ぱんぱかぱーん! ついに来ました、大型連休! すなわち帰省と親愛なる友人への故郷案内!
ただ今回一つ問題があって、十一人で東F駅に移動するわけですが、W町公園を通るのは市のマイクロバス。これにキャリーバッグ持った十一人が乗り込んだら、大迷惑にもほどがあるわけで。
なのでみなさんと相談し、まりあさんは市バス。我々は少し離れたところにあるH街道交差点というバス停から民営の大きな桜京バスに乗り、東F駅で合流するという算段になりました。
というわけで、七時五十三分発のバスにぞろぞろと乗車。九人でもたいがい迷惑な気がするけど、マイクロバスよりはだいぶマシでしょう。猫耳フルオープンなうちの子らが注視されるのも、さすがに慣れました、ハイ。
しかし、眠い。私、意識がしゃっきりするのがいつもこのちょっと後ぐらいなので、鍵とか掛け忘れてないか心配だな。多分大丈夫だと思おう。ふわあ……。
「いやー、相変わらずですねえ」
と苦笑するのは優輝さん。
「メンボクないです」
「いえいえ。あたしだって、二階以上ダメですからね。人間、苦手の一つや二つありますって」
笑顔でフォローをいただく。でも、私の苦手はもう二、三個はありそうな気がする。
「しかし、これK駅発なんですねえ」
少し遠い目をなさる。そういえば、K市のご出身だっけ。
「この路線はよく使ってたんですか?」
「うーん、正直F市に来るときはたいていあのバンか自転車でしたし、そもそもF市に来る用事があんまりなかったもので」
恐縮そうになんともいえない顔をする彼女。まあ、言われてみれば、私も逆にK市にはほとんど行ったことないものね。
めいめい会話をして時間を潰していると、東F駅に到着!
ほかのお客さんともども、ガタゴトと、キャリーバッグとともに一人ひとり下車していく。
「やー、何だかこの時点で疲れたっすねえ」
「おめーはもっと体力つけろ。運動はいいぞ」
凸凹コンビの掛け合いが微笑ましい。
「あ、そうだ。まりあサンもう少し遅れて来るんだろ? あのコンビニ寄ってっていいか?」
ロータリー西向かいのコンビニを指差す久美さん。
「構いませんけど……何なさるんです?」
「ビール!」
私の問いに至極明快な一言を残して、コンビニに向かう彼女でした。
久美さんが戻ってくるのと同時に、市バスが到着。まりあさんとクロちゃんが降りてきたので手を降ってアピール。こちらにやって来る二人。
「おはようございます。お待たせしました」
一同、ご挨拶。
「いえいえ、ちょうど久美さんも買い物する余裕がありましたし」
「ん、そーゆーコト。気にせんで」
お宝を掲げる彼女。
「では、全員揃ったことですし、電車に乗りましょう」
宇多野姉妹以外、ほぼ全員電車に乗る習慣がないので、券売機で渋谷までの切符を買う。
この中では、もっとも電車に乗り慣れているまりあさんが渋谷までの乗り換えをレクチャー。
渋谷駅に着くと、そこから先は旅慣れている私が案内係をバトンタッチ。品川駅に到着!
「この『鯵な押し寿司』がですね、もうイチオシなんですよ!」
購買で例のお寿司を猛プッシュ。神奈さんイチオシならと、全員で購入! もちろん、両親へのお土産「TOKIOばななん」も忘れない。
かくして新幹線に乗り込み、米原へ!
さすがに全員近い席とはなれなかったけれど、名物「シンカンセントテモカチカチアイス」は事前にオススメしておきました。
久美さんのことだから、それに加えてまたビール買ってるんだろうなあ。
ともかくも、アメリとおしゃべりしながら旅を楽しむ。
二度目になっても新幹線の超高速な車窓風景は相変わらず驚きのようで、「おお~!」と興奮気味なアメリちゃん。
そうこうしているうちに、米原に到着。特急に乗り換え~。
ここで、お寿司を開封! う~ん、相変わらず美味しい!
そんなこんなで、ついに福井にとうちゃーく!
「やー、皆さんお疲れ様でしたー」
ホームで合流し、互いに旅の疲れを労う。
「あのお寿司とアイス、ほんと美味しかったです。アイスは、ちょっと食べるのに難儀しましたけど」
口に手を当て、楽しそうに微笑むまりあさん。
「姐さん、呑みすぎっすよ」
「何を言うか。新幹線や特急の中で愉しむビール、最高だろうがよ」
凸凹コンビがまた、漫才してる。思わず苦笑。
「ところで、みなさんホテルはどちらに?」
「幸い評判のいい、同じところが取れまして」
駅西、徒歩八分ほどのホテルらしい。
「余裕があれば、タクシーのご利用をお勧めします。慣れないところ、迷いますからね」
「そうですね。ここは地元民の神奈さんのご助言に従いましょう。さすがに旅の疲れもありますし、ちょっと楽したいのもあります」
腰に手を当て、伸びをする優輝さん。
「あ、そうそう! 駅西といえば、恐竜広場はぜひご覧になっていってください。特に、ノーラちゃん喜びますよ。見えるところまで案内しますね」
というわけで改札を出て、恐竜広場を見下ろせる位置まで皆さんを連れて行く。
「おお~」と感心の声を上げる一同。特に、ノーラちゃんとアメリは食い入るように眺めている。
「できれば現地まで案内したいところですけど、私の家は東のほうにあるもので……。案内役を買っておいて恐縮ですが、恐竜広場を見た後はそのままホテルに向かい、今日一日はゆっくり休まれたほうが良いと思います」
「はい、子供たちもいますしね。あまり疲れさせるといけません」
白部さんが話をまとめる。
かくして東と西に分かれ、私とアメリはロータリーに向かうのでした。
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