やって来ました、ダイナー! 気分は宝探しなこの雑多な感じ、楽しいですねえ。
「いやー、すんませんす。付き合っていただいちゃって」
五階、ダイナーの下層フロアに降り立つと、さつきさんが恐縮する。
「いえいえ、私も『みどりん』……白部さんからいただいたポトスの、新しい鉢と土が欲しかったところでしたので」
「もう、そんなに大きくなったんですか」
ちょっと感動気味な白部さん。
「はい。アメリのお世話ですくすく育って、そろそろ植え替えたほうがいいかなという大きさになりました」
「大事にしてくれてるんだ。ありがとうね、アメリちゃん」
白部さんがアメリの頭をキャスケット越しに撫でると、「うん!」と、お陽様のような笑顔で返事する。白部さんもまた、お陽様のような笑顔を返す。
「というわけで、私たちは上に行くわけですけど、皆さんは?」
園芸用品は六階にある。
「わたしは、クロちゃんの新しい折り紙と、自分用に化粧品でも見ていこうかと」
ふむふむ。まりあさんは五階組ね。値段の割にけっこー侮れないのよね、百均の化粧品って。
「私は、ノーラちゃんが何か気に入るおもちゃでもないかと見てみようと。なので、五階ですね」
「さつきさんは?」
「それが……実に色々頼まれてて。なんで、上も下もまんべんなく回る感じっすね」
スマホを見ながら答えるさつきさん。リストアップしてあるんだろうな。
「どこで合流します?」
「二階の『サンバックス』前でいかがでしょう?」
白部さんが「サンバ」を提案してくる。実際、今こうして八人で固まって話し合ってるだけでも、大層邪魔くさいからね……。
「では、そうしましょう」
というわけで、私とさつきさん、ミケちゃんはエスカレーターを昇り、上へ。
「じゃあ、自分らはプラスチックコーナーに行くっす」
さらに二手に分かれ、私たちは園芸用品コーナーへ向かうのでした。
土と鉢をかごにイン! あとは……。
「アメリ、何か欲しい物ある?」
「んー……ぬいぐるみが見たい!」
「りょーかい~」
同フロアのぬいぐるみ売り場に来たけれど、アメリ的にビビッとくるのはなかったようです。
さつきさんたちは……ぱっと見、見当たらないな。とりあえず、お会計しちゃいましょ。
五階で会計を済ませ、二階のサンバ前で、アメリとおしゃべりしながら待ち合わせなう。
白部さん、まりあさんの順に合流。白部さんの荷物はかなり小さい。組み合わせて遊ぶ、恐竜の骨格フィギュアを買ったそうです。
そしてかなり遅れてさつきさんたちが合流。うわあ、すごい大荷物。ミケちゃんも、自分のぶんなのだろう。少し荷物を持っている。
「お待たせしたっすー」
「いえいえ。それにしても、すごい荷物ですね。それで書店やスーパー巡りは大変ですよね……」
「っすねー。そこのベンチで休んでるんで、買い物が終わったらスマホで呼んでくださいっす。食料はすでに十分あるんで、頼まれてないっすから」
顎で、高架歩道のほうを示す彼女。たしかに、あっちにはベンチがあったね。
「わかりました。では、なるべく早く済ませますので」
さつきさんに一礼し、一階の「麗文堂」目指す。さつきさんはミケちゃんとともに、えっちらおっちらとベンチに向かうのでした。
◆ ◆ ◆
「『ねこきっく』も単行本も、新しいのまだ出てないですよね?」
エスカレーターで麗文堂に降りると、まりあさんが話しかけてきました。
「はい。どちらも今週末ですね」
「そうですか……。また週末に、こっちに来ないとですねー」
残念そうなまりあさん。あのへんにも、書店があったらいいのにねー。
ねこきっくはコンビニでも売っているけど、さすがに「あめりにっき」はコンビニに並ぶほどのメッジャータイトルではない。
ともかくも、一同児童書コーナーへ。
ノーラちゃんはゴッドレンジャーと恐竜の本、クロちゃんは子供向けの将棋指南書を探す模様。
私たちは、子供向けの科学実験本や、魚類図鑑や動物図鑑を手に取る。アメリも、水生生物から生物全般に興味対象が広がったようだ。
こうして、お会計。図鑑って結構値が張るけれど、可愛いアメリのためだもの、惜しみなく買っちゃいますとも!
土と本が重いけど、引き続き頑張って「桜京ストア」へ。
三方に別れ、めいめい店内を巡る。ふう、土と本をカートの下に置いたらかなり楽になった。
さて、今日の晩ごはんは何にしましょうね。
「アメリ、何か食べたいのある?」
「なんでもいーよー!」
お陽様笑顔で、いつもの力強いお言葉。困ったね。
とりあえず、チラシチェックから入りましょうか。
ほむ、アサリがお安い。そうだなー、昨日はお刺身とかだったし、今日は洋食にしよう!
まずは主役のアサリ。えーと、アレを作るには、あとは白ワインか。ほかの具材や調味料はあったはず。調理用だから安いのでいいよね。
あとは、もう一個のアレ用にじゃがいも、玉ねぎ、人参~。よし、こんなもんかな。
アメリにお菓子が欲しいか尋ねると、特に要らないとのこと。コラ・コーラを真留さんにお出ししなかったから、残ってるしね。
じゃ、お会計してレジから少し離れたスペースで合流しましすかー。
◆ ◆ ◆
その後、さつきさんたちとも速やかに合流し、まりあさんを送り届けて無事帰宅。ふう~、疲れた。でも、楽しかったな。またこうやって、大勢でお出かけしたい。
さーて、アサリの砂抜きをして、アメリと一緒にみどりんを植え替えたら、お仕事再開ですよー!
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