神奈さんとアメリちゃん

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第四百二十一話 フルーツゼリーを作ろう!

公開日時: 2021年11月29日(月) 21:01
更新日時: 2022年2月27日(日) 10:59
文字数:2,749

 覚醒して、ニュースとLIZEをチェックした後は、植物のお世話をして、さらにアメリちゃんと一緒に、台所周りのお掃除なう。現在、電子レンジをピカピカに磨いています。


 いやー、家がきれいだと気分がいいね!


「次、どこやればいい?」


「そうねー。小さいほうの食器棚の、ガラスでも拭いてもらおうかしら」


「らじゃー!」


 しゅっしゅっとスプレーして、拭き拭きするアメリちゃん。


 そのときふと、すっかり存在を忘れていたある物が、目に入りました。


 棚の上に鎮座している、洋梨のシロップ漬け。塩漬けならぬ、砂糖漬けの小洒落たインテリアと化しております。


 これは、お正月後のお土産交換会で、久美さん&さつきさんからいただいたもの。


 シロップ漬けの瓶詰めということで、半年やそこらでは腐らないだろうけど、さすがにこのまま、放ったらかしにするのも申し訳ない。


「アメリちゃん。今日はあの瓶詰めで、ゼリーでも作ってみよっか」


「おお? あー、お正月にもらったのだね!」


 つま先立ちで、棚の上を見る。さすが、記憶力がいい。


 梨の去就も決まったところで、引き続き、ぽつぽつおしゃべりしながら、お掃除を続けるのでした。



 ◆ ◆ ◆



 今日のお昼は、和風ハンバーグ定食を予定。アメリにもすっかり朝食メニューを教え終わって、お昼は私との共同作業で作るスタイルに戻っています。


 ただ、簡単な料理だとアメリが一人で作りたがるから、自由意志を尊重することも。T総では心理検査もやっていて、精神的にも極めて健康に育っているとのこと。無理させてるんじゃないかと心配がちな私は、この報告を聞くと、ほっと一息。


 そんなわけで、炊飯が終わるまでお仕事中です。一方、アメリは何してるかというと……。


「また読んでるのねえ」


「うん! おとーさんからのお手紙嬉しい!」


 一昨日届いたお父さんからの手紙を、今日も読み返しています。


 お父さん、アメリの漢字力がわからないし、わかっても小三向けの漢字がどこまでか調べながら書くのも大変だから、ひらがなとカタカナと、アラビア数字だけのものを送ってきました。


 お父さんは普通にワープロソフトが使えるし、年賀状なんかもそれで作ってるけど、アメリに送ったこれは、「への手紙だし、気持ちを込めたいから」と、手書きにしたそうで。こういうとこ、我が父ながら、ちょっと粋よね。


 そのおかげか大好評で、こうして当のアメリちゃんは、何度も読み返してるわけです。お父さん、字、上手だしね。


「アメリちゃんや。せっかくだから、お母さんにも書いてあげたらどうかしら」


「おお! そうする!」


 ばたばたとキャビネットから筆記用具を取り出す愛娘。


 母の日は、私にはカーネーションをくれたけど、お母さんへの贈り物は失念してたからね。アメリにとってはおばあちゃん的な存在だし、うっかりしてました。


 アメリも書き物に集中しはじめたし、私も描き物仕事に集中しましょっと。



 ◆ ◆ ◆



 お昼も、美味しく食べ終わりました。私が和風ハンバーグ好きだから、洋風のより登場頻度が多めになっちゃうんだけど、アメリはどっちも好きなようです。美味しいよねー、和風ハンバーグ。


 で、食休みを少し取ったら、ゼラチンと晩ごはん&朝ごはん、それに明日の昼ごはんの材料を買いに行くですよ。


 というわけで、いつものスーパーへ!


 まずは粉ゼラチン。これはちょっとでオーケー。洋梨漬けがもっと大量だったら、いつものメンバーと近井さんにもおすそ分けできるのだけど、さすがに十四人前作れるほどの量はない。


 なんだか申し訳ないけど、私とアメリだけでいただいちゃいましょう。


 晩ごはんは、オムライス、ハンバーグとアメリの好物……まあ、アメリだいたいのものが好物なんだけど、それらが続いたので、好物シリーズとしてグラタンでも作ろうかな。お昼は、カレーライスにしよう。


 あとは、明日も勉強会があるから、おせんべいと羊羹でも買っていきましょうね。


 アメリちゃんは、私直伝のモンテ・クリストサンドを作るそうで、いつもの三種の神器に加え、ハムとチーズが買い足されました。



 ◆ ◆ ◆



 たっだいまー! 梅雨時でも、手洗い・うがい大事! 漫画家と育児は、体が資本!


 荷物をしまって、お着替え~。一休みしたら、おやつを作りましょう。冷やすのに、一時間以上かかるからね。


 親子のふれあいタイムということで、アメリに絵本を読み聞かせてあげることにしました。


 こういうのができるのって、いつぐらいまでなのかな。人間だと、八歳にもなると絵本の読み聞かせなんて卒業しちゃうけど、この子たちは、転生したのがそのぐらいの歳だからね。人間とは単純比較できない。


 とりあえず、アメリが望まなくなるまでは、読んであげよう。


 そうこうしてると疲れも取れたので、いざゼリー作りへ!


「さて、アメリちゃん。アメリちゃんには洋梨を食べやすい大きさに切ってもらおうかなっ」


「おおー! 任せて!」


「では、やっていきましょうか」


 まずは、粉ゼラチンを水大さじ二杯でふやかす。続いて、ザルを通してフルーツとシロップを分離。


 シロップはシロップで別に使うので、耐熱ボウルに取っておく。フルーツカットは相方にお任せ。


「できたー!」


 ややあってアメリが宣言したので、梨をガラスの小鉢に均等に分け入れてていく。


 よし。続いて、そのシロップを一分レンチン。温まったら、ゼラチンを投入して混ぜ~る。


 あとは小鉢に、これまたシロップを均等に入れていき、最後に気泡をスプーンで丁寧に取って、粗熱がなくなるまで放置。アメリちゃんと、おしゃべりに興じます。


 向学心が強いから、とにかく勉強が楽しいそうで。テスト前になるたび、アメリと遊ぼうとして現実逃避を図っていた、元・ポンコツ学生には羨ましい限りの性格です。


 ノーラちゃんへの授業法も見る限り、「わからない子」への対処も見事で、将来教職に就いても、上手くやっていけそうだね。


 そうこうしているうちに熱が取れたので、ゼリーを冷蔵庫へイン!


 あとは、一時間ばかり冷やしましょう。



 ◆ ◆ ◆



 でっきあがり~! ぷるぷる震えて、とても美味しそうです。ちなみに、できたのは四鉢。とりあえず、一つずついただきましょう。


「おお~、ほんとにゼリーになってる……」


「面白いよねー。じゃ、いただきましょう。いただきます!」


「いただきます!」


 ぷるんと震えるゼリーに、スプーンをすっと入れる。そして、口へ……。甘~い! 美味し~い! これは、後で改めて久美さんとさつきさんにお礼言わなきゃだねえ!


「おお~! 甘くて美味しいね!」


「久美さんたちがくださった、梨がいいのよ」


 実際、いい梨だからここまで美味しいのだ。


 かくして、ごちそうさま。残り二鉢は、夜のデザートにすることにしました。ふふ、贅沢。


 さーて、美味しいゼリーでエネルギーもバリバリチャージ! お礼を述べたら、お仕事がんばるぞー!

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