神奈さんとアメリちゃん

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第九十五話 冬支度とヘアピン姉妹 ―後編―

公開日時: 2021年4月21日(水) 19:01
文字数:2,164

続いて「るるる」内の百均、「CANDY」へ。


「おお~? 今日は何買うの~?」


「ふふふ、ちょっとね」


 やってきました、アクセ売り場。そして……おお、ありましたよヘアピン! それもアメリがこよなく愛する猫キャラ、ケイティちゃんのが!


「アメリー。これ使ってイメチェンしてみない?」


「おおー! ケイティちゃん!」


 キラキラ瞳を輝かせる。


「これをね、前髪に付けてまとめるときっと可愛いよ」


「おおー! じゃあ、おねーちゃんも一緒に付けよ!」


「え、ええ~? 私はちょっと……」


 と、難色を示すと、明らかにしょんぼりしてしまうアメリ。


「っていうのはなしでー。うん、寝室にいるときだけ付けてみようかな!」


 慌ててフォローすると、ぱあっと表情が明るくなる。うーん、ケイティちゃんのヘアピン付けたアラサー女かー……。イタイ。イタイけど、アメリの笑顔とは引き換えにできない。


 ヘアピン二つをかごに入れて、他にはスパゲッティーとソース、飲み物、缶詰、お菓子なんかをかごに入れていく。


 ちょっと荷物が重いので、お会計後に一旦駐車場へ戻り、トランクにしまう。あとはおなじみの子供服売り場へGO!


 売り場を見て回ると、アメリが「おお~!」と声を上げる。


「どしたの?」


「ケイティちゃん!」


 ほほう、ケイティちゃんの手袋か。アメリ、ほんとケイティちゃん好きよねー。


「よし、これ買っていこう。あとは、上着よねー。セーター、コート、ダウンなんかがあるけれど、どれがいい?」


 通りかかった店員さんを呼び止め、広げて見せてもらう。


「個人的なおすすめはファー付きコートかな。一番可愛いと思う」


「じゃあ、それにするー! ええと……この色がいい!」


 ほいほい。薄紫好きなのね。


 あとは、白のニーソックスを購入。生足じゃ寒いし、タイツじゃ私の腕前だとしっぽ穴改造でビリっといきそうで怖いし、いい折衷案だと思う。さらに、首元の保温に薄紫のマフラーも買って完璧!


 こんなものかな? では、お会計~。


 靴売り場にも行き、薄紫基調で白いボンボンの着いたブーツを購入。おもちゃも買いたいか尋ねてみるけど、特に欲しい物が思いつかないとのこと。よし! 今日のお買い物はこんなもんかな!



 ◆ ◆ ◆



「ただいまー!」


 と一緒にゴールイン。さ・て。アメリの衣服を新調したら、やることは決まってるよね!


「撮影会しましょう! と、その前にー」


 アメリの髪に、ヘアピンを付けてあげる。


「あら可愛い! ほら、見て見て」


 鏡を置くと、彼女も「おお~!」と声を上げる。ふふふん、ショートヘアだって工夫次第で色々おしゃれできるんだから!


「おねーちゃんも付けよー!」


 うぐっ! 期待のこもった眼差しが辛い。だけど、その純真な眼差しに抗うことはできないのデス……。


「……どうかな?」


「おねーちゃん可愛い!」


 鏡で確認してみる。うーん、これは……こっ恥ずかしい。でも、眼前で満面の笑みのアメリを見ると、外すのははばかられる。


「よし! じゃあヘアピンも付けたし、撮影会しちゃいましょ!」


 もはや勢いで撮影会決行!


 可愛い! 天使! 妖精! これ以上の語彙力崩壊!


 可愛い、ひたすら可愛いわうちの子……。あらゆる角度とポーズで撮影ボタンをタップしていく。ああ、なんて幸せなひとときなのでしょう……。


 と、そのときインタホンの呼び鈴が。


 アメリにちょっと待っててねと言い応対に出ると、さつきさんだった。


「どもー。昨日のお返し込みで、由香里ちゃんが焼いたアップルパイ、おすそ分けに来たっす~」


「あらあら、どうもすいません。今行きますね~」


 門まで迎えに出る。


「こんにちは~」


「こんにちは~。それ、可愛いっすね」


 ムフフとほくそ笑むさつきさん。はて? ……あっ! ヘアピン外すの忘れてたあああああっ!!


「あ、いやこれはですね。あの、その……」


「照れることないじゃないっすか~。似合ってるっすよー」


 うう、顔から火が出そう。


「それも可愛いっすけど、髪、切ったんすね。そっちも似合ってるっすよ」


「ありがとうございます」


 話題を切り替えてくれたのでほっと一安心。


「あ、これパイっす」


 紙皿に乗ったラップ包みのアップルパイを二つ渡してくれる。


「いやー、あのピザオーブンも捨てたもんじゃないっすね。由香里ちゃんが焼き菓子作りにハマっちゃったんすよ」


「あら、優輝さんほんとにいい買い物しましたねー」


「優輝ちゃんも『その発想はなかった』と、感心してたっす」


 災い(?)転じて福となす。良きかな良きかな


「じゃあ、自分はまだ作業があるんでこれで。さよならっすー!」


 互いに別れを告げ、自室に戻る。


「アメリー、ただいまー」


 アップルパイをキッチンに置いた後、寝室に戻って声かけ。彼女は、「ねこさん、せかいをすくう」を読んでるところだった。


「おお~。誰だったー?」


「さつきさんー。アップルパイもらっちゃった」


「おお? 何それ?」


 興味津々で初めて耳にする物について尋ねてくる。


「お菓子だよー。由香里さんが作ったから、きっと美味しいよー」


 すると、「おお~!」と瞳をキラキラ輝かせる。今日のアメリはよく瞳が輝くねー。


「さあ、撮影会の続きしよう!」


 というわけで、撮影会ラウンドツー! う~ん、プリチー!


 撮影会の後はお風呂に入り汗と汚れを流し、由香里さんお手製のアップルパイを美味しくいただきました。さすが由香里さん、いいお味。アメリも、美味しい美味しいと大満足でした。

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