神奈さんとアメリちゃん

退会したユーザー ?
退会したユーザー

第四百四十四話 ご進捗はいかがでしょう?

公開日時: 2021年12月25日(土) 21:01
文字数:2,011

 楽しかった七夕も過ぎ、今日は再び雨模様。ヤンナルネ。


 LIZEでいつものように朝のご挨拶をし、少し雑談。


「神奈さん、また色々イベントに誘ってしまってますけど、お仕事大丈夫ですか?」


 と、優輝さんに心配されてしまいました。


「はい。特に遅れなく進んでいます、ご心配をおかけしてすいません」


「いえいえ! ほんとに、神奈さんは何も悪くないですよ!」


 手をバタバタしてる猫のスタンプが貼られる。


「逆に、皆さんのお仕事のほうはいかがでしょう? ふと、気になりました」


「私は、平常運転ですね」


 白部さんが、そう書かれる。まあ、ノーラちゃんたちを「診る」のがお仕事ですもんねえ。日常すべて、これお仕事ナリ。


「あ、素朴な疑問なんですけど、虹の橋の女神様についても調べられるんですよね? 言ったら何ですけど、こういったオカルトめいた存在、どうやって調べるのでしょうか?」


「ああ、その件でしたら、心理学的に調査する方向で進んでいます。さすがに、猫耳人間という証拠があるとはいえ、虹の橋の世界を調べるのは無理ですから」


 なるほどねー。


「あたしらは順調です。ただ、久美さんがミケの歌との同時進行で、泣いてますけど」


「泣いてねーっての。ただ、どうしてもミケ子のほうは後回しになるな」


 漫才してるぅ~。


「お仕事じゃ、無理は言えないわね」


 と、ミケちゃん。昔の彼女だったら、自分を優先してって言ってたろうなあ。成長したもんです。


「わたしも、執筆のほうは順調です」


 まりあさんもいい感じみたいね。


「私も、お仕事順調です。あ、猫崎さんにお願いされていた件ですけど」


 お、近井さんに頼んだ件というと!


「交流サイトのほう、順調にいけば週末にはテスト版をお見せできそうです」


 「ありがとうございます!」と、バンザイ猫スタンプをぺたぺた貼る一同。楽しみ~。


「楽しみですね。ボクも、他の猫耳人間の子とお話ししてみたいです」


 あの、人見知りだったクロちゃんが! すごい成長したなあ……。


「ちなみに、ボクは今度の日曜、昇級をかけた対戦をする予定です」


 一同、「おお~」と反応。まりあさんは、「クロちゃんなら、勝てるって信じてるからね」とガッツポーズ猫スタンプ。


「ノーラちゃんは日中、どんな感じですか?」


「とにかく、サッカーしたいって愚痴ばかりです。あとはトレーニングに行きたがるので、勉強会などの集まりがない日は、行かせてあげてますね」


 ほうほう。


「あと、今度の週末にスマホを買ってあげようかと」


 またも、一同「おお~」と反応。さっきから全員、アメリ状態。


 ともかくも、皆さん順調なようで何より。


 私も、順調を不調に落とさないためにも、お仕事始めますかー。


 仕事を開始する旨を皆さんに告げ、チャットルームを退出。「フリアト執筆用ソフト」を立ち上げます。


 愛娘は、私の代わりに、皆さんと雑談してる模様。色々と、現在の話題を実況してくる。


 やがて皆さんもお仕事を始めたようで、アメリちゃん実況も途絶えました。代わりに、調べ物を始めた模様。


「アメリー。なんか面白いもの調べられたー?」


 ネームを切りながら尋ねる。


「おお? えっとね、宇宙はダークエネルギーっていうのが七十四%なんだって! ……%って何だろ?」


 なんか、すごいこと調べてた! しかも、%はわからないアンバランスぶり!


「えーと、ものを百で割ったときの割合ね。七十四%は百分の七十四。ざっくり、四分の三だね」


「おお~! じゃあ、ダークエネルギーって何!?」


「それは……ちょっとわからないな。スマホで調べたほうが、早いと思うよ」


「わかったー!」


 ふう。なんだかすごいですねえ、うちの娘は。


 気を取り直して、お仕事再開。


 すらすら……。


 かちゃかちゃ……。


 うーん、はかどりますねえ。


「おねーちゃん!」


「ほい?」


 今度はアメリに呼びかけられたので、コーヒー牛乳片手に応える。


「ストームとテンペストってどう違うの?」


「ほぁっ!?」


 思わず、変な声を出してしまう。


「えーと、ストームってたしか『嵐』って意味よね?」


 こくこくうなずくアメリちゃん。


「テンペストは……何かしら?」


「それも嵐らしいよ!」


 困った。今の今まで、テンペストなんて単語知らなかった私が、答えられるわけもなく。


「えーと……スマホ先生に訊いたほうが早いかなー?」


「わかったー」


 ふう。ほんとすごいというか、なんというか……。こういうの、どこで拾ってくるのかしら。


 その後も、何かと難問を持ってくるアメリちゃん。


 そのたびに答えにきゅうし、頭を悩ませる。


 愛娘の知的好奇心の前に、親のソンゲンは風前の灯ですとも! とほほ。


 それにしても、世の中知らないことだらけだなー。大学行っとけば良かったなー、なんて今更思うけども……。あの白部さんだって、宇宙のことなんかだと、きっとさっぱりだろうし。


 世界の謎全体で見たら、わかることの上限がちょびっと上がるだけなんだろうねえ、きっと。世の中広いな。


 そんなことを考えながら、目の前の仕事をこなすため、筆を走らせ、キーを叩くのでした。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート