ただいまーっと!
手洗い&うがいをして、冷蔵庫に食品を入れてー……そうだ。
「アメリちゃん。ひとつ、ごはん炊いてみますか」
「おお~! やるやる!」
相変わらず士気が高いですねえ、アメリシェフ。
「じゃあね。このお米の計量カップあるでしょう。このカップ一杯ぶん米びつからすくってちょうだい」
「……こう?」
計量カップにちょっと山ができるぐらいすくうアメリちゃん。
「ちょっと多いから、余分なぶんは指ですーって落としちゃおう」
「こうかな?」
指で撫で落とすと、ちょうど一カップになる。
「そうそう。これを炊飯器に入れてね」
ざらざらーっと、お米が釜に投入される。
「次に、水二百ミリリットルを入れよう」
水用の軽量カップを手渡すと、量を測り注ぐ。
「はい、よく出来ました。あとは、この赤いボタンを押して待つだけだよー」
「おお~」
キラキラ瞳を輝かせるので頭を撫でると、「うにゅう」と気の抜けた声を出す。
「さて、寝室で待機~といきたいところだけど、焼売はちょっと時間がかかるのよ。だから、今から作り始めましょー!」
「おおー!」
二人で拳を突き上げる。
それでは、毎度おなじみ三分でクッキングする脳内BGMスイッチオン!
「まず、玉ねぎ二個をみじん切りにしちゃいます……が、めんどくさいのでフードプロセッサーを頼っちゃいましょう。というわけで、一緒に皮剥きね」
一緒に上下端を切り落とし、皮を剥いてプロセッサーにイン! ガーッと粗めのみじん切りに。
「で、これに片栗粉をまぶすですよ。大さじ四杯、まぶしてみてくれるかな?」
「はーい」
言われた通りにまぶす。
「もうちょいまぶそうか。……おっけー。次に、豚肉さんを味付けしてこねるですよ。調味料は私が調合しちゃうね」
醤油大さじ一杯、オイスターソース大さじ半分、お砂糖、ごま油、鶏ガラスープの素小さじニ杯ずつ、チューブ生姜小さじ一杯、お塩小さじ四分の一、胡椒ちょいちょい……よし!
「アメリ、こねる?」
「やるー!」
頑張り屋のアメリシェフが一所懸命こね始める。
「疲れたらいつでも言ってね。代わるから」
「任せて~!」
こねこね、こねこね。
「粘り気が出たらやめていいいよ」
しばらくこねていると粘ってきた。
「ん、ストップ。次に、よっと」
焼売の皮の角を落とし、餡に混ぜ込む。
「これで、冷蔵庫で一時間寝かせまーす」
「おお~。お肉さんたち、おやすみ~」
焼売の皮はラップでくるみ、こちらも再度冷蔵庫へ。
「そんじゃ、寝室行こうか」
「はーい」
手を洗い、フードプロセッサーもきれいにしてゴートゥするのでした。
◆ ◆ ◆
待ち時間の間、漢字の小テスト。おお、正答率八割!
「すごい、すごい、アメリちゃん!」
パチパチと拍手すると、「えへへ」と照れる。可愛いなあ、うちのお姫様は。
「本当にすごいね。小四の漢字まで読めるようになったら、ずいぶん難しい文章も読めるようになるよ」
「おお~、楽しみ!」
ふんすと気合を入れるお嬢様。
ここで神奈先生が颯爽と漢字指導したいところだけど、漢字の読み書きは反復学習しかないのよねえ。がっくし。
やむなく原稿の下書きを再開し、アメリちゃんとの戯れは切り上げるのでした。お仕事も大事だからねー。
そうこうして過ごしていると、スマホのアラームが鳴りました!
「はいはーい。お時間でございます、お嬢様。焼売作りに行きましょう~」
「おお~」
互いに筆を止め、キッチンにごー!
◆ ◆ ◆
さあ! 再びいつもの脳内BGMいってみよー!
「そいじゃ、やっていきましょーか、アメリシェフ。こうやってお肉を皮に載せてですね」
スプーンで餡を適量すくい、皮にオン!
「人差し指と親指で輪っか作って皮持って、こう、きゅっきゅまとめていくですよ」
きゅっきゅっ。
「あとは、きれいに整えるのです。こんな感じ」
おなじみの焼売の形ができあがる。
「おお~! やってみる!」
最初は苦戦していたけども、さすが飲み込みが早く、割となんなく焼売を作れるようになっていく。
「その調子です、シェフ」
きゅっきゅと焼売を作っていく私たち。都合、三十個出来上がりました。
「あとは、これを蒸せばOK!」
寸胴鍋に蒸し用の器具をセットして水を張り、器具の上にクッキングシートを敷く。そして、焼売を並べて中火で蒸し焼きに。タイマーを十五分にセット!
ごはんも蒸し終わっているので、切っておく。
「あとは待つだけだよー。動画とテレビ、どっち見る?」
「動画~。猫ちゃん見たい!」
「はいはーい。ちょっと待ってね~」
動画サイトを立ち上げ、一緒に視聴。アメショは可愛いなあ~。アメリのシルバータビーの髪を撫でて、かつてを懐かしむ。
のどかな時間を過ごしていると、アラームが鳴りました!
「出来上がりましたよー。今用意するからね」
火を止め、菜箸で焼売をつまんでいく。あちち。
……よし、移し終わった!
とりあえず、焼売を私は八個、アメリは七個取皿に載せる。
ごはんをよそい、お茶を注いだらセット終了!
「はーい、これが焼売ちゃんの完成図でーす。からしをつけて食べると美味しいんだけど、無理そうだったらつけなくていいからね」
アメリ用の小皿にからしと醤油を別々に用意する。私のほうは、両方混ぜてしまう。エプロンを外し、着席~。
「じゃあ、いただきますしよう。いただきます!」
「いただきます……! 辛い……」
最初の一個にちょっとからしをつけてみたアメリちゃんだけど、どうも苦手みたいで、二個目はお醤油だけで食べる。やっぱり、ツンと来る系の辛味が苦手なのね。
「美味しい!」
打って変わって、キラキラと瞳を輝かせるお嬢様。良き哉良き哉。
私もぱくっ。うーん、美味しい! 二人の愛のなせる味ね!
二人仲良くごちそうさま。残りの焼売は冷めたら冷蔵して明日のお昼にでもしましょ。
食後は下書き再開。今日中に芦田さんにバトンを渡すべく、ラストスパート! 頑張るぞー!
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