神奈さんとアメリちゃん

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第四百四十七話 冷やし中華はじめました

公開日時: 2021年12月28日(火) 21:01
更新日時: 2021年12月29日(水) 11:27
文字数:2,169

「おねーちゃん、今日は何作るのー?」


 帰宅後、手を爪の間まできれいに洗ったアメリが、台所で声をかけてくる。


「今日は一段と暑いからね。冷やし中華はじめちゃいます!」


「おお?」


 定番ネタがわからないアメリちゃんに、きょとんとされてしまう。


「あー……中華料理屋さんあるじゃない?」


「うん」


「そこでね、夏場になると『冷やし中華はじめました』って看板が出るのが、夏の風物詩なのよ」


 「へー」と、どうにも関心が薄い愛娘。


「冷やし中華ってなーに?」


「ああ、そこからか。スマホで見てごらん」


 ポッケから取り出し、ぽちぽちと検索する。


「おお? ラーメン?」


「まあ、その親戚みたいなものかな。じゃあ、作っていきましょー!」


「おおー!」


 二人で拳を突き上げ、気合十分! 頑張りまっしょい!


 おなじみの三分でクッキングする、脳内BGMオン!


「アメリちゃん。きゅうり一本、トマト一個、ハム四枚を冷やし中華のレシピ動画を見ながら切ってもらえますか?」


「任せて!」


 野菜を洗い、調理に取り掛かる愛娘。


 ワタクシは、寸胴鍋にお湯を沸かし、薄焼き卵を作ります。じゅじゅうっとな。


 卵を冷ましつつ、麺を沸いたお湯にイン! くるくる~っとかき混ぜます。


 よし。あとは茹で上がりまで放置。調味液をぱぱっと調合しちゃいましょう。


 お酢大さじ四杯、お砂糖と白煎りごま小さじ四杯ずつ、ごま油小さじ二杯、お醤油小さじ一杯、お塩少々。これを混ぜまーす。


 お、ちょうどいい感じにタイマーが鳴った! 麺をザルに揚げて、流水で冷やしまーす。


 十分冷えたら、水切り。


 卵も冷めた頃なので、錦糸卵に切っていきましょ~。これがめんどいんだ。


「できた!」


 お。手早いですね、アメリちゃん。


「ありがとー。置いといてー」


 卵を切るべし、切るべしぃ! ……よし、できた!


「一緒に盛り付けていこう」


「うん!」


 麺から順に、盛り付けていく。アメリちゃんは動画を参考にしながら盛り付けなう。


 最後にタレをかけたら、完成~!


「「いえ~い!」」


 パチン! おなじみのハイタッチ!


「じゃあ、烏龍茶れましょー」


 ティーポットで濃い目にで抽出した烏龍茶を、氷を入れたグラスに注ぎ、アイス烏龍茶にする。


 互いにエプロンを外し、着席。


「「いただきます!」」


 合唱&合掌。


 つるる~。夏はやっぱ、これとそうめんよねー!


 アメリちゃんが切ってくれた具材も上出来! 本当に、包丁の扱いが上手くなったもんです。


「おお~! 酸っぱくて美味しい!」


「ねー。美味しいねー」


 新たな味覚に、愛娘も満足そう。良きかな良きかな


「「ごちそうさまでした!」」


 同時に完食! シンクロナイズドスイミングに挑戦したい気分。


 片付けの後は、歯磨きとお仕事。アメリちゃんは、例によって調べ物に埋没。依存症にならないように気をつけないとなー。



 ◆ ◆ ◆



 夜。LIZEに着信が。近井さんだ!


 PC版を立ち上げ、チャットに参加する。


「アメリも良かったら、チャット入って」


「おお? わかった~」


 「こんばんは」とご挨拶すると、皆さんからもご挨拶をいただく。


「お待たせしました。こちらにどうぞ」


 URLが貼られるので、クリックしてみる。


 おお、「猫耳人間交流掲示板 (仮) No.001」というタイトルのBBSが。トピックごとにレスを付けていくタイプか。


「入られましたか? 部屋を小分けにしてまして、こちらのURLは皆さん専用のものです」


 近井さんらしき人が、「管理人」名義で書き込む。


「とりあえず、実名は避けて、適当なハンドルネームで書き込んでみてください」


 ほむほむ。


「おねーちゃん、ハンドルネームってなーに?」


「えっとね、仮の名前のことだよ。ネットは色んな人が見るから、特定されないようによく仮名を使うんだ」


「おお~」


 「雨子」という名前で「こんばんは~!」と書かれる。


「これ、アメリだね?」


「うん!」


 リアルのほうで本人確認。私は、どうしようかな……。適当に「ねこにゃー」にしてみるか。


 こうして、誰が誰だかわからないまま話を進めていくけど、親しい仲だから、書き込み内容でだいたい誰の発言かわかるようになってきた。


 「ゆっきー」さんとか「さっちゃん」さんは、一発で誰かわかったけどね。


「使い心地はいかがですか?」


 管理人さんが塩梅を尋ねてくる。


「悪くないと思います。殺風景なのは、私が改善しないとですね」


「『たち』っすよ。自分も協力するっす!」


「ゆっくりやっていきましょう」


 さつきさん確定なさっちゃんさんと、多分まりあさんと思しき「ローズマリー」さんがそう発言する。


「ちなみに、部屋を分けたのはなんでですか?」


「ほかの方をお招きした際に、様子を見るためです。いきなり皆さんのところに混ぜてしまうわけにもいきませんから。『信用できそうな人だ』と思ったら、更に別の部屋で合流していただく……というような使い方を想定しています」


 と、管理人さん。なるほど。


「でも、わたしたちだけで固まるなら、LIZEでいい気もしますね」


 由香里さんと思しき、「ゆり」さんが疑問を呈する。


「テスト運用ですから。試用して問題なさそうだったら、世界公開するつもりです」


 管理人さんの返答。おお! 世界! そうよねー。ネットって世界につながってるんだもんねー。


「とりあえず、しばらく身内で回して具合を試してみましょう」


 そう管理人さんがまとめ、一同納得。


 さーて、私たちを取り巻く環境が、また大きく前進しましたよ!

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