「アメリー。今日はもう少ししたら、お買い物行くよー」
朝食のハニーバタートーストをもっそもっそと食みながら、アメリに今日の行動予定を話す。顎を動かすと、少しずつ眠気が取れてくる。
「おお~! 何買うの!?」
キラキラした瞳で問うてくる彼女。
「んー? アメリの机と椅子とライト~。あとついでに、ごはんの材料も買っちゃおうか」
「おお~!」と、アメリがそれはもうキラッキラッと先ほど以上に瞳を輝かせる。
「家具屋さんは十時に開店だから、そのつもりでねー」
時計を見ると、七時半。道理でまだ頭がしゃっきりしないわけだ。
ふわあ、と大あくびしながら、パンと牛乳をゆっくりいただく私でありました。
◆ ◆ ◆
というわけで、やって来ました家具屋さん!
「コトリ」という超有名店で、「お値段より上」が謳い文句。さっそく駐車し、入店~。
中に入ると、様々な家具や寝具が目に入ってきて、アメリが「おお~!」と感心の声を上げる。
お上りさんのようにキョロキョロと周囲を見回し「あれ何?」アタックをしてくる彼女に受け答えしながら、男性店員さんに折りたたみ机売り場を案内してもらう。
おお、これはまた色々あるなー。
「この子に使わせたいんですけど、へりが出っ張ってないタイプがいいんですよね。座椅子と一緒に買っていこうと思うんですけど。部屋はあまり広くないので、取り回しのいいサイズないですか?」
注文を伝えると、「これなどいかがですか?」と、一脚の見本を勧めてくる。天板がなめらかな木彫で、角やへりに出っ張りもなく長時間使っても痛くなさそう。脚は金属製で、四本を折りたたむ形になっている。大きさも、勉強机としてほどよい感じだ。
「これどう、アメリ?」
実際に、畳まれた状態で裏表を見せてみる。
「いいと思う!」
お気に召しましたか、お嬢様。
「じゃあ、次は折りたたみ式座椅子コーナーに案内していただけますか?」
店員さんに行き先を告げ、箱入りの机を抱えながら案内される。おお、持っていただけますか。ありがたいこと。
「座椅子はこちらになります」
おお、これも色々ありますねえ。ただ、座り心地は実際座ってみないとわからないからなー。
「アメリー、どれがいーい?」
こういうときは、本人に直感で選んでもらいましょう。
しばし視線をうろうろさせた後、「これ!」と薄紫の物を選ぶ。
「ほいほい、りょーかい。じゃあ、これも買っていきます。あと、もう一個。デスクライトも欲しいのですが……」
と問うと、こちらも輸送しながら案内してくれる店員さん。ありがたいことです。
売り場に案内されると、いろんなライトがお出迎え。これまた直感で選んでもらいましょう。
「アメリ、どれがいい?」
しばらく視線をさまよわせ、「これ!」と、今度も薄紫のものをチョイス。
「おーけーおーけー。じゃあ、この三つを買っていきますので」
さすがに、これぐらいは自分で持たせてもらう。
クレカでお会計を済ませると、今度は車まで運んでくれるというじゃないですか。どんだけ至れ尽くせりなのかしら。
トランクに三者を入れると、なんとか閉まる。うん、このままスーパーにも行けそうだね!
では、お次はスーパーへ!
◆ ◆ ◆
やって来ましたいつものスーパー! お昼に車で来ると、ちょっと新鮮な気分ね。
とはいっても、実は今日あんまり買うものないのよね。ジュース類は昨日買って手つかずだし。サンチョで買ったお菓子も未開封だし。
とりあえず、晩ごはんに使うための刻みネギをかごにイン。あとは……おや、中華調味料とごま油が安いじゃない。これも買っていきましょ。
「アメリー。あとなんか、ついでに欲しい物ある? コーラもお菓子もまだあるけど」
「んー……特にない!」
ほいほい。じゃあ、以上をお買い上げして帰りましょうかね。
◆ ◆ ◆
ただいまーっと帰ってきた後は、食材類を冷蔵庫に入れてお米をお水に浸してから、さっそく寝室で家具の具合を試す。
「座り心地、どう?」
「おお~」と言いながら机と椅子とライトに感心しているアメリに問うと、「いいと思う!」という心強いお返事。良き哉良き哉。
「じゃあ、本を読むなり、何か書くなりするときに好きに使ってみてね。使い終わったら、椅子は一回前に曲げてから広げて、机は逆にたたんで、ベッドの下に入れといてね。机たたむとき、手を挟まないように気をつけるんだよ」
「はーい!」
しゅびっと挙手。元気でよろしい!
さて、お米の浸水時間が終わるまで、お仕事でも進めてましょうかね。
◆ ◆ ◆
浸水時間が終わったので、炊飯ボタンを押してから仕事に復帰。今日は珍しく四食ぶんを炊いている。夜にお米でちょっとしたものを作る予定なのです。
お仕事をバリバリ進めていると、スマホのアラームが炊きあがり時刻を知らせてくれる。
「よーし、アメリちゃん。お昼ごはんの時間ですよ~」
二人でとてとてとキッチンに向かうのでした。
◆ ◆ ◆
三分でクッキングする例のBGMが脳内で鳴る中、まずはお米をしばし蒸してから切ります。そして、芯をくり抜いて水で濡らしたキッチンペーパーを入れたキャベツを一枚一枚剥いて適量用意する。こうやって使うのが長持ちのコツなのです。
さらに、卵を二つ用意しまして、と。
さてさて、今日作るのは非常にシンプルなおかず。
まずは卵を二つ割り、溶き卵に。次にキャベツをざく切りにして、ごま油を多めに入れて熱したフライパンに投入!
キャベツがしんなりしてきたら、溶き卵と中華調味料を投入!
あとは、卵がボソボソにならない程度に手早く、塩胡椒と追加の中華調味料で味を整えていって……じゃ~ん完成! キャベツと卵の中華炒めです!
うーん、我ながら非常にシンプル。まあ、たまにはこんなのもいいよね。
平皿によそい、ごはんもお茶碗に盛る。
「じゃあアメリ、いただきますしようか。いただきまーす!」
「おお~! いただきまーす!」
うん、お手軽だけど美味しいわあ。
「アメリ、どう?」
「美味しい!」
ありがたいお言葉です、お嬢様。
「今夜はアメリが初めて見る料理作るからねー」
ふふふんと微笑むと、キラキラ瞳で「おお~!」と期待するアメリ。
さて、晩ごはんには冷や飯が必要なので、食べ終わったら炊飯器の保温切っとかないとね。
今日はアメリの環境も整えたし、なんだか心が踊っちゃう!
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