神奈さんとアメリちゃん

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第二百三十六話 ゴロゴロアメリちゃん

公開日時: 2021年5月18日(火) 21:01
文字数:2,521

 朝八時、ふわあと人あくびした後は、ベッドとその周辺のお片付け。テレビはさっそく、アメリの朝食中の暇つぶしに役立ってくれました。


 七年連れ添った相棒ベッドとも、ついにお別れかあ。寂しいなあ。


 掛け布団と枕を取り、シーツを剥がす。掛け布団もシーツも新しいベッドには小さいけど、これは別処分なのです。


 あとは、セミダブル用に周辺家具の位置を調整。アメリにも、少し手伝ってもらいました。業者さんが中に入ってきてもいいように、ロングスカート+キャスケットのおなじみの格好をしてもらっている。


 うむ、こんなもんですかねえ。


 あとは、原稿でも描きながら業者さんを待ちますか。


 PCに向かうと、LIZEの着信が。なんじゃらほい?


 グループチャットに、優輝さんからバンザイ猫スタンプとともに「おはようございます。売上好調です!!」とのメッセージ。「ひなまつり例のゲーム」のお話かな?


 「おはようございます。おめでとうございます!」とお返しする。するとすかさず、感謝のメッセージがサムズアップ猫スタンプとともに届きました。


 他の皆さんは、別のご用事中かな? 「よければ通話しませんか?」と打診すると、「いいですとも!」というお返事とともにコールがかかってきました。


「どうも、おはようございます。例のゲームのお話ですよね?」


「ですです。いやー、この伸びなら、いつもより多く売れるかもです」


「たしか、普段は一万本前後とおっしゃっていましたね。二万本ぐらい出そうな感じですか?」


 おなじみのマルチタスクで筆を走らせつつ問う。


「さすがに二万はどうでしょう? それだけ出たら、飛び上がって喜んじゃいますけどねえ。でも、仮に千本多く売れたら粗利二百八十万ですからね。雑に諸々差っ引いて、一人頭三十五万とかになりますから、夢が広がっちゃいますねー」


「あー、単価高いですものねー」


 漫画だと千部余分に売れても……というか、刷っても印税七万円増えるだけだから、文字通り桁が違うなー。まあ、増刷になったら万単位は刷るものだけど。これに、今どきは電子書籍の売り上げが案外馬鹿にならなかったりする。


「ゲームの売れ行きって完全初動型ですからねー。とりあえず目標の一万DLは突破して、さらに二百重なったんで、みんなで喜んでます。あと十日ぐらいで、ほぼ完全に決定する感じです。なんで、今度祝賀会でも開こうと思うんですが、いかがです?」


「いいですね! そういうおめでたいお話なら、ぜひ」


「そうこなくっちゃ! ほかの皆さんにも打診しますので、追って日程決めますね!」


 こんな感じで雑談&執筆することしばし、インタホンの呼び鈴が。


「あ、すみません。家具屋さんの配達が来たかもです。失礼しますね」


「何か買われたんですか? わかりました。また、メッセージでも送りますね」


 通話終了。急いで出なきゃ~。


 応対すると、やはり業者さんでした!


 慎重にベッドを運び込む二人組。お疲れ様です。


 ベッドは入れ替えられ、古いほうは運び出されていきました。ううう、寂しいなあ。その様子を、「おお~」と見守るアメリ。


 書類にサインをすると、業者さんは帰っていきました。


「ベッド大きい!」


「だね!」


 寝室は八帖あるため、セミダブルでもそれほど(あくまでも個人の感覚)狭苦しさがない。ともかく、セミダブル用のシーツと布団をかけて、と。


「ちょっと寝てみる?」


「うん!」


 二人で潜り込むと、今までのような圧迫感がない。こりゃいいね!


「あー……このまま寝たくなっちゃうわー……」


「おお? 寝る?」


「そうもいかないんだよねー。原稿描かないと」


 というわけで、執筆再開。一方アメリは、ベッドで文字通りゴロゴロ転がって新感覚を楽しんでいる。ほほえまですな~。ここですかさず、スマホ録画。激カワなアメリちゃんの記録を、残さない手はないよね!


 アメリもゴロゴロするのに飽きたのか本を読み始めたため、私も今日のお昼と夕、何にしようかしらなどと考えながら筆を走らせる。


 すると、LIZEに立て続けに着信が。見てみると、まりあさんと白部さんがかくてるの皆さんにグループチャットで祝辞を送っていました。嬉しそうにお礼を述べる優輝さんたち。由香里さんたちも入ってきたのね。


 少し休憩込みでお話に混じろうかな。


「おはようございます。もう、次のご作品とか決まってたりするんですか?」


 皆さんから、挨拶を返される。


「打ち合わせ中ですけど。次はガラッとファンタジーにしてみようかなあと」


 優輝さんからお返事をいただく。


「ファンタジーですかー。これまた、すごい方向転換ですね」


「いろんな作風で攻めますからね、うち。お姫様が主人公で、女騎士団長と、隣国の姫と、宮廷魔術師の少女と恋愛させたら面白いかな、なんて相談しあってます」


 へー。それも面白そうね。そして、やっぱり百合なのね。


「シナリオというか作風って、優輝さんの一存で決まるんじゃないんですね」


「チーム作業ですからね。他のメンバーが気乗りしないテーマでやっても上手くいかないですから」


 なるほどねー。


 その後は、皆さんの雑談をちょこちょこ覗きながら筆を走らせる。


「今度、白部さんとご一緒に何か作って、皆さんに振る舞おうかと思ってまして」


 とは、まりあさんの言葉。


「何かといただきっぱなしなものですから、宇多野さんと相談してお菓子でも作ろうかという話になりまして」


「お気遣い、ありがとうございます」


 かくてるのみなさんも、一様に似たようなメッセージをお返しする。


「いえいえ、持ちつ持たれつですから。お楽しみにお待ちいただければと」


 と、まりあさん。


「あと、宇多野さんのお宅が少々遠いので、私たちも自転車を買おうかと思いまして。ほかにも、何かと便利そうですし」


「いいですね!」


 白部さんのお言葉に、サムズアップ猫スタンプとともに返す。


「ただ、ノーラちゃんはどこで練習させたものかと」


「だったら、うち使ってくださいよ。庭、結構広いですから」


 優輝さんがさっそくご提案。


「よろしいんですか? 助かります」


 お辞儀猫スタンプで返す白部さん。持つべきものは親しい隣人ですねえ。良きかな良きかな


 おっと、いけない。すっかりチャットに熱中してしまった。お仕事お仕事~。


「すみません、作業に戻りますね」


 と断り、筆を走らせるのでした。

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