに三者を入れると、なんとか閉まる。うん、このままスーパーにも行けそうだね!


 では、お次はスーパーへ!



 ◆ ◆ ◆



 やって来ましたいつものスーパー! お昼に車で来ると、ちょっと新鮮な気分ね。


 とはいっても、実は今日あんまり買うものないのよね。ジュース類は昨日買って手つかずだし。サンチョで買ったお菓子も未開封だし。


 とりあえず、晩ごはんに使うための刻みネギをかごにイン。あとは……おや、中華調味料とごま油が安いじゃない。これも買っていきましょ。


「アメリー。あとなんか、ついでに欲しい物ある? コーラもお菓子もまだあるけど」


「んー……特にない!」


 ほいほい。じゃあ、以上をお買い上げして帰りましょうかね。



 ◆ ◆ ◆



 ただいまーっと帰ってきた後は、食材類を冷蔵庫に入れてお米をお水に浸してから、さっそく寝室で家具の具合を試す。


「座り心地、どう?」


 「おお~」と言いながら机と椅子とライトに感心しているアメリに問うと、「いいと思う!」という心強いお返事。良きかな良きかな


「じゃあ、本を読むなり、何か書くなりするときに好きに使ってみてね。使い終わったら、椅子は一回前に曲げてから広げて、机は逆にたたんで、ベッドの下に入れといてね。机たたむとき、手を挟まないように気をつけるんだよ」


「はーい!」


 しゅびっと挙手。元気でよろしい!


 さて、お米の浸水時間が終わるまで、お仕事でも進めてましょうかね。



 ◆ ◆ ◆



 浸水時間が終わったので、炊飯ボタンを押してから仕事に復帰。今日は珍しく四食ぶんを炊いている。夜にお米でちょっとしたものを作る予定なのです。


 お仕事をバリバリ進めていると、スマホのアラームが炊きあがり時刻を知らせてくれる。


「よーし、アメリちゃん。お昼ごはんの時間ですよ~」


 二人でとてとてとキッチンに向かうのでした。



 ◆ ◆ ◆



 三分でクッキングする例のBGMが脳内で鳴る中、まずはお米をしばし蒸してから切ります。そして、芯をくり抜いて水で濡らしたキッチンペーパーを入れたキャベツを一枚一枚剥いて適量用意する。こうやって使うのが長持ちのコツなのです。


 さらに、卵を二つ用意しまして、と。


 さてさて、今日作るのは非常にシンプルなおかず。


 まずは卵を二つ割り、溶き卵に。次にキャベツをざく切りにして、ごま油を多めに入れて熱したフライパンに投入!


 キャベツがしんなりしてきたら、溶き卵と中華調味料を投入!


 あとは、卵がボソボソにならない程度に手早く、塩胡椒と追加の中華調味料で味を整えていって……じゃ~ん完成! キャベツと卵の中華炒めです!


 うーん、我ながら非常にシンプル。まあ、たまにはこんなのもいいよね。


 平皿によそい、ごはんもお茶碗に盛る。


「じゃあアメリ、いただきますしようか。いただきまーす!」


「おお~! いただきまーす!」


 うん、お手軽だけど美味しいわあ。


「アメリ、どう?」


「美味しい!」


 ありがたいお言葉です、お嬢様。


「今夜はアメリが初めて見る料理作るからねー」


 ふふふんと微笑むと、キラキラ瞳で「おお~!」と期待するアメリ。


 さて、晩ごはんには冷や飯が必要なので、食べ終わったら炊飯器の保温切っとかないとね。


 今日はアメリの環境も整えたし、なんだか心が踊っちゃう!

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート