今日も今日とてまりあさんの看病をした後、かくてるハウスに三人娘の面倒を見るためお邪魔しています。ちなみに先ほど、お昼としてお好み焼きを作り、みんなで食べ終わったところ。
まりあさんも順調に快方に向かっていて、私がお仕事に突入する前に治りそうで良かった。
「今日は何するー?」
「お勉強したい!」
私の問いかけにしゅびっと挙手したのはアメリ。相変わらず向学心旺盛ね!
「ミケちゃんとクロちゃんはどうかなー?」
「最近優輝たち仕事が忙し目で、あんまり教えてもらえてないのよね。だから、ミケもアメリに賛成よ!」
胸を反らし同意するミケちゃん。
「二人がそう言うなら、ボクもそれでいいかな……」
というわけで、勉強会に決定! 問題は、何を教えるかだけど……。何がいいかな?
とりあえず、優輝さんからコピー用紙のおすそ分けと筆記用具貸していただききましょ。一旦中座。
◆ ◆ ◆
というわけで、戻り。
「ねえ、二人は二桁の足し算と引き算できる? あと筆算」
ミケちゃんとクロちゃんに問うと、こくこくと頷く。
「三桁は?」
「バッチリよ!」
「ボクはまだ……」
ふむ。
「じゃあ、ミケちゃんはクロちゃんに教えてあげてくれるかな? 私はアメリに教えるね」
というわけで、授業開始。といっても、二桁から桁が一つ増えただけの応用だから、筆算なら特に難しいこともなく、二人ともすぐに三桁の足し算と引き算をマスターしてしまった。やっぱり、アメリに限らず猫耳人間は飲み込みが早いという、白部さんのお話は本当だったのね。
「じゃあ、次のステップに進んでみようか。ミケちゃんとクロちゃんは掛け算できるかな?」
ふるふると、首を横に振る二人。
「よし! じゃあ掛け算を教えるね!」
トランプを伏せて、三枚並べる。
「ここに三枚のカードがあるよね?」
三人が、こくこくと頷く。
「じゃあ、これがもう一セットあったら合計何枚かな?」
「三足す三で六枚ー!」
アメリが挙手して、元気良く答える。
「うん、正解。じゃあ、さらにもう一セットあったら?」
「六足す三で九枚!」
今度は、ミケちゃんが元気良く答える。「正解です!」と言うと、ドヤ顔で胸を反らす。
「じゃあ、三枚のセットが九個あったら?」
「えーと……三足す、三足す……書かないとわかんない……」
筆算を始めるクロちゃん。
「あ、ちょっとその計算はストップしてね。まあ、こんな風に何度も足し算するの大変よね?」
うんうん、と頷く三人。
「そこで便利なのが、これから教える『九九』なのです! ちょっと待っててね……」
紙に、2×2=4から9×9=81までの一覧と「ニニンガシ」「二サンガロク」などの暗記法を書く。ふう、疲れた。
「このバッテンは『掛ける』って読むんだけど、前の数が、後ろの数だけありますよーって意味なのね。で、それをまとめたのが九九。たとえば、さっきの三掛ける九を見てみるといくつかなー?」
「二十七!」
「正解です!」
三人が元気良く答える。良き哉良き哉。
「まあ、こんな感じの早見表なのね。覚えておくと、すっごく便利。じゃあ、みんなで書き取りしてみよー!」
拳を突き上げ宣言すると、アメリとクロちゃんから「おおー!」「はい」という声が返ってくるけど、一人ミケちゃんが「ちょっと待って」と否を唱えた。
「ほいほい、何かな?」
「なんでゼロと一はこの一覧にないの?」
「いい質問です! ゼロはゼロがいくつあってもゼロにしかならないのね。たとえばトランプカードが一枚もないのに、それがいくつあるかって数えても意味ないでしょ? で、一は普通にそのままの数にしかならないからね。カードが九枚あったら、九枚だってすぐわかるでしょ?」
「なるほど……!」と、興味深げに感心するミケちゃん。
「というわけで、ミケちゃんも書き取りに進んでOKかな?」
「わかったわ! 任せて!」
というわけで、三人の書き取りを見守りなう。みんな熱心だなー。
一時間ほど経ったので、「はいじゃあ、書き取りを裏返しに伏せてストーップ。この一覧表も、一旦伏せるね」と出題体勢を整える。
「じゃあ、まずこれの答えはいくつかな?」
紙に、3×3=と書く。
「九!」
「正解です!」
元気にハモる三人。良き哉良き哉。それぞれの頭を撫でると、照れくさそうにする。アメリはおなじみの「うにゅう」という気の抜けた声。
こうして次々に出題していくと、みんなが元気に答える。ただ、まだ正答率は二割といったところ。
「うん! 習いたて一時間で、これはすごいよみんな!」
ぱちぱちと拍手すると、アメリとクロちゃんは照れくさそうにし、ミケちゃんはドヤ顔で胸をそらす。子供は褒めて伸ばす! これ、私のモットー!
「よし、じゃあ次は息抜きタイムだよー。おやつを作ろう! おやつができたら、それ食べながら九九の続きやろうね」
「おお~? またドーナツ?」
「うーん、それは冷蔵庫を見てのお楽しみかな。じゃ、みんなで移動~!」
カルガモの親子のように、ぞろぞろと後をついてくる三人娘を引き連れ台所へ。
なんか、他人様の家の台所で好き勝手やってるけど、優輝さんから「食材や調味料は自由に使ってもらってOKですよ」とお墨付きをいただいてるので、もーまんたい!
さーて、何があるかな~?
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