カレンダーもぺらりとめくられてもう師走!それも、初旬ももう半ば。あっという間だねー。
そ・し・て~……でっきあがり~っ! ホカホカ原稿の完成でーす!! 真留さんに送信、送信っと!
「ア~メリちゃ~ん! できましたよー! 原稿ちゃんの完成でーす!」
背後でお勉強していたアメリにぎゅむっと抱きつくと、「うにゅう」という気抜け声を上げる。
「ねえ、何したい? 何したい?」
「何でもいいよー!」
両手を握って、横にぶんぶん振りながらわくわくして尋ねると、満面の笑顔でいつもの力強いお言葉。ふーむ、ではここは、お祝い料理の買い出しに行きましょう!
時刻を見ると三時すぎ。ラッシュタイムも終わってる頃だね。
「よーし、アメリちゃん! お買い物にいきまょー!」
「おお~!」
というわけで、出陣です!
◆ ◆ ◆
やって来ました、おなじみのスーパー! チラシチェーック!
今日はエビ、椎茸、れんこん、卵がお安いですと。ふむふむ。あら、これはアレを作れという天のお達し!
エビを大量に購入! ふっふっふっ……おめでたいときにはリミッターが外れる、それが私!
干し椎茸とれんこん、卵もゲット。あとは、別に安くはないけどイクラ! これも、多めにドン! これがなくちゃ、アレは物足りないからね!
あとは、お祝いということで、マスぺとコーラも買っていきましょー。うーん、ダイエットは遠くなりにけり。
そして、例によってパンを買って……と。おっと、肝心の米酢を忘れるところだった。イン! よし、今度こそOKかな?
では、お会計~。
◆ ◆ ◆
ただいまっと。では、まず仕込み! 今日は、どっさりご飯を炊きます!
あとは、今のうちに作れるものも作っとこうかな。
「アメリー、ちょっと手伝って~」
「おお~!」
というわけで、一緒に作業。
エビの殻をアメリと一緒に剥いて、脚と背わたをとって開き、蒸しまーす。続いて卵黄を薄~く焼いて、冷ましますっと。椎茸も石突きを取って茹で、これも冷まして……。
エビが蒸し揚がったら、こちらも空気にさらして冷やす。れんこんも、薄切りにして米酢漬けに。あ、今のうちにうちわ探そっと。仕事机の引き出しにしまってたはず……あったあった、ありました。
「ふ~、アメリー。エビと卵が冷めるまで何かしてましょー」
「おお~、何でもいいよ~」
といつもの言葉をいただいたので、私も童心に帰って一緒にブロック遊び。子供の頃、幼馴染と色々作ってたのを思い出す。
「じゃーん、おうちができたよー」
幼稚園児が描くような煙突付きの家が完成! アメリが「おお~!」と拍手する。
「できた! にゅもげら!」
にゅ、にゅも……? 何やらよくわからないオブジェを完成させるアメリ。
「アメリ、それなーに?」
「えっとねー、何かジャングル? に棲んでるの! 強いの!」
おお~……さすがはアメリちゃん、謎センスだわ。でも、こういう自由な発想力って素晴らしい!
そんなことをやっていると、エビと卵も冷めたであろうと思うので、再度キッチンへ。炊飯ボタンを押し、椎茸と卵を細切りに。エビと一緒に冷蔵庫へ~。
というわけで、ブロック遊び再開。やはり、相変わらずへんてこオブジェを作りまくるアメリでした。スマホを見ると、真留さんからも原稿受領のメッセージが届いていて、実に吉!
ご飯が炊きあがったことをアラームが知らせてくれるので、うちわ片手にキッチンへ。しばし蒸した後、しゃもじでごはんを切ります。ふう、全自動って楽なんだろうけど、愛着があるからねえこの炊飯器。何より、まだまだ使えるし!
ごはんを平皿に盛り、お砂糖とお塩少々を溶かした米酢をまぶしながら、しゃもじで混ぜ混ぜ。
「アメリー。そのうちわ、私が寝室から持ってきたやつでごはん扇いでー」
「おお~? わかった!」
二人で共同作業しながら、酢飯を作っていく。……ふう、やっと全部酢飯にし終わった! アメリもちょっとへばってるね。
「休憩してていいよー。あとは私がやるからね」
まず、細切りの卵、つまり錦糸卵をごはんにまぶす。続いてれんこん、椎茸を盛っていき、エビとイクラをさらにその上に。じゃーん!ちらし寿司の完成でーす! うん、いかにも「ハレ」って感じよね!
せっかくだから、かくてるの皆さんやまりあさん、白部さんにも配る予定。そのための、大量のお米と具材なのでした!
LIZEでご都合を伺ったところ、白部さんだけが不在とのことなので、かくてるの皆さんとまりあさんにまずはおすそ分け。大変喜んでいただけました!
戻ったあとは、アメリと一緒にお寿司をいーてぃんぐ!
「いただきます!」
二人で合唱し、ぱくっ!
「美味しい!」
アメリが瞳を輝かせる。うんうん、美味しいよねー。アメリも一緒に頑張って作ったものね。
寝室でお勉強しながら白部さんのご帰宅を待っていると、七時半にご帰宅の報が入りました。ちらし寿司のおすそ分けは事前にお知らせしてるので、お弁当は買わずに戻られたとのこと。
では、さっそく届けに行きましょー!
「はーい。あ、こんばんは~。アメリちゃんも元気そうで何より!」
二人で、白部さんに「こんばんは」とご挨拶を返す。
「ちらし寿司、お届けに上がりました」
「ありがとうございます! いつもコンビニ弁当になりがちなので、すごく助かります!」
「白部せんせー、あの……」
「うん、ノーラちゃんでしょ? 上がっていって」
アメリが白部さんのお宅で切り出す要件といえばノーラちゃん。というわけで、恐縮ながら、上がらせていただくことに。
白部さんが引き戸を開けると、ノーラちゃんが「にゃーん」と出迎えてくれました。
「お二人に慣れるの、ずいぶん早いですねー。私、二ヶ月ぐらいかかったものですけど」
「いえいえ。白部さんが、人馴れさせてくださったおかげですよ」
例によって座布団を勧められ、白部さんがお茶を淹れてくださると仰るので待っていると、ノーラちゃんがとことこアメリに近寄って「すりすり」を始めました!
「おお?」
「あらー。アメリちゃんも、ノーラちゃんに気に入られたみたいだねー」
白部さんが、お茶を配膳しながらアメリににこやかに話しかける。
「もしかしたら、撫でさせてくれるかも知れないよ?」
そう言われて、アメリが恐る恐る背に手を乗せると、ノーラちゃんは抵抗せずに、撫で撫でさせてくれました。
「すごいねー、アメリ。猫耳人間だから、慣れるのが早いとか?」
「おおー? 白部せんせー、そうなの?」
「そういえば、そのデータは取ったことがなかったですね。今度、研究してみましょうか」
冗談か本気か、そんなことを仰る白部さん。
互いにうっとりする、ノーラちゃんとアメリ。ほほえま!
あまり長居しても悪いのでほどほどで切り上げ、例によって最後に白部さんにぎゅーっとハグされて、私とともに名残り惜しそうに帰宅するアメリでした。
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