神奈さんとアメリちゃん

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第二百五十四話 古風な遊びを愉しむ会、発足!

公開日時: 2021年6月5日(土) 21:01
更新日時: 2021年6月6日(日) 16:14
文字数:2,659

 今日は開幕十時から、美容院「nana」さんにお邪魔しています。アメリの暇つぶしはポータブルテレビも考えたけど、イヤホンが帽子の中に消えるという奇妙な絵面になってしまうので、普通に今ある本に。


 馴染みの店員さんからどうされますか? と訊かれたので、この先春になることを考え、相談の末思い切ってミディアムに。ああ、頭洗ってもらうのほんと気持ちいい……。プロはすごいわあ。


 髪もずいぶん軽くなり、お会計。う~ん、さっぱり!


 続いて、アメリを連れて「麗文堂本屋」さんへ。アメリが例によって興味を示したのは生き物の図鑑や子供向け科学読本。植物図鑑と深海魚図鑑、科学うんちく本を買い、そのまま「ゆらりと駅ビル」の百均「ダイナー」へ。そこで、色々細々としたものを買い込む。残念ながら、アメリがビビッと来るぬいぐるみはなかった模様。


 あとは、ちょっと歩いて「亀池堂和菓子屋」さんへ。おなじみ、おせんべい、鮎最中、お団子のセットを買い、市営駐車場にUターン。北の電気店へ車を走らせる。


 こちらでは愛想の良い店員さんとあれこれ相談して、思い切ってお高め高性能の炊飯器をゲット。これから、アメリも使っていくことになるものだもんね!


 しかし、うちの子旧炊飯器ともついに別れかー。今までありがとうね。捨てるのも忍びないし、置いといて邪魔というほどでもないので、「アルカリ売買サイト」で大事に使ってくれそうな買い手を探そう。


 そして、お昼は北西「すずらん通り」のずらりと並んだキッチンカーからチョイス! 今回は、ホットドッグとコーラををいただくことに。うーん、シンプルにして美味しい! ザワークラフトがいい味出してるわね!


 食後は電気店駐車場に戻り発車。これで、駅側の用事のもろもろは終了です!



 ◆ ◆ ◆



 ただいまの後は、おニューの炊飯器をさっそく設置。


「じゃーん! どうですか、アメリちゃん!」


「おお~! ぴかぴか!」


 入手した本を読んでいたアメリが顔を上げ、瞳をキラキラと輝かせる。


「近いうちに、ごはんの炊き方も教えてあげるからね。まあ、まずは私が新品の使い方に慣れてからだけど」


 続いて、旧炊飯器の写真を構図を変えていくつか撮り、「大事に使ってくださる方に」というメッセージとともにアルカリへ出品。今まで、本当にお疲れ様でした。


 しかし、もう一時か。まりあさんちへ遊びに行くにはちょっと半端な時間ね。ルビ振りしてましょ。


 お嬢様と一緒に寝室へ~。



 ◆ ◆ ◆



 おっと、アラームが。もう二時か。お出かけの準備しないと。まだアメリに自転車使わせるのは不安だから、今日は歩き。早めに出ないと。


「アメリー。なんか持ってくー? 歩きだから重いものは難しいと思うけど」


「んー、クロのうちのおもちゃで遊ぶ~」


 ほいほい。まりあさんち、もうちょっと近いか臨時駐車場があったらいいのにね。まあ、仲良しのかくてるの皆さんと白部さんがこんな至近距離にいて、贅沢な悩みだけど。逆に、まりあさんが不便よねえ。


 ん、そろそろ時間ですね。お菓子の準備、ヨシ! それじゃあ、行ってきーましょ!



 ◆ ◆ ◆



インタホンを鳴らすと、まりあさんが応対いでました。


 互いに「こんにちは」と挨拶を交わした後、ややあって彼女が門を開けて出てくる。


「アメリちゃん、こんにちは。神奈さん、髪カットされたんですね。とっても似合ってますよ!」


「ありがとうございます」


 ふふ、やっぱり髪型を変えたのを目ざとく褒められるのは嬉しいもんです。


「こんにちはー! クロは?」


「今、『松風盆栽』のお世話してるところ。どうぞ、上がってください」


「お邪魔します。こちらどうぞ、お菓子です」


 お菓子の袋を手渡すと、「ありがとうございます。お茶と一緒にお出ししますので、リビングでくつろいでいてください」と、お通しされる。


 リビングの窓からお庭を拝見すると、熱心に松風の手入れをしているクロちゃんの姿が視界に入った。


 窓を開け、「こんにちはー!」と声をかけると、「あ、こんにちは。今、中に戻ります」と一礼して、玄関に向かう彼女。


 ややあって、「ただいま」「おかえりなさい」というクロちゃんとまりあさんの声が聞こえ、小さな足音がこちらへ近づいて来る。


「アメリもこんにちは」


「こんにちはー!」


 しゅびっと挙手して、元気に挨拶するアメリ。


「素朴な疑問なんだけど、クロちゃんって神社とかお寺好きだったりする?」


 帰省のとき抱いた所感を思い出し、何気なく尋ねてみる。


「はい。駅のところにある神社、たまにお姉ちゃんと一緒に参拝に行ってますよ。逆に、お祭りなんかのときは人が多すぎて苦手ですけど」


 おお、さすが侘び寂び幼女。


「そっかー。福井は立派なお寺や神社が多いから、いつか案内してあげたいねえ」


「あら、盛り上がってますね」


 クロちゃんと神社仏閣トークをしてると、まりあさんがお茶菓子を手にリビングにいらした。配膳する彼女に、アメリと一緒にお礼を述べる。


「わたしも、福井旅行してみたいですねえ」


「でしたら、大型連休のときにいかがでしょう? ご案内しますよ」


「ありがとうございます。検討しておきますね」


 にこやかに微笑む彼女。


「あー。そうなると、かくてるの皆さんや白部さんもお誘いしたいですね!」


 何だか、夢が広がりますねえ!


「ねーねー。クロは、折り紙とお手玉とあやとり以外に、どんなことして普段遊ぶの?」


「将棋をよくお隣の戸成さんと指してるよ。……あとは、おはじきとかるた買ったから、今度みんなとしてみたいなって」


 おはじきにかるたかー。相変わらず、古風なのがとことん好きなのね。


「おおー……どっちもよくわかんない」


「おはじきは、ガラスの円盤って説明したらいいのかな? それを文字通り弾く遊びだね。かるたは、『いろはにほへと』っていう、昔の五十音に合った絵のカードを取る遊びだよ」


 ほむ。さすがに百人一首じゃなくて、いろはがるたのほうか。でも、そのうち百人一首のほうにも手を出しそうね。


 おっと、お茶が冷めるといけない。お菓子と一緒にいただきましょ。……まりあさんがれてくださるお茶、相変わらず美味しいなあ。いいお茶葉使われてるんだろうな。クロちゃんが緑茶党だし。


「あの、良かったら、あとでおはじきとかるたやってみませんか?」


 クロちゃんからの、ひょんなお誘い。


「私は構わないよ。アメリは?」


「やってみたい!」


 新たな遊びに、キラキラと瞳を輝かせる。


「じゃあ、お菓子食べ終わったらやりましょう。お姉ちゃんも一緒にやる?」


「そうね。せっかくクロちゃんがお年玉で買ったのだし、やろうかしらね」


 微笑むまりあさん。そんなわけで、古風な遊びを愉しむ会が発足したのでした。続く!

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