神奈さんとアメリちゃん

退会したユーザー ?
退会したユーザー

第百二話 三桁の足し算・引き算と九九を教えよう!

公開日時: 2021年4月22日(木) 19:01
文字数:2,093

今日も今日とてまりあさんの看病をした後、かくてるハウスに三人娘の面倒を見るためお邪魔しています。ちなみに先ほど、お昼としてお好み焼きを作り、みんなで食べ終わったところ。


 まりあさんも順調に快方に向かっていて、私がお仕事に突入する前に治りそうで良かった。


「今日は何するー?」


「お勉強したい!」


 私の問いかけにしゅびっと挙手したのはアメリ。相変わらず向学心旺盛ね!


「ミケちゃんとクロちゃんはどうかなー?」


「最近優輝たち仕事が忙し目で、あんまり教えてもらえてないのよね。だから、ミケもアメリに賛成よ!」


 胸を反らし同意するミケちゃん。


「二人がそう言うなら、ボクもそれでいいかな……」


 というわけで、勉強会に決定! 問題は、何を教えるかだけど……。何がいいかな?


 とりあえず、優輝さんからコピー用紙のおすそ分けと筆記用具貸していただききましょ。一旦中座。



 ◆ ◆ ◆



 というわけで、戻り。


「ねえ、二人は二桁の足し算と引き算できる? あと筆算」


 ミケちゃんとクロちゃんに問うと、こくこくとうなずく。


「三桁は?」


「バッチリよ!」


「ボクはまだ……」


 ふむ。


「じゃあ、ミケちゃんはクロちゃんに教えてあげてくれるかな? 私はアメリに教えるね」


 というわけで、授業開始。といっても、二桁から桁が一つ増えただけの応用だから、筆算なら特に難しいこともなく、二人ともすぐに三桁の足し算と引き算をマスターしてしまった。やっぱり、アメリに限らず猫耳人間は飲み込みが早いという、白部さんのお話は本当だったのね。


「じゃあ、次のステップに進んでみようか。ミケちゃんとクロちゃんは掛け算できるかな?」


 ふるふると、首を横に振る二人。


「よし! じゃあ掛け算を教えるね!」


 トランプを伏せて、三枚並べる。


「ここに三枚のカードがあるよね?」


 三人が、こくこくとうなずく。


「じゃあ、これがもう一セットあったら合計何枚かな?」


「三足す三で六枚ー!」


 アメリが挙手して、元気良く答える。


「うん、正解。じゃあ、さらにもう一セットあったら?」


「六足す三で九枚!」


 今度は、ミケちゃんが元気良く答える。「正解です!」と言うと、ドヤ顔で胸を反らす。


「じゃあ、三枚のセットが九個あったら?」


「えーと……三足す、三足す……書かないとわかんない……」


 筆算を始めるクロちゃん。


「あ、ちょっとその計算はストップしてね。まあ、こんな風に何度も足し算するの大変よね?」


 うんうん、とうなずく三人。


「そこで便利なのが、これから教える『九九』なのです! ちょっと待っててね……」


 紙に、2×2=4から9×9=81までの一覧と「ニニンガシ」「二サンガロク」などの暗記法を書く。ふう、疲れた。


「このバッテンは『掛ける』って読むんだけど、前の数が、後ろの数だけありますよーって意味なのね。で、それをまとめたのが九九。たとえば、さっきの三掛ける九を見てみるといくつかなー?」


「二十七!」


「正解です!」


 三人が元気良く答える。良きかな良きかな


「まあ、こんな感じの早見表なのね。覚えておくと、すっごく便利。じゃあ、みんなで書き取りしてみよー!」


 拳を突き上げ宣言すると、アメリとクロちゃんから「おおー!」「はい」という声が返ってくるけど、一人ミケちゃんが「ちょっと待って」と否を唱えた。


「ほいほい、何かな?」


「なんでゼロと一はこの一覧にないの?」


「いい質問です! ゼロはゼロがいくつあってもゼロにしかならないのね。たとえばトランプカードが一枚もないのに、それがいくつあるかって数えても意味ないでしょ? で、一は普通にそのままの数にしかならないからね。カードが九枚あったら、九枚だってすぐわかるでしょ?」


 「なるほど……!」と、興味深げに感心するミケちゃん。


「というわけで、ミケちゃんも書き取りに進んでOKかな?」


「わかったわ! 任せて!」


 というわけで、三人の書き取りを見守りなう。みんな熱心だなー。


 一時間ほど経ったので、「はいじゃあ、書き取りを裏返しに伏せてストーップ。この一覧表も、一旦伏せるね」と出題体勢を整える。


「じゃあ、まずこれの答えはいくつかな?」


 紙に、3×3=と書く。


「九!」


「正解です!」


 元気にハモる三人。良きかな良きかな。それぞれの頭を撫でると、照れくさそうにする。アメリはおなじみの「うにゅう」という気の抜けた声。


 こうして次々に出題していくと、みんなが元気に答える。ただ、まだ正答率は二割といったところ。


「うん! 習いたて一時間で、これはすごいよみんな!」


 ぱちぱちと拍手すると、アメリとクロちゃんは照れくさそうにし、ミケちゃんはドヤ顔で胸をそらす。子供は褒めて伸ばす! これ、私のモットー!


「よし、じゃあ次は息抜きタイムだよー。おやつを作ろう! おやつができたら、それ食べながら九九の続きやろうね」


「おお~? またドーナツ?」


「うーん、それは冷蔵庫を見てのお楽しみかな。じゃ、みんなで移動~!」


 カルガモの親子のように、ぞろぞろと後をついてくる三人娘を引き連れ台所へ。


 なんか、他人ひと様の家の台所で好き勝手やってるけど、優輝さんから「食材や調味料は自由に使ってもらってOKですよ」とお墨付きをいただいてるので、もーまんたい!


 さーて、何があるかな~?

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート