神奈さんとアメリちゃん

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第四百四十二話 みんなであそぼ!

公開日時: 2021年12月22日(水) 21:01
更新日時: 2021年12月24日(金) 11:48
文字数:2,684

 とりあえず、歯磨きと片付けのために一足先に戻らせていただき、用意を整えます。


 ……これでよし! では、白部さんに連絡しましょうか。


 ややあってインタホンが鳴ったので、門へ。皆さん揃い踏み! 白部さんは一度取りに行ったのか、ノートパソコンを抱えています。


 「ようこそ」と、中へ招き入れるのでした。


「これ、優輝から」


 頂いたのは、大袋入りのチョコ菓子「ミットマット」とクッキー。それと、飲み物を色々。ありがたいことです。


「後で、優輝さんにお礼しなきゃ」


「さらに伝言。『ミケのお世話していただくんで、お気になさらず』ですって」


 相変わらず、快活な人だ。そうはいっても、言葉でのお礼ぐらいはしないとね。


 とりあえず、アメリの案内で寝室に先に向かっていただき、お茶菓子を用意する。


「お待たせしました」


 さすがに、折りたたみ机に七人は厳しいので、二人ぶんのお茶菓子をトレイに載せたままベッドに置き、白部さんと近井さんに腰掛けていただくことに。


「すみませんね、どうにも狭くて」


「いえいえ。押しかけけたのこちらですし。仕事がなければ、ノーラちゃん一人で遊ばせても良かったんですけど」


 白部さんがおっしゃる。猫耳人間の、あらゆる行動をモニタリングするというのも、大変ですねえ。


 ともちゃんも、さすがにまだ近井さんが目を離していい歳ではないしね。


「何して遊ぶー?」


 アメリが声をかけ、子供たちでわちゃわちゃ相談。ぬいぐるみ遊びはノーラちゃんとミケちゃんが難色を示し、ブロック遊びに落ち着きました。


 ブロックも、割と久々の出番ね。


 かちゃかちゃ、わいわいと、みんなで色々作っていく。


 白部さんはそれのデータを取り、彼女の仕事内容に興味を持った近井さんが、色々と尋ねています。


 私も、ミットマットとクッキーを少し小皿にいただき、お仕事お仕事~。



 ◆ ◆ ◆



「できた……!」


 クロちゃんの声が聞こえたので、そちらを見てみる。見事な松の木ができていました。


「おお~、すごい! なんて名前?」


「夕凪……」


 し、渋い……。相変わらず、渋い! いぶし銀ネーミング!


「ミケもできたわ!」


 可愛いくまちゃんですねえ。


「名前はシンスケよ!」


 こちらも相変わらずな、ミケちゃんネーミングセンス。


 アメリとともちゃんは、合作の模様。なんだか、例によって名状しがたい代物になりつつあります……。


「アタシもできたぜー! 倒した記念に、ブンレッツだ!」


 緑の、人型のオブジェが出来上がっていました。


「……できたー!」


 アメリとともちゃんが同時に宣言。その姿は……四次元からの来訪者というか、なんというか。


 ぱちぱちと、我が娘の作品を拍手して褒め称える近井さん。私も褒めよう。ぱちぱち~! 個性、個性!


「アメリちゃん、名前どーする?」


 ともちゃんが、命名を一任。


「おお? 決めていい? じゃあ、『まそにゅう』! パン屋さん!」


 その姿でパン屋さんかー……。これで案外、美味しいクロワッサンとか焼くのかしら?


 おっと、見とれている場合じゃないな。優輝さんに短時間切り上げでと言ったんだから、お仕事に集中~!



 ◆ ◆ ◆



 子供たちは、その後もしばらくブロック遊びに興じていましたが、おしゃべりがメインになってきたようです。


「ともは、『NKM33』って知ってる?」


 話を振るミケちゃん。


「なんか、聞いたことあるー」


「一緒に、千多せんたちゃんを応援しましょ! もうね、すっごいカリスマなんだから!」


 おおう、布教活動に熱心ですねえ。アメリにとってのエスカルゴのような。


「千多ちゃんって、どんな人ー?」


「神奈おねーさん、BDプレイヤー使っていい!?」


「んー? どーぞー」


 特に断る理由もないので、OKする。


「ディスク取ってくる!」


 そう言うと、疾風のように背後を走り抜けていくミケちゃんでした。



 ◆ ◆ ◆



「ただいま!」


 はあはあ息を切らせ、戻って来ました。


「アメリ、プレイヤーの使い方教えて」


「おお。えっとね……」


 アメリに使い方を教えてもらい、起動。


 ちょっと、私も見てみよう。


「NKM、33ー!」


 どうやら、ハモリさんが司会を務める、音楽番組の録画らしい。三十三人ぶんの掛け声が聞こえてくる。文字通り、センターで目立ってるのが千多ちゃんですかね。なるほど、たしかに可愛い。みんな、猫耳と猫しっぽが特徴的だね。もちろん、こちらは作り物だけど。


 そのままライブに移行。へー、みんな歌も振り付けも上手だなあ。


 ライブは盛り上がっていき、フィニッシュ! 客席から拍手と歓声が起こる。私たちも拍手。


 千多ちゃんと、ほか二人が代表として、ハモリさんとトークを繰り広げる。へえ、喋りも上手いなあ。明るくて、ハキハキしてる。これは、ミケちゃんがリスペクトするのも納得。


 まさに、THE・アイドルって感じねー。私も、ちょっとファンになっちゃった。


 トークも終わり、三人は退出。ここで、録画は終わっている。


「どうだった!?」


 さっそく、グイグイと意見を求めるミケちゃん。


「すごかった!」


 幼児語彙力で千多ちゃんを評価するともちゃん。


「でしょ、でしょ!? もうね、歌も踊りも上手いし、性格いいしで、完璧なのよ!!」


 ミケちゃん、ボルテージ上がりまくり。


「ボクはこういうのあまり見ないけど、たしかに上手だったね」


「だなー」


 クロちゃんとミケちゃんも、控えめながら同調する。


「ふふん。二人とも、見る目あるじゃない。アメリはどうだった?」


「おお~。ミケはあの人が目標なんだね。すごいと思う!」


「ええ。ミケもNKMに入って、千多ちゃんみたいになってみせるんだから!」


 胸を反らし、ふんすと鼻息が荒い。


 その後もミケちゃんの、千多ちゃん愛あふれるマシンガントークが、しばらく続きました。


 とりあえず、面白いもの見せてもらったし、仕事に戻りましょ。



 ◆ ◆ ◆



 子供たちも手を変え品を変え色々遊び尽くし、もうすぐ夕刻ということで、帰り支度を始めます。


「今日は、突然のお申し出にも関わらず、ありがとうございました」


 近井さんから丁寧なご挨拶とお辞儀をいただく。


「こちらこそ、いつもアメリと遊んでいただいて、ありがとうございます」


 立ち上がり、お辞儀で返す。


「私も、今日は子供たちのコミュニケーション力に関する、いいデータが取れました。ありがとうございます」


 白部さんがお辞儀してくるので、こちらも返礼。


「神奈おねーさん、今日はありがとー!」


 ミケちゃんを筆頭に子供たちもお礼を言ってくるので。「どういたしまして」と笑顔で応える。


「じゃあ、門まで見送りますね。クロちゃんは車だね」


「ありがとうございます」


 というわけで、ぞろぞろと門へ向かい、お見送り。


 一同を見送った後は、クロちゃん、アメリを乗せて、宇多野家へと向かうのでした。

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