神奈さんとアメリちゃん

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第百十八話 おめでたいときは、なんといってもこの料理!

公開日時: 2021年4月24日(土) 08:31
文字数:2,726

カレンダーもぺらりとめくられてもう師走!それも、初旬ももう半ば。あっという間だねー。


 そ・し・て~……でっきあがり~っ! ホカホカ原稿の完成でーす!! 真留さんに送信、送信っと!


「ア~メリちゃ~ん! できましたよー! 原稿ちゃんの完成でーす!」


 背後でお勉強していたアメリにぎゅむっと抱きつくと、「うにゅう」という気抜け声を上げる。


「ねえ、何したい? 何したい?」


「何でもいいよー!」


 両手を握って、横にぶんぶん振りながらわくわくして尋ねると、満面の笑顔でいつもの力強いお言葉。ふーむ、ではここは、お祝い料理の買い出しに行きましょう!


 時刻を見ると三時すぎ。ラッシュタイムも終わってる頃だね。


「よーし、アメリちゃん! お買い物にいきまょー!」


「おお~!」


 というわけで、出陣です!



 ◆ ◆ ◆



 やって来ました、おなじみのスーパー! チラシチェーック!


 今日はエビ、椎茸、れんこん、卵がお安いですと。ふむふむ。あら、これはアレ・・を作れという天のお達し!


 エビを大量に購入! ふっふっふっ……おめでたいときにはリミッターが外れる、それが私!


 干し椎茸とれんこん、卵もゲット。あとは、別に安くはないけどイクラ! これも、多めにドン! これがなくちゃ、アレ・・は物足りないからね!


 あとは、お祝いということで、マスぺとコーラも買っていきましょー。うーん、ダイエットは遠くなりにけり。


 そして、例によってパンを買って……と。おっと、肝心の米酢を忘れるところだった。イン! よし、今度こそOKかな?


 では、お会計~。



 ◆ ◆ ◆



 ただいまっと。では、まず仕込み! 今日は、どっさりご飯を炊きます!


 あとは、今のうちに作れるものも作っとこうかな。


「アメリー、ちょっと手伝って~」


「おお~!」


 というわけで、一緒に作業。


 エビの殻をアメリと一緒に剥いて、脚と背わたをとって開き、蒸しまーす。続いて卵黄を薄~く焼いて、冷ましますっと。椎茸も石突きを取って茹で、これも冷まして……。


 エビが蒸し揚がったら、こちらも空気にさらして冷やす。れんこんも、薄切りにして米酢漬けに。あ、今のうちにうちわ探そっと。仕事机の引き出しにしまってたはず……あったあった、ありました。


「ふ~、アメリー。エビと卵が冷めるまで何かしてましょー」


「おお~、何でもいいよ~」


 といつもの言葉をいただいたので、私も童心に帰って一緒にブロック遊び。子供の頃、幼馴染と色々作ってたのを思い出す。


「じゃーん、おうちができたよー」


 幼稚園児が描くような煙突付きの家が完成! アメリが「おお~!」と拍手する。


「できた! にゅもげら!」


 にゅ、にゅも……? 何やらよくわからないオブジェを完成させるアメリ。


「アメリ、それなーに?」


「えっとねー、何かジャングル? に棲んでるの! 強いの!」


 おお~……さすがはアメリちゃん、謎センスだわ。でも、こういう自由な発想力って素晴らしい!


 そんなことをやっていると、エビと卵も冷めたであろうと思うので、再度キッチンへ。炊飯ボタンを押し、椎茸と卵を細切りに。エビと一緒に冷蔵庫へ~。


 というわけで、ブロック遊び再開。やはり、相変わらずへんてこオブジェを作りまくるアメリでした。スマホを見ると、真留さんからも原稿受領のメッセージが届いていて、実に吉!


 ご飯が炊きあがったことをアラームが知らせてくれるので、うちわ片手にキッチンへ。しばし蒸した後、しゃもじでごはんを切ります。ふう、全自動って楽なんだろうけど、愛着があるからねえこの炊飯器。何より、まだまだ使えるし!


 ごはんを平皿に盛り、お砂糖とお塩少々を溶かした米酢をまぶしながら、しゃもじで混ぜ混ぜ。


「アメリー。そのうちわ、私が寝室から持ってきたやつでごはん扇いでー」


「おお~? わかった!」


 二人で共同作業しながら、酢飯を作っていく。……ふう、やっと全部酢飯にし終わった! アメリもちょっとへばってるね。


「休憩してていいよー。あとは私がやるからね」


 まず、細切りの卵、つまり錦糸卵をごはんにまぶす。続いてれんこん、椎茸を盛っていき、エビとイクラをさらにその上に。じゃーん!ちらし寿司の完成でーす! うん、いかにも「ハレ」って感じよね!


 せっかくだから、かくてるの皆さんやまりあさん、白部さんにも配る予定。そのための、大量のお米と具材なのでした!


 LIZEでご都合を伺ったところ、白部さんだけが不在とのことなので、かくてるの皆さんとまりあさんにまずはおすそ分け。大変喜んでいただけました!


 戻ったあとは、アメリと一緒にお寿司をいーてぃんぐ!


「いただきます!」


 二人で合唱し、ぱくっ!


「美味しい!」


 アメリが瞳を輝かせる。うんうん、美味しいよねー。アメリも一緒に頑張って作ったものね。


 寝室でお勉強しながら白部さんのご帰宅を待っていると、七時半にご帰宅の報が入りました。ちらし寿司のおすそ分けは事前にお知らせしてるので、お弁当は買わずに戻られたとのこと。


 では、さっそく届けに行きましょー!


「はーい。あ、こんばんは~。アメリちゃんも元気そうで何より!」


 二人で、白部さんに「こんばんは」とご挨拶を返す。


「ちらし寿司、お届けに上がりました」


「ありがとうございます! いつもコンビニ弁当になりがちなので、すごく助かります!」


「白部せんせー、あの……」


「うん、ノーラちゃんでしょ? 上がっていって」


 アメリが白部さんのお宅で切り出す要件といえばノーラちゃん。というわけで、恐縮ながら、上がらせていただくことに。


 白部さんが引き戸を開けると、ノーラちゃんが「にゃーん」と出迎えてくれました。


「お二人に慣れるの、ずいぶん早いですねー。私、二ヶ月ぐらいかかったものですけど」


「いえいえ。白部さんが、人馴れさせてくださったおかげですよ」


 例によって座布団を勧められ、白部さんがお茶をれてくださるとおっしゃるので待っていると、ノーラちゃんがとことこアメリに近寄って「すりすり」を始めました!


「おお?」


「あらー。アメリちゃんも、ノーラちゃんに気に入られたみたいだねー」


 白部さんが、お茶を配膳しながらアメリににこやかに話しかける。


「もしかしたら、撫でさせてくれるかも知れないよ?」


 そう言われて、アメリが恐る恐る背に手を乗せると、ノーラちゃんは抵抗せずに、撫で撫でさせてくれました。


「すごいねー、アメリ。猫耳人間だから、慣れるのが早いとか?」


「おおー? 白部せんせー、そうなの?」


「そういえば、そのデータは取ったことがなかったですね。今度、研究してみましょうか」


 冗談か本気か、そんなことを仰る白部さん。


 互いにうっとりする、ノーラちゃんとアメリ。ほほえま!


 あまり長居しても悪いのでほどほどで切り上げ、例によって最後に白部さんにぎゅーっとハグされて、私とともに名残り惜しそうに帰宅するアメリでした。

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